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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章
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帰り仕度



「姉ちゃん、入っていい?」

「ユウキ?大丈夫だよー」


「お待たせ、話って何…誰?その人…ドラゴン!?」

「ルナリアのお姉さんだよ」 

「妹ボコッたっていう?」

「うっ…」

それはもういいから。毎回お姉さんダメージ受けてるし。


「それも含めて話があるから部屋に呼んだのよ」

「わかったよ」


街でルナティアさんと会ったこと、約束すっぽかされてお城まで来てくれたことを話す。

「後、これが本題なんだけど、ルナリアを日本へ連れて行くけどいい?」

「あーうん。そんな気はしてたから。離れたくなさそうだったし。ただこれで男が僕だけでどんどん肩身が狭くなる気がするよ」

「ティーは性別ないよ?」

「そうだけど。そうじゃないんだよなぁ」

言いたいことはわかるような気はするけど…ここは諦めてもらうしか。


「それはいいけどさ?もし母さん達帰ってきたらどうするの?」

「そこは考えてる。まず戻るときは例の地下へ飛ぶよ」

「あぁなるほど」


「ティーは姿を消せるから問題はないし、あの地下にルナリアの部屋を作ってあげようかと」

「私の部屋!?」

「そう、希望を聞きながら作ってあげるからね」

「ありがと、嬉しいわ!」


「義母さん達が帰ってきたらティーちゃんは姿を消して、ルナリアちゃんは地下の自室で待機?」

「うん、未亜ちゃんが言ったとおりだね。ルナリアにはその間少し不自由させるけど…」

「それくらいは我慢するわ」

「ありがとね。それくらいかな?懸案事項は…」

皆で頭を悩ます。 今は特に無さそうかな?


「ティーはママの部屋にいたいー」

「うん、いいよー。でもお部屋が欲しくなったら言うんだよ?作ってあげるからね」

「はーい」

そうなったらなったで寂しい気もするけどね…。 (…!)


「なんか羨ましい…リア、私もついていきたい」

「ねえ様には無理よ」

「なんで!?ひどい!」

魔力の循環があるからなぁ…。


「ねえ様はアスカを信用して心も身体も預けられるのかしら?」

言い方! お姉さんもそんな顔で見ないで。


「…どういうこと?」

「飛ぶためにお姉ちゃんの魔力を全身で受け入れなきゃいけないんだよ。それができないと飛べないの。だよね?お姉ちゃん」

「うん、そうだね」

「ええ…何それ。皆平気なの?」

初めて普通のリアクションがきた!


「僕は平気だね」

「私も。むしろ嬉しいし」

「私はもうアスカのだし?」

だんだん返事がおかしくなっていったな?


「ティーはねーママの魔力だからへーき」

安心感凄いわ。



「今回は諦める。でもいつか私も行くんだから!」

ムキにならなくても…。

「私の事信用してもらえる様になったら連れていきますね?」

「わ、わかったよ…それとルナティアって呼んで。かしこまらなくていいよ」

「わかったよー」


「(未亜姉ちゃん、アスカ姉ちゃんがまた新しい女の子引っ掛けたよアレ)」

「(ライバルがふえるの!?それはやだけど…楽しくなるなら…)」

「(未亜姉ちゃんがいいならいいけどねー)」




「面白い話してるわね?」

いつの間に王妃様…油断してた。探索魔法切ってたよ…。

王妃様って気配消してるよね、絶対。


「それだと、一度魔力循環した私は行けるわけよね?」

「そうですが…ダメですよ?」

「なんでよ!?」

いえ、あなた王妃様です。


「立場があるじゃないですか。国王陛下が許可されるわけがありません」

「うっ…。王妃って肩書きの不自由さをこんなに感じたことないわ…」

元が自由な冒険者だったりすると余計なのかな?


「あれ?でもお姉ちゃん、飛ぶじか…」

慌てて未亜ちゃんの口を手で塞ぐ。

「むーーんーーー」

「(未亜ちゃん、それは絶対に今言っちゃだめなやつよね?わかるよね?)」

コクコク…

わかってくれたとみて手を離す。


「今なにか大事な事言おうとしてなかった?」

「いえーそろそろ帰らなきゃって話をしてたんです」

「え? 帰っちゃうの?アスカちゃん達」

「はい、当初の予定よりかなり長居してしまって、お世話になりましたから」

「それはいいのよ?いつまで居てくれても、それに…」

ヤバいっ!

「それとですね、1つお願いがあるんです」

「え?ええ、何かしら」

「私、魔法陣の解析をもう止めてくださいってお話しましたよね?」

「そうね、もうそのまま生きていく覚悟を決めたって」

「え? 姉ちゃんそれ僕初耳なんだけど!!」

ああもぅ!


「ユウキ、後でちゃんと話すから待って」

「絶対だからね!」

わかったよ…。


「それでですね、王妃様。 そうなってしまうと私がこちらへお邪魔する理由がなくなってしまうんです」


「そんな!? 気にしないで遊びに来て。そんな寂しいこと言わないでちょうだい…」

悲しそうに項垂れてしまう王妃様…

「いいのですか? 理由がなくなってしまうけど、また来てもいいですかって聞きたかったんです」

「当たり前じゃない! 家族同然って言ったでしょう? 一瞬来なくなってしまうのかと心配で悲しくなったわよ…」

「ありがとうございます。その確認だけしたかったんです」


「そう…よかった。いつ来てくれてもいいし、ずっと居てくれても良いからね」

「はい、本当にありがとうございます」


帰るのはとりあえず明日って事になり、今日は晩餐会をしてくれるって。









「いや、姉ちゃん。きれいにまとめてないで話をして」

「え?」

「さっきの! 大事な話でしょ!?」

一瞬忘れてた。



「えっと…私がこの身体になって最初に3ヶ月ほどこっちに居たのはわかってるよね?」

「うん、居ない言い訳を考えるのに大変だったからね」

「うっ…ごめん。 だけど、その時間経過で魂と肉体が完全に馴染んだみたいなの」

「あぁ…だからお姉ちゃん急に…」


「それで、強制力も司ってるティー曰く、完全に馴染んだからもう戻れないと思ったほうがいいみたい」

「うんーママの魂定着ー?」

「……それで?姉ちゃん自身は納得してるの?平気なの?」

それは…


「そこ気になる…?」

「当たり前でしょ! 姉ちゃんが納得できないならなんとかしないと!」

「…じゃあ、偽りのない本心で話すから。 一回だけしか話さないからちゃんと聞いてね?」

「わかったよ」


「一番最初は諦めだったんだ。無理なんだろうなって…。でもね実際、本当に無理だって現実を突きつけられたときに感じたのは違ったんだ」 

「……」


「ショックもなかったし、そうなんだーくらいにしか感じなくてね?その時初めて自分の気持ちに気がついたんだよ。 戻れなくていい、このままで生きていこうって。体と魂が馴染むってこういうことなのかもね。 それに… 

私には弟であるユウキがいて、新しく未亜ちゃんっていう妹ができた。そして今回子供同然のティーに出会えて、さらにルナリアにも出会った。

みんな大切な家族で私の理解者で居てくれた。 だから…だからきっと、大丈夫だって思えたんだよ。このままでもね」

「………っ ホントにそれでいいのかよっ! 後悔しないのかよ!」

ユウキがこんな声を荒げるのは初めてだね。


「うん、大丈夫だよ、後悔しない。決めたんだよ。 …ねえユウキ? 私これから先、ずっとユウキのお姉ちゃんでいていいかな?」





次の話が短いので今日は二話投稿されます。

予約投稿なので一時間後になりますが、よろしくお願いします。

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