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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章
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閑話 ユウキ、ギルドへ行く



ユウキSide


〜遡ること1日〜



今朝はあの姉ちゃんが体調不良らしい。

…は? 何かの間違いじゃないかって思った。だってあの姉ちゃんだよ?

耐性モリモリで、状態異常なんてかからない。だから病気もしない。

ステータスが高いから怪我だってしない。それなのに…。

心配だから部屋に行こうとしたら、みんなに止められた。

理由がわからなくて納得できないって言ったら、未亜姉ちゃんがそれとなく教えてくれた。


…ごめん、それは仕方ないね。

落ち着くまでそっとしておこう。



ギルドに顔を出すように言われていたから、今日はそれを済ませておくことにする。

一人で行こうとしたら、騎士のルニアさんが護衛につくらしい。

大丈夫だからって言ったんだけどね…。





ギルドに着いてすぐに受付の人にギルマスへ取り次ぎを頼む。


すぐに客間へ案内してもらえた。 受付では済ませられない用事なのかな?

報酬を貰うだけだと思ってた。



以前姉ちゃん達とも来た客間で待ってたらギルマスが大きな袋を2つ持って部屋にきた。

アレってまさか…。

「待たせて済まないな。この間は本当にご苦労だった」

「いえ、これでも冒険者なんで。 仕事をしただけです」

「あぁ。そうだったな。 さて、これが今回の君の取り分だ」

2つの袋のうちの1つを渡される。


「多くないですか?」

「ん?いや、これでも君が果たしてくれた事への報酬には少ないと思うのだがね。魔獣の討伐、巣の発見、生存者の救出に治療。ドラゴンの驚異への対処…」

「待ってください。討伐や巣の発見は斥候や、盾の冒険者が居てこそでしたし、治療は姉の持たせてくれた薬のお陰です。ドラゴンに至っては僕はついて行っただけです」


「その辺の細かいことはわからないが…。パーティで行ったけど活躍しなかったメンバーいたからといってそのメンバーには報酬が払われないなんて事はあってはならない」

それは確かに…。 目に見えて活躍する者だけでなく、サポート役の様に支える役目もいるのだから。


「当然、他の冒険者や、騎士にもしっかりと報酬は出ているから心配するな」

「わかりました。そういう事でしたら」

ここで固辞しても仕方がないか、と思い受け取る。


「うむ、それとな…こっちはアスカさんへの報酬なのだが君が受け取っておいてくれないか?」

やっぱりそうだよね。 でも姉ちゃん受け取るかなぁ…。


「今日、アスカさんも来てくれると良かったのだが…」

「すみません、姉はちょっと忙しくて」

「まぁ仕方がないさ。それに正規の冒険者な訳ではないから直接報酬を渡すこともできん。ただ、会ってしっかり礼を言いたかったのさ」

「伝えておきます」

「ああ、代わりと言ってはなんだが、ギルドへ多大の貢献をした人として大きく表彰されるからな」

それ絶対姉ちゃん嫌がるやつ! これは阻止しないと…大変なことになる。

主に姉ちゃんのメンタルが…。


「あの…姉はそういうの本当に苦手で。絶対に嫌がりますし、下手したら二度とギルドに寄り付かなくなりますよ」

「しかし…彼女が居なかったら確実に四人の命、それ以上に被害が広がる事になったはずだ。魔獣の特定、多数の解毒薬の作成に譲渡。ドラゴンの驚異等…それなのに何もしないというのはだな」


「姉はそういうのを苦労なく、片手間感覚でいつも済ませてしまうんです。だから大きすぎる感謝の気持ちは姉の負担になってしまいます。どうかお願いします」

「…ふむ。 あの性格だものな。確かに大々的に表彰式などしたら嫌がりそうだ…。わかったよ。ならばせめてこの報酬だけは渡してもらえないか?」

「それも受け取らない気もしますが…」

「しかし、これは解毒薬の買取り、救われた者たちからの感謝の気持ちも含まれているからな」

僕が頑張って渡すかぁ…。

ドラゴン関係のは、お城の方からギルド経由で渡してほしいと王妃様から預かったんだとか。

直接だと姉ちゃんが受け取らないのわかってるんだろうね…。

そのせいで僕にその役目が来たわけだから複雑だけど。



お金を受け取り、帰る途中にロビーで魔獣の子供を連れたシーナさんに会った。

助けたことへのお礼を改めて言われ、魔獣の事など話をしていたら

「シーナ、その人知り合いなの?」

「リジー! ほら話したでしょ?ボクこの人に助けられたの。それに貴女達を救った人の弟さんよ?」

「え!? そうなの? 気が付かなくてごめんなさい。今回はホントにありがとうございました」

「いえ、僕は…」

「私リジーって言います! よろしくお願いしますね?」

「は、はい」

顔近いって…めっちゃグイグイ来るな。


「私達を助けてくれたお姉さんは?」

「今日は忙しくて、別行動です」

「そうなんだ…直接お礼言いたかったな。命の恩人なのに顔も知らないもん私…」

姉ちゃんは気にしないだろうからそっとしといてあげてほしいな。 …今は特に。


その後リジーさんの発案で僕と姉ちゃんを歓待するプランが練られてゆく…。

止めようとしたよ?でも、何故か逆に話が大きくなっていくんだ。

姉ちゃんはどうしても無理だって説得するだけで疲れ果てたよ…。

やむなく姉は国賓だからっていって諦めてもらった。口止めはしたよ勿論。


その代わり、明日1日僕の自由は無くなったらしい事だけはわかった。

善意からだから余計に断りにくい。

姉ちゃんが助けた他の二人も合流するみたいだし…。


姉ちゃんには適当に誤魔化して明日1日乗り切ろう。


まぁでも、たまには冒険者仲間みたいな感じで遊ぶのもいいかもしれないな。





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