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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章
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ドラゴン娘街を行く 2



「ごめんなさい」

深々と頭を下げるルナリアのお姉さん。

ルナティアと名乗ってくれた。


「わかって貰えたならそれでいいので、もう謝らないでください」

「まさか私と別れた後にそんな事になってたなんて…。しかもリアの命の恩人に…妹を助けてくれてありがとうございました」

「助けることができたのはティーが見つけてくれたおかげですから。それにルナリアに出会えて私は良かったって思ってるんですよ?」

「そうですか…ご迷惑おかけしたのに…」


「ホントにねえ様は! 昔から人の話を聞かないんだから」

「だって、首輪してたから…」

「コレはチョーカーなの! それにアスカから渡されたのなら首輪でも私は受け取るわよ?」

「リア!? 本気なの?」

なんかまた話の流れが不穏じゃない?大丈夫?


「ねぇ、ルナリアちゃん。首輪って何か特別な意味があるの?」

未亜ちゃん! それ絶対聞いたらだめなやつだよ!? 


「昔にね、ドラゴンが人間に恋をしたの。でも、ドラゴンと人間だから簡単にはいかなくて…。まだ人化の術がなかったからね。 それでもその恋は見事に実ったのよ?素敵よね。その時に誓いの印に人間がドラゴンに送ったのがキレイな首輪だったらしいわ」

やっぱりそういう話だよね。


「そのドラゴンが作り出したのが人化の術って言われてるの。ただ…人化をして人間の街に遊びに行くドラゴンが増えて、奴隷商人に捕まった子がいたの。 その子がつけられたのも首輪だった。だから…首輪は2つの意味を持つのよ。プロポーズか、強制的な隷属。 ねえ様は私が角や尻尾、翼を奪われて隷属されてると思ったみたい」


なんて両極端なの。でもそれであの会話の意味がわかった。冷静でいられなかった訳も。

私も、もし家族がそんな事になってたら…うん。絶対冷静ではいられない。



「そうなんだ…素敵な話と悲しい話を同時に聞いて複雑な気分だけど…。ルナリアちゃんの気持ちはわかったよ」

「未亜は気に入らないかしら?」

「ううん。ちょっと羨ましいなって思ったよ。でも負けないよ?私」

「ふふっ」

これ私混ざらないほうがいい話題だよねぇ。 (ママもてもてー)

そういう問題かなぁ…。慕ってくれてるのは嬉しいけど。



「アスカ様、誤解の無いようにこれだけは聞いてください。我が国では奴隷は禁止されております。昔からずっとです。 過去にそういう行いをしていた国はありましたが、その国でも今はもうありません」

「それを聞いて安心しました。もし私の家族がって考えたら冷静でいられる自信がなかったので…」

「大丈夫です。決してそのようなことは起こりません」

「はい。教えてくれてありがとうございます」 (良かったねママ)

うん、安心したよ。



「アスカさん、私もあなた達に暫くついて行ってもいい?」

「街中なら大丈夫ですが、お城は私の判断では決められません。確認を取らないと…」

「ねえ様何をする気なの?」

「別に何もしないよ。ただリアがそこまで思う相手がどんな人なのが知りたいだけ」

大切な妹だから心配なのかな。お城へ帰るときもまだついて来たい様なら確認しないとだね。 




「ねえ様はこの街でなにをしてたの?」

「観光と食べ歩きかな」

優雅な旅をしてるみたいね。 (気ままな一人旅?)

そんな感じだね。


「ねえ様ってばそんな事してたら、お小遣い足りなくなってるんじゃないの?」

「うぐっ…」

「かあ様から預かってるから渡しておくわ。ただし、たまには顔を出してほしいって言ってたわよ?」

「ありがとうリア。ほんとに助かるよ。 仕方ないかぁ…気が向いたら一度帰るよ」

今回は喧嘩にならなかったけど、これ帰らないやつだ! (ティーもそう思う)


「ねえ様帰る気ないでしょ?まぁそれでもいいけど。帰らなかったらもうお小遣い無くなるだけよ」

「そんなぁ…」 

仕方ないと思うな、それは。 心配してるみたいだし帰ってあげたらいいのに。


話しながら歩く二人のすぐ後ろをついていってたら、いつの間にか市場通りを抜けて違う通りに出ていた。



「ここ来たことないかも。記憶にない」

「そうですね、この場所はアスカ様をご案内していません。 この辺は少し特殊でして…」

「特殊ですか?」

「骨董品でしたり、いわく付きの物でしたりと…あまりおすすめできない物もありますから」

「なるほど…」

呪われた○○とかそういうのかな?ちょっと興味あるかも。見てみたい。


「呪われた装備は外せなくなるんだよー?」

私の右手と手をつないでるティーがそう言う。

「どこで得た知識なのそれ…ゲームでしょ?」

「ふふん〜」


ちなみに私の左手は未亜ちゃんが腕を組んでるので、両手が塞がっている状態だ。

特に何か買い物をする訳でもないからいいけどね。


と思ってたんだけど…


「あ、あのカバン可愛い!」

未亜ちゃん好みのカバンがあったのかな?

「ルナリア達、ちょっとストップ。お店見たいから待ってー」

取り敢えず、未だ言い合いながらどんどん行ってしまいそうな二人を止める。


「え? あら…ここ市場じゃないわね?」

とっくに市場過ぎてるよ!?


「未亜ちゃん、気になるのあったなら教えて? 一応確認するから」

ほんとに呪われた装備だったら目も当てられないからね。


店頭に並べられた商品の中から目当てのものを指さして教えてくれる。

「これなんだけど。大きすぎず、小さすぎずで可愛くないかな?」

週刊誌が入りそうな程々サイズで色もパステルカラーで未亜ちゃんが好きそうなのだね。

鑑定かけてみたけど、特におかしな所はない。 (ちゃんと装備できる?)

そうだね、大丈夫。 

値段はこのお店の他の商品と比べたら少し高いかな?程度だ。


手に取って見ていたら、お店の人が出てきた。

優しそうなおばあちゃんだ。 駄菓子屋さんにいそう…。 

「お嬢さん、そのカバンが気に入ったのかい?」

「はい、妹が気に入ったみたいで…」

「そうかい。それは娘が作ったものでねぇ。まだ名前も売れてないからなかなか売れないのよねぇ。素材も腕もいいのよ〜?」

確かに、使っている素材も柔らかい革素材で悪くはないし、作りも丁寧だ。

曰く付きとかじゃなくて良かったよ。


未亜ちゃんにも手に取って見てもらう。

「見た目も可愛いし手触りも素敵だね」

「じゃあこれにする?」

「うんっ!」

ギルドからお金も貰ったから使いたいし、丁度いい。


「これ買いたいんですけど、いいですか?」

「ありがとうねぇ。娘も喜ぶよ〜」

お金を払って受け取る。

「また近くまで来たら寄っとくれよ〜。新商品も作ってるみたいだからねぇ」

「わかりました。ありがとうございます」

未亜ちゃんにカバンを手渡し、帰ったらマジックバックにしようねって約束をした。

喜んでくれたからよかった。これでカバンも手に入った。


隣でルナリアもカバンを選んでたからお金出そうとしたら断られてしまった。

「自分で買いたいの。 その代わり、あのワッペン私にも貰える…?」

「もちろんいいよ。帰ったら渡すね」

「ありがとう、嬉しいわ」

ルナティアさんは何の事がわからずに首を傾げてるけど、ルナリアが説明するよね。たぶん…。






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