スキル制御
王妃様からネックレスをもらい、お茶をして少し話しをした。
部屋に戻ってきたんだけど…取り敢えず着替えたい。ドレス落ち着かない。
用意してくれた服はどれも女性物。元々着てた服でいいや。
にしてもスキルの制御かー。普通ならスキルを使い込むなりして馴染ませて制御するけど…。
このスキルは使い込むとか危なすぎる。どうしたものか。なにか方法はと部屋を見渡す。
午後の柔らかい陽射しが差し込む窓の光に誘われ近づくと…
草原が広がりその向こうには広い広い街並みが見える。凄くキレイな景色。思わず窓を開ける。
「風が気持ちいい〜」
この世界は季節とかどうなんだろ。体感としては春か秋ってとこかな。
おー? なんか変わった鳥が5羽くらいかな、飛んでる。
まてよ?動物ならあまり影響ないかも…?まぁ効くかもわからないけど。
ネックレスを外して試してみるか。
常時発動してるなら〜と、鳥に意識を集中し魅了と誘惑効果込めた魔力を飛ばすイメージをする。
あれ?なんか全部こっち向かってきてない?え、ちょ…ヤバいかも…。
バサバサバサバサ…
「きゃっ…」
向かってきた鳥にも驚いたけど、勝手に出た可愛らしい声にもびっくりだ。
鳥たちはみんな窓枠に止まりこっちを見ている。
なんだろう?仲間になりたいとかそういうアレ?急いでネックレスをつけ
「呼び寄せちゃってごめんね」
そう言うと鳥たちは飛び立ち2、3度円を描くと飛び去っていった。
鳥たちにスキルを魔力に乗せ飛ばした感覚、アレを内に内に抑え込み蓋をするイメージをしてみる。
あ、いけそう。今度は逆に蓋を開けて拡散するようにイメージ。何度か繰り返す。
うん、大丈夫そうだね。
今迄色々なスキルを使ってきた経験が役に立ったかな。
後で念の為に王妃様に確認してもらおう。多分大丈夫なはず。
コンコン。
「失礼します、アスカ様。王妃様がお見えです。今よろしいでしょうか?」
アリアさんの声だ。会いに行こうかと思ってたら来てくれた。ナイスタイミング。
「はーい、大丈夫ですよ」
「失礼しますね〜」
そう言いながら王妃様とユリネさん、後は知らないメイドさん?
あーさっきお茶の時に呼ばれた子達の中にいたな。どうしたんだろう。
「少しお話いいかしら?」
そう言う王妃様に頷き、部屋にあるテーブルを挟み向かい合う形で椅子に座る。
こっちもスキルの確認してもらいたかったし。
「お話ってなんでしょうか?」
お茶を淹れてくれたユリネさんにお礼を言いつつ王妃様に尋ねる。
「さっき顔合わせした子の中に一人魅了にかかった子がいたみたいでその確認と…」
あ、ならちょうどいいね。
「スキルは多分制御出来たと思うんですけど…」
王妃様が目を見開き、持っていたティーカップを落としかけてあたふたしている。
「え?ちょっと待って。この短時間で?嘘でしょ…」
口調が変わったような?気のせい?
「そんな簡単になんとかなるものだっけ…………」
カップを置いてなんか独り言を言いながら考え込んでしまった。
ん〜じゃあその間に王妃様の後ろで控えてる新人メイドさんの魅了解いとくか。
新人メイドさんに意識を集中して〜〜…魅了解除!
「え?あれ?私は何を…。お、王妃様! 私何でここに…」
よっぽどガッツリかかってたのか解除した途端、我に返ったようで慌てている。
「い、今何したの?」
新人メイドさんに呼ばれた拍子に思案から戻ってきた王妃様に、テーブル越しに詰め寄られる。
近い近い…
「魅了の解除をしただけですが…」
バターンとテーブルに突っ伏したんだけど大丈夫…?
というかユリネさんすごい速さでティーカップ避難させたな?メイド最強か!
まぁおかげで王妃様がお茶まみれにならずに済んだんだから、流石としか。
「アスカちゃん…色々聞きたいんだけどいいかな?」
突っ伏したまま聞いてくる王妃様の口調がいよいよだ。これが素なのかな?
「答えられる事なら大丈夫です」
ようやく身体を起こした王妃様は疲れたような顔をしてる。
「無理には聞かないから話せる範囲でいいよ」
頷いて同意した私に質問を始める。
「取り敢えず、スキルの制御出来てるか確認してみようか。ネックレス外してみて」
今は抑えてる状態だから大丈夫。ネックレスを外す。
「なんともない…わね、鑑定かけるけどいい?」
「はい」
立ち上がり隣まで来た王妃様は私に手をかざす。
「本当だ、制御されてスキル停止してる。ネックレス作った意味…いや、それはいいんだけど。一度私にスキル使ってもらえる?」
「いいんですか?」
不安になり尋ねるが
「うん、やって」
まぁそう言うなら。周りに影響出てもアレだし王妃様に集中してスキルを使う。
大丈夫かなぁ…知らないよ?