第二話 襲撃
第二話 襲撃
門田一家は警官に案内され会議室と書かれた部屋に案内された。
「こちらになります。」
そう言って警官が会議室の扉を開けた。
中に入るや否や
「要!」
吾妻 燈が要に抱き着いた。」
「燈!…来てたのか。」
「要、聞いて!私の家に、私の部屋にね!泥棒が!」
「燈!大丈夫だ!落ち着いてくれ。僕はどこにも行かないから。」
「要…要…私‥私の‥‥」
「私の‥?」
「私の…‥盗られちゃったの‥‥私と要の…」
「日記帳の…ことか?」
「!どうして…知ってるの?」
「…警察の人に、聞いた。それでここに来たんだ。」
「そっか‥そうだよね。」
「他に盗られたものはなかったのか?」
「無いの…あの日記帳だけ…」
「でも、なんで燈の日記帳なんか盗ってたんだ?」
「…なんか?…」
「どうした?燈?」
「今!なんかって言った?」
「あっ!いや…言ったかな‥‥」
「言ったわよ!私の思いの詰まった日記帳を、なんかって!言った!」
「いや、そんなつもりじゃ…」
「じゃ!どんなつもりよ!?要!」
「イヤ、わざわざ空き巣に入ったのに日記帳だけなんて‥」
「燈、落ち着きなさい、要君が困っているでしょ。」
気が付くと燈の母が燈を窘めていた。
「だってママ‥」
「大丈夫よ。警察の人が犯人を捕まえてくれるわ。」
「ホントに?」
「そうよ。だから、落ち着いて待ちましょう。」
「うん…。」
落ち着きを取り戻した燈に要は気になっていたことを訊いた。
「燈。」
「うん。何?要?」
「さっきの続きだけど、」
「うん。」
「燈の日記を持って行った以上…」
「うん。」
「何か理由があると思うんだ。」
「え…?」
「日記帳は特別な限定版か何か?」
「いや、今でも買える普通の。」
「じゃ付属品は?」
「付属品?」
「そう。ボールペンとか、日記帳に付けてるものは何かない?」
「ペンは付けてないけど…。」
「そっか、ないか。」
「でも、」
「でも?」
「要の写真が入ってる。」
「写真?僕の?」
「そう!要の!一番よく撮れたやつ。」
その瞬間、外を警戒していた警官が燈の方に歩いてきた。
「すいません。吾妻燈さん。」
「はい。」
「今の話ですが。」
「はい。」
「盗まれた日記帳の中に写真が入っていたんですか?」
「はい。」
「それは、門田要君の?」
「はい。」
話してる間に明らかに警官の顔色が悪くなっていく。
警官が困った感じの間に炭勝がやって来た。
「なぁ、要兄さん。」
「どうした炭勝。」
「兄さんは犯人に心当たりあるんだろ?」
「!」
周りの人が一斉に要の周りに集まり問いただす。
「誰だ?」
「誰なの?
「誰なんだ?」
そんな質問が飛び交い続ける。
そして、
「スト――――ップ‼」
炭勝が叫ぶ。
「そんなに騒いだら兄さんが話せないよ!」
「元をただせばお前のせいだがな。」
母が嬉しそうに要に問いかける
「それって要に好意を抱いている女性の事?」
母はそう思っている。
初めて聞く人は親のひいき目にしか聞こえない。
「その話なら先ほどお伺いしました。」
確かに警官に話していた。
聞いていた警官がそう答える。
それを聞いた要が驚いて答える
「え?違うんだ!心当たりがあるのは女性じゃないんだ!」
それを聞いた警官が要に歩み寄る。
「あなたは我々の思う女性とは違う別の人物に心当たりがあると?」
「そうです。」
今度は母が驚いた表情をする。母親が警官と要の間に割って入る。
「どういうこと要?誰なの?あなたのストーカーじゃないの?」
「あの、お母さん。我々がお伺いしますの…」
「ちょっと黙っててください!」
「いや、あの、こちらで事情をお伺いしますので…」
「要!あなたに言い寄る女性がいるんじゃないの?」
問いただされた要が
「母さん落ち着いてくれ。ちゃんと話す。」
「どうなの?要!」
「だから話すって。」
「犯人を知ってるんじゃないの!」
「違うって!」
「誰なの?」
「だから!話すって言ってるだろ!聞けよ!!」
「要、ごめんなさい、取り乱してしまったようね。」
「ったく。みんな誤解してるよ。」
「誤解?あなたのストーカーじゃないの?」
「そこがそもそも誤解の始まりだ。」
「どういうこと?」
「僕が言った犯人の心当たりっていうのは、」
「あなたに好意を持ってる子じゃないの?」
「違うよ。こっちじゃないんだ。」
「こっち?こっちってどういうこと?」
「僕の方じゃないってことさ。」
「あなたじゃないなら誰なの?」
「今回の事件の被害者は僕じゃない。そうだろ?」
「燈ちゃんでしょう?そんな事みんな分かってるわよ。」
「犯人は初めから燈の彼氏を探してたんだ。」
「何で燈ちゃんの彼氏を探すのよ?」
「燈と僕をわかれさせたいからさ。」
「どうしてそんな事したいのよ?」
「燈の彼氏が邪魔だからさ。」
「…さっきから燈ちゃん基準で話してるわよね?」
「そう、犯人の狙いは、」
「燈ちゃん・・・?」
「正解。」
「今回の犯人って?」
「僕に好意のある女性じゃない。」
「燈ちゃんに好意のある…。」
「男性さ。」
「あなたがモテてたわけじゃ…」
「モテてたのは僕じゃない。燈さ。」
「そう‥だったのね。」
「だけど全員でここに来たのは正解だ。」
炭勝が驚いて要に歩み寄る
「どうしてだい?兄さん?」
「犯人燈の家に侵入してやさがしするような奴だ。」
「そうだけど・・・。」
「そんな奴が僕の写真を手に入れた。」
「まさか…」
「たぶん、犯人は僕を狙ってくる。家は危険だ。燈!」
要が燈に近づていく
「何?要?」
「最近知らない人に告白されたりしなかったか?多分その人が犯人だ。」
「う~ん、告白ねぇ‥。」
「いなかった‥か?」
要の推理が外れたみたいな空気になり要が固まってしまった。
「どの人かな~。」
「えっ?」
「どっからが最近かな~。」
「…えっと、今週誰かに告白された?」
「…三人かな?」
「先週は?」
「四人だったかな?よく覚えてないな~。」
その場にいる全員が固まってしまった。
誰も予想しない答えだったのだ。
しかし要は覚悟を決めて口を開いた
「…お巡りさん、すいません。」
「…いえ、お気になさらず。」
「容疑者が複数になるようです。」
「‥そのようですね。ご協力感謝します。」
まるで犯人が分かるかのような、探偵ドラマの回答編のような感じだった会議室、
いま、ガッカリ感が覆っている。次の瞬間、
ガッシャーーン
ガラスの割れる音がして窓から何者かが飛び込んできた。
警察署の二階の会議室に!