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1うたた寝

ん?あれ?此処は何処?

気がついたら知らない場所にいた。


私の記憶の最後は部屋でうとうとしていたはず。

全く覚えの無い場所にいて、そばに誰もいない。

どういう状況?


そこは 無垢の木材だけで組まれた山小屋のような場所だった。

床に寝ていたが、敷いてあるふわふわの何で出来ているのかわからない敷物のお陰で体は痛くない。


キョロキョロ見まわすも、そんなに広いわけでもない。

ふわふわの敷物のほか、火のついていない暖炉のようなものくらいしかない。


部屋の外に出てみようか。

そう考えていると、ドアが開いた。


「○△※□◇▽!」


知らない言語で話す 真っ直ぐ長い金髪の性別の良くわからない綺麗な人が来た。

まるでお話に出てくるエルフのよう。


なにか話しかけてくるが、私には何を言っているのか全くわからない。


「ごめんなさい。言葉がわかりません」


伝わらないとは思ったけど、言ってみた。

すると相手はいきなり私の両手を握り目を閉じた。


しばらくそのまま まるで固まったように私の手を握りしめたままうなずきだした。


私は少し怖くなったけど手を掴まれているから逃げることも出来ず狼狽えていた。


「君は違う世界から来たんだね。」


に、日本語!?

突然の日本語に驚き、いや、いま、違う世界って言わなかった?


「言葉わかるんですか?此処は何処ですか?」


私は早口で捲し立てるように質問した。


「ゆっくり話して。早いとまだ聞き取れないよ。僕は□○△」


僕は、のあとがよく聞き取れない。

名前なのかな?


「此処は何処ですか?」


ゆっくり発音してみた。


「ここは君から見たら異世界。▽▽△□という場所だよ」


やっぱり聞き取れない。

固有名詞が聞き取れないのだと思う。


「私は 百合香。地球という星の 日本という国に住んでいます。いや、いましたかな?」


ここが異世界なら住んでいた場所は過去形だよね。


「ゆりかという名前かい?」

「はい」


何やらニコニコとしながらさらに聞いてきた。


「何て呼べば良い?ユリーとかどうだい?」

「あ、愛称ならリリーが良いです。」

「ユリーではないの?」

「百合香は、百合という花の香りという意味の名前なのです。そして、外国語で百合をリリーと言います。友人たちからはリリーと呼ばれていました。母が百合が好きで名付けたそうです。」

「そうなんだね。きっと君のように美しい花なのだろうね。リリー」


え?

微笑みながら さらっととんでもないことを言われて私は思考が停止した。


「え、あ、私は・・・」

「リリーは森の大きな木の根元に眠っていたんだよ。揺すっても起きないから此所に連れてきたんだ。」

「え?」


つまりどうやってこの世界に来たかは この人も知らないのか。


「リリーは妹と年が近そうだし、遊んでくれたら良いなと思って連れてきたんだけど、何か都合が悪かったらごめんね?」


え?

妹と年が近そうだしって、この人は何歳なの?明らかに私より年下だよね?


「い、妹さんは何歳なんですか?」

「妹は3歳だよ」

「???・・・わ、私は何歳に見えているんですか?」

「リリーは10歳位じゃないの?」


私はあっけにとられた。

普段から若くは見られがちだけど10歳は流石に・・・。


「ごめんね。もしかして成人してた?」


物凄くすまなさそうに聞いてくる。


「私は成人もしていますし、子育てもしたことがあります。そして我が子も成人しています。」

「それはすまない。ごめんなさい。失礼しました」


真摯な態度で精一杯謝られた。

それはもう、こちらが引くくらいに。


「いえいえ、若く見られて怒る女性は居ませんよ」


思ってもいない慰めを言い、相手に落ち着いて貰った。


結局、私は何故ここにいるのかわからないし、帰れるかもわからない。

行く宛もなければ すべき事もわからない。

右も左もわからない状態でどうにもならなかった。


「リリーは何処か行く所があるのかい?」

「いえ、そもそもここが何処だかわからなかったくらいですし、ありません」

「なら、行くところが見つかるまで僕のところに居ると良いよ」


そういって微笑んだ相手の名前すら私は聞き取れない。


「名前、ちゃんと聞き取れないの、ごめんなさい。何て呼べば良いかしら?」

「僕のことは ルー って呼べば良いよ」

「ルー、よろしくお願いします」

「はい、お願いされます」


ルーはニコニコと笑って手を差し出してきた。

良くわからずおたおたしていると


「どうぞ、リリー」


あ、立つのに掴まれって意味なのかな?

私はその手を取り立ち上がった。

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