人神戦記
1000年前、この世界は終焉を迎えた。
【終焉の厄災―カタストロフィ―】
それは神々の怒りであった。
空は闇に覆われ、稲妻が走り、大地は割れ、火山が噴火し。世界は崩壊していく。
7つあった大陸は1つを残し、すべて海へと沈んだ。
地獄のような終わり際の世界で、生き残った人々は神に祈る。
“我々は罪を償う。人類にやり直す機会を。もう一度はじめから。今度は間違えない。”と。
祈りをきいた神々は話し合った。
人間にもう一度チャンスを与えるべきか、このまま世界を終焉へと導くべきか。
ある神は言った。
人間とは間違えるもの。間違いを知り、成長するもの。今一度、チャンスを与えようぞ。
別の神は言った。
人間とは繰り返すもの。ここで許してもまた間違いを犯すだろう。このまま終焉へと導くがよかろう。
神々を従える創造神が言った。
私は人間を信じたい。しかし、人間は大罪を犯した。だから、システムを創ろう。人間が間違えそうになれば、それを正すシステムを。もう一度、はじめから世界をやり直そう。やり直させよう。
また別の神が言った。
そのシステムを乗り越え、罪を犯す人間が現れたならどうする。我々も万能ではない。人間が我々の予想を超えた力をつけ、愚かにも神に仇なそうとしたその時は?
創造神は答えた。
システムを乗り越え、罪を犯す人間が現れたなら、人間が我々に仇なそうとしたその時は、今度こそ世界を終焉へと導こう。たとえ、人と神の戦いが起きようとも、我々が滅ぶことになろうとも。
こうして【終焉の厄災―カタストロフィ―】は終わり、世界は【はじまりの日―オルトロス―】を迎えた。
これは、誰もが知る神話であり、始まりの歴史である。
神々の怒りに触れた大罪。
それは愚かにも、我々人間が神に仇なす力をつけてしまったことだと言われている。人間は禁忌に踏み込んでしまったのだ。
発展は人間の成長である。しかし、禁忌には手を出してはいけない。次にその領域へ踏み込んでしまったとき、【終焉の厄災―カタストロフィ―】は再来し、今度こそ世界は終焉を迎えるだろう。
神々が創ったシステム、天使様がいらっしゃるその時は罪を認めよ。我々が間違っているのだ。そして神々へ祈り、罪を償うのだ。
神々への感謝と贖罪の心を忘れず、永久に世界が続くよう、私は祈ろう。
著:世界教会第1神官長 アダム・フロウリー(世界1000年祭記念誌より)