空からこんにちは
前回よりさらに遅くなりました…
二人に見送られたルーフェルとミエニは馬車の中、その揺れに身を任せていた。
自分たちの領地から王都は片道1日から2日の距離だ。これは近い方で遠いところは片道一週間かかるところもある。
それに比べるとマシだろうと理性はいうが、感情が納得できない。仕方なしにさっきまで一緒にいたティエルのことを考えていた。
ロケットの中には三人で写っている写真がある。
その写真を見てティエルを脳内で作り出し、エアティエルを愛でていると馬が騒ぎ出した。
御者は慌てて落ち着かせようとするもさらに激しく騒ぐ。まるで何か恐ろしいものが近づいて来ているかのように。
その様子を見た二人は
「ミエニ!」
「あなた!」
そう声を掛け合いながら馬車の外に出た。
なぜ馬車の外に出たのか?そう疑問に思うかもしれない。
馬車の中の方が安全そうに見えるだろう。しかし、二人が乗っていたのはただの馬車で、防御魔法も何も掛かっていないものだった。
これが、王族が乗るようなものだとそれらが各種かけられていて、一種の城のような防御力を誇る。
しかし、繰り返し言うとこれはただの馬車だ。この中にいて外からブレスでガアーーとでもやられてしまうと反撃することもできずに丸焼きになってしまうからだ。
よって、外に出る方が攻撃を避けたりしやすいし、反撃もできる。また、馬車を壊して爺に怒られるのも怖いというのもあった。
過去に戦闘中につい馬車を壊してめちゃくちゃ怒られたのを思い出すだけで、若干ブルーになる程爺は怖かった。
そんな未来を避けるため2人は外に出た。
(サーチ)半径100メートル内の意識体の自分たちに対する感情をもとに色分けして使用者の目の前に点で表す。敵意や害意など自分たちに対して悪感情を持っているものは赤で、疑わしいものが黄色で、それ以外は青の点で表される。地形などは半透明な点の集合体で表される。
ミエニが索敵結界を無詠唱で発動して馬がおびえる原因となったものを探す。
「んー、ありませんね。気のせいだったのでしょうか?」
「こんなに馬が騒いでいるのに?」
「現に、ほら。」
そう言ってサーチの結果をルーフェルにも見えるように動かす。
「確かにないが、これにかからないとか誤魔化しているとかそんなことはないか?」
「それはあり得ません!これは、精神を読み取って表します。眠っていても反応は出るのです。また、意識のないもの、無機質だって半透明な点の集合体で表すことができるのです。よって、ごまかそうにも動けばわかります。」
「そうなのか、なら馬は一体何に?」
「わかりませんね、じゃあこれを......」
結界を解除しかけた時、馬がますます暴れ出した。
「なぜでしょう?」
もう一度よく見ても自分たち以外には何の反応もなかった。
しかし突然、自分たちの反応と重なるように赤い点が写った。
「っ!あなた、これ!」
「なんだ?こんな反応さっきまではなかったよな?」
「そうですね、しかし周りを見ても......」
周りを見回しても自分たち以外はいない。すわっ、地中から!と思うも地響きもない。
相手が見えないという緊張感にルーフェルは無意識に手に持った剣を強く握りしめた。
すると、どこからか空気を叩くような音がする。
「っ上か!」
世界の食物連鎖の上位に君臨する最強の生き物、フレイムドラゴン。その姿は西洋の物語に出てくる竜そのもの。その鱗はフレイムの名に恥じぬ鮮紅色。ただの鉄ならその鱗に傷をつけることすら叶わない。そして銅を切り裂く鋭い爪。極め付けはその口から出る炎のブレス。一回で森を焼き払ってしまうという。そんな存在が頭上にはあった。
「ガルルルゥ」
そして恐るべき威力を秘めているブレスが放たれ、視界が白熱したーー
目撃者1
馬車の御者
この世の終わりだと感じたね。もう灰も残さずに焼き尽くされそうなブレスだったよ。太陽が降ってきたみたいに視界が白く染まったね。
そんな光景を見てなぜ生きてるかって?
そりゃ、あのドラゴンよりも恐ろしいものが現れたからに決まっているだろ!
思い出すだけで......あぁぁぁあぁっ!
(目撃者が錯乱したため一時中断)
取り乱してすまないね。でもそれほどの恐怖だったと理解してくれればいいよ。
昨晩も夢の中に出てきたんだ。おかげで寝不足になっちまって。
まあ、彼のおかげで今も生きているんだ。家族を露頭に迷わさずに済んだし感謝しているよ。
ここだけの話、もう少し刺激の少ない精神的に優しい倒し方をして欲しいと思ったね。
目撃者?2
馬
「ブルゥ」(あの日仕事で二人の人が乗った馬車を引いていたんだ)
「ブル、ブル」(少し進んだら何かに見られているような視線を感じたんだ)
「ブルルゥ」(さらに進むとその視線がその視線が獲物を見る視線に変わったんだ)
「ブルゥゥ」(それで怖くなって少し暴れたんだ。)
「ブルルゥ...」(そしたら馬車の中から人が出てきてなにやらしだした)
「ブルゥ!ブルルゥ」(そしたら視線の主が近づいてくる気配がしたんだ!さらに暴れてしまったよ)
「ブルルゥ、ヒヒィーン!」(その視線が近づいてきて見えるようになるとさ、何と噂に聞くドラゴンだったんだ!」
「ブルゥ」(あいつが口を開いてブレスを吐いた時もう死んだわーもう終わりって思ったよ)
「ブルゥゥ」(その時、ドラゴンよりも恐ろしい殺気を感じて恐怖で死にそうになったね)
「ブルルゥ.......」(それは直接向けられたら俺だと死んじまうんじゃないかな)
「ブルルゥ」(そのあいつよりも怖い奴がいたおかげで俺は今も生きているんだ)
「ブル」(でも、人間を見ているとあいつみたいに豹変するんじゃないかって思ってまともに仕事ができなくなっちまって)
「ブルルゥ」(まあ、厩舎を追い出されないうちに頑張るよ.......)
遅くなってすみません
休んだりする予定は今のところないです。
ただ更新スピードが遅いだけです…
気長に待っていだだけると嬉しいです