父と母と爺と
遅くなりました。
「ぇっー、オギャー」
と、ある部屋である銀色の髪をした赤ちゃんが泣いていた。その側には二人の若い男女、赤ちゃんの親がいて、泣き止ませようと四苦八苦していた。
彼らは、腕に抱いたり音がなる柔らかい素材でできた起き上がり小法師、のようなおもちゃで気を引こうとしたり、いろいろ試していたが、子供は泣き止まない。
「オギャーーーー、ギャーー」
そればかりかさらに酷くなっている。
その事に困り果てていると、横から腕が伸びてきて、その泣いている赤ちゃんを自分の腕に抱きかかえた。そして、優しいリズムでゆすり出した。すると、
「ふぇっ、っぇっ、すーー」
さっきまで泣いていたのが嘘のように赤ちゃんは穏やかな寝息を立て出した。
その様子を見ていた彼らは、驚きの表情を部屋に入ってきてすぐに泣き止ませた人物に向けた。
その視線を受け、
「経験の違いです。ルーフェル様をあやしていたのは誰だったのか覚えておられますか。」
と寝ているあかちゃんをおこさないように小声で言った。
その言葉に苦笑しつつも男ーールーフェルはこう言う。
「それはそうか。こうやってあやすのも初めてなんだからな、ミエニ。」
「そうですね、トニーにはかないません。ティエルが初めての子供で私たちは何も知らないのですから。」
その言葉に、ミエニはそう返した。
「これからゆっくり学んでゆかれればいいのです。ティエル様と共に成長なさってください。わからぬことがあればこの爺にお聞きください。」
爺はそう言って、赤ちゃんーーティエルをベットの上に寝かせた。
ベットの上に移されても穏やかに眠り続ける赤ちゃんを、愛おしそうに二人は見つめていた。
その幸せな光景を見た爺は持ってきていた映写機で三人の姿を写した。
その時撮った写真を爺は現像した。そして、ロケットペンダントの中に入れる。そのロケットには、中央に特殊な模様が刻まれた宝石が嵌め込まれていて、裏側には三人の名前が彫り込まれていた。それを、綺麗に包みティエルノ誕生日まで取っておいた。
数ヶ月後、ティエルの誕生日当日に家族と使用人だけでパーティーが開かれようとしていた。
その場で爺は、前に用意していたものを取り出した。
「ティエル様が生まれた間もない頃の写真でロケットペンダントを作ってみました。よろしければお使いください。」
「いつの間に撮っていたんだ?全然気がつかなかったよ。爺、ありがとう。」
「すごいよく撮れてますね、ティエルがとっても可愛く写っています。
トニーさんはすごいですね、ありがとうございます。」
「あぅー」
「喜んでいただけたようで爺は嬉しいです。さあ、ケーキを取り分けますのでお召しになってさい。料理人が最高傑作だと言っておりましたのでおいしいと思いますよ。」
「あの人はすぐに最高傑作だと言うからな、どれが最高傑作なのか変わらない。」
「料理人は腕を上げていくからいつでも最高傑作なのではないでしょうか?」
その時、ケーキの上の火がついた蝋燭にティエルは手を伸ばし触ろうとした。
「っ!」
「ティエル!それは熱いから危ないよ。」
優しくルーフェルはティエルを蝋燭から遠ざける。彼の背中から冷たい汗が流れ落ちていたが......
遠ざけていると蝋燭の火を消すことはできない。だから三人はティエルが蝋燭を触らないように注意しながらケーキを近づけた
「ふ〜〜って息を出すんだよ。」
「ふ〜」
「まだ消えませんね、もう少しですよ、ティエル」
「ふ〜〜」
2回目で顔を真っ赤にしながらもティエルは火を吹き消すことができた。
そんなティエルはたまらなく可愛かった。そう思ったのはルーフェルだけではなかった。ミエニもトミーもそのほかにこの場を見ていたすべての人がそう思った。
「「「ティエル、誕生日おめでとう!」」」
そう言われながら、首にさっきもらったロケットをかけてもらったティエルはさらに可愛く笑った。
「うっ……」
その可愛さに親バカな誰かは、何かに撃ち抜かれたように胸を押さえ、倒れてしまった。
「あらあら、気持ちはわかりますがこんな様子じゃ仕事にいけませんね。」
「そうでございますなぁ、これからが心配でございます。」
その様子を見ていた二人は、若干呆れながら言った。
誕生日会の次の日、ルーフェルとミエニは家を離れることになった。半年の一回でいい仕事が入ってしまったからだった。それは王都に行かなければならないのでしばらくティエルに会えない。
「ティエル、しばらく会えないけれど元気にしていてね。」
「早く行って速攻で仕事終わらせてすぐに帰ってくるからな、元気にしていろよ。」
ルーフェルは親バカが全面的に出ている。
昨日ミエニや爺が思ったように、これからの仕事に影響が出そうだ。
「最近は王都への街道も魔物がよく現れると聞いています。お気をつけてください。」
「爺、天災級や災厄級は無理だが、災害級ぐらいならなんとかなるさ、ミエニと僕ならな。」
「そうですよ、爺。私達なら、大丈夫です。」
「それよりも、ティエルの方が心配だよ。」
ルーフェルがそう言うと、
「この爺が命に変えてもお守りしましょう。」
そう、爺は力強く言った。
「爺がそこらのレベルの魔物に遅れをとるはずはないわ、そのことはわかっているでしょう。」
「そうだったな、爺が、あの爺が負けるはずはない。」
何かをお思い出したかのようにルーフェルは言った。
「もうそろそろお時間でございます。馬車にお乗りください。」
ティエルと離れるのを名残惜しそうにしながら、彼らは馬車に乗っていく......一人は乗ろうとしていなかった
「まだもう少しっぐわっ」
その一人を腕力で押さえて馬車に叩き込んだミエニはルーフェルと爺に
「行ってきます」
と言った。
「行ってらっしゃいませ」
「あぅー!」
そう返す二人だった。
間隔が開いてしまってすみません。
言い訳をすると国家資格受けたり、テスト期間だったり、友人の頼みでイラスト描いてたりしてたので時間がなかったのです。
許してくだい……