王都オストワルト Ⅰ
Prologを思っていたより多くの方に見て頂けて嬉しいです。アドバイス、コメント等もお待ちしています!
後書きは見なくても、本編に支障はありません。設定等を書いてくので、見た方がわかりやすいとは思いますが、参考程度に。
あの老人は能力の他にも、サポートフェアリーやマジックバックなど、便利なものを持たせてくれた。
マジックバックの中には、3日分の食料や、中剣、小刀などの刃物などが入っていた。この世界のマジックバックは富裕層なら持っているが、平民は持っている人が少ないという。
また、僕のは容量が無制限だが、一般のは1m四方分だったり、大きくても家1件分しか入らないらしい。無限に入るものなど、伝説級なんだと。
...僕のやつ、レア度高過ぎないか。
サポートフェアリーは身長30cm程の天使のような人型の妖精で、背中には小さな羽が生えている。サポートフェアリーは3日程しか顕現できないと説明されたが、その間にスペルやこの世界の常識、戦い方を教えてもらうことにしよう。声は出せないのか念話で色々なことを教えてくれる。が、
"ここから南に進むと道があるよ。"
「どれくらい進んだら道があるの?」
"...。夜には狼型の獣や、ゴブリンがこの草原に出現するから気をつけてね。"
このように、一方通行にしか教えてくれないようだ。まぁ、気楽に歩いていくことにしよう。
ーーーーー
サポートフェアリーの言った道は夜まで歩いても見つからず、1人のまま、夜を迎えることになってしまった。
夜の間は1人での戦闘は怖いので一晩中、チート能力の透明化を使って過ごした。運悪くすぐ近くを狼が通ったのだが、チート能力は匂いすら隠してくれるのか、通り過ぎて行った。
草原で夜を明かし、さらに南へ歩いていくと、ようやく道を見つけれた。道と言っても、辺りと比べて草が生えていない砂利道になっているだけで、整備されているという印象は受けない。道がこの程度なら車もまだ発明されていないんだろう。
恐らく、馬車が物流の主流なんだろうな。
...ようやく街らしきものが見えてきた。
周囲を20mほどの高く白い壁に囲まれていて、城壁はレンガのようなもので作られている。建てられてからそれなりの年月が経っているのか、所々ひび割れていたり、崩れかけそうになっている所もある。
城壁の上には兵士の詰所らしき屋根のある場所もあり、そこには5.6人の兵士が詰めている。
高さ4mほどもある城門の前にも兵士がおり、出入城を管理しているのか、紙を持って入城者の顔などをチェックしている。そのためか、城門の前には10人ほどの列が出来ている。並んでいるのは全員人だ。異世界だけに獣人やエルフがいるのを期待していたのだが、街中にいると信じよう。
さて、豪に入らば郷に従えともいうし、素直に列に並ぶとするか。
列に並んでいる時にもサポートフェアリーは僕にいろいろな知識をくれる。
"ここはオストワルト城っていうんだよ。"
"冒険者ギルドも、たっくさんの宿屋も、鍛冶屋も、傭兵所もあるんだよ。"
"この辺りでは1番大きい街で、人口は50万人を超えてるんじゃないかな。"
"王城なんだよ。"
正直、煩いくらいだ。
ふと思い出し、懐から1枚の紙を取り出す。サポートフェアリーが顕現して直ぐに
"街に着いたら読んでね。"
と僕に渡してきたものだ。
その紙には下手な字で、
"しろのまんなかのおっきなふんすいのところで、フェアリー大好きだ!ってさけんでくれたら、私はもっともっとながいじかんけんげんできるようになるよ。"
と書かれている。
"...おい。これはどうゆうことなんだ?"
サポートフェアリーは自らの判断で姿を消すことが出来る。街が見えた頃に見られるとまずいと思い、姿を消してもらっていた。
サポートフェアリーが姿を消している時に、僕が声を出すと、独り言をぶつぶつと言っている様に見えてしまう。なので、これからは念話で話すことにした。
"どういうこともなにも、書いてあるままだよ。"
...会話になった。これまではまともな返事をしてくれなかったのに。サポートフェアリーとは念話でしか話せないのだろうか。先に言って欲しかった。
"...ずっと顕現しているとして、その時には話が噛み合うようになるのか?"
"...。うん。私が消える前に言ってね。"
つまり、僕が街のど真ん中で黒歴史をつくれば、サポートフェアリーは会話もしてくれるし、顕現も続けれるらしい。期限はあと1日程。
"...そっか。考えとく。"
"...♪"
そんなやり取りをしているうちに列は進み、ようやく僕の入城検査の番が来たみたいだ。
槍を持った兵士と、紙を手に持ち腰に中剣をぶらさげた兵士が僕に手招きをしている。
「次の奴。早く来い。」
「む?お前見たことの無い顔だな?ここへは何をしに?」
「僕は商人です。商いをしにここへ。」
この世界には冒険者や傭兵がいるために、旅人も珍しくない。商人にも徒歩で街を行き来している者もいる。僕は体格がお世辞にも良いとはいえないので、商人を名乗ることにした。
「商人か。変わった服を着てるしそうなのもしれんな。だが、肝心の商品を持ってないようにも見えるのだが?」
「僕はマジックバック持ちなんですよ」
「おぉ。珍しいな。それも個人が持っているのか。大きなキャラバンなら持っていることもあるのだが...。この城には治安の悪いところも残念ながらある。盗られないように気をつけるんだな。
あと、その中に違法な物ははいってないな?」
「はい。大丈夫ですよ。」
「城内で騒ぎを起こした場合、最悪極刑にもなり得るからせいぜいしない事だな。」
「よし。次の奴。前へ進め。」
槍の兵士としか話をしなかったな。槍の兵士が会話をし、剣の兵士が書き留めるのだろうか。
まあいい。やっとの街に入れた。さて、情報収集が先か宿屋が先か、どうするかな。
僕はこの世界はどんな生活をして暮らしているのか、初めての街に胸を膨らませ城門をくぐった。
お?ここが後書きという場所か。ワシがきたぞい。
あやつがあの世界の情報を全然話さんからわしが言ってやることにしたわい。
今回はこの世界の通貨の話でもするかの。
この世界では、銭貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の5種類があり、銭貨100枚で銅貨1枚分の価値があるのじゃ。平民はだいたい銀貨10枚ほどあれば一月暮らせるの。そちらの日本という国に合わせてみると、銭貨1枚が1円程度じゃの。
さて、そろそろ仕事に戻るかの。またの!