Prolog Ⅱ
文章中に誤字脱字などあったら教えていただけると幸いです。
今更ながら、自己紹介でもしようかな。
僕は矢嶋幸樹。今年で31歳になるね。ローカル雑誌でライターをしていた。なんで過去形かって?異世界転生に巻き込まれたんだよ。
まぁ、親は幼い頃に僕を残して他界してしまってるし、彼女もいない。(できたこともない。)
孤児院でお世話になった人に挨拶すら言えなかったのは残念だけど、それ以外に心残りはないかな。
さて、現実逃避もここまでにしようかな。目の前の老人はまだむうむう悩んでる。
「あの、僕はどうなるんですか。」
『 なんとも言えんのぅ。元の世界ではトラックに撥ねられて死亡したことになっておるし、転生させるにはαリソースをかなり使うのじゃが、今ある分はあの高校生2人分しかないんじゃ。』
現世に戻ることも、転生することもできないってよ。僕はただ文章を書ければ嬉しいんだけどな。ライターになったのも文をかけるからだったし。
「僕はもう文章を書けないんですね。」
『 なに?文章じゃと!?お主は文を書きたいのか?』
「え、えぇ。そうですね。」
『 なんじゃ。それを先に言わんかい。』
なんで急に喜んでるの。さっきまでむぅむぅ唸ってなのにこの変わり様は怖いよ。
『 お主、わしの専属記者にならんか。』
「...はい?」
『 言葉が足らんかったな。わしは管理しとる世界をいくつか持っておるのじゃが、如何せんわしの目は2つしかない。なので、世界の情報が圧倒的に足らんのじゃ。そこで、お主に転移して貰い、その世界の情報を記事にして報告してもらおうかと思っての。』
転生でなくて転移か。まぁ、文章を書けるならそれも悪くないな。いや、僕は能力も欲しい。
『 その運動神経の悪い身体で行っても直ぐに死んでしまうじゃろう。じゃから、お主にいくつかの能力を授けよう。』
...能力だって!?あの相手の能力を奪ったり、魔法を使い放題だったり、身体能力が跳ね上がったりするやつか!?何も言わなくてもくれるなんて。
『 ...お主、何故そんなにニヤニヤしとるんじゃ。』
「...っ」
『 それで、どうかの?受けてくれると有難いんじゃが。』
「受けます!!」
『 おぉ、有難い。それで授ける能力なんじゃがな、AセットとBセットのどちらが良いかの。内容は見てのお楽しみじゃ。』
「え、教えてくれないんですか。細かい内容はいいので、大雑把にでも違いを教えてくれませんか?」
『 仕方ないのぅ。Aセットは戦闘特化型、Bセットは隠密特化型になるのぅ。』
戦闘特化と隠密特化か。主人公みたいになるには戦闘特化を選ぶべきなのだろうけど、記事を書くなら隠密特化の方がやりやすいか?
『 ...お主まだ悩んどるのかの。』
「そうですね。主人公になるか、脇役に徹するか悩んで...。」
『 時間をかけすぎじゃ。お主にはBセットをさずけるとしよう。』
視界が真っ白になった。
『 しばらくしてから、高校生2人もそっちの世界へ転生させるからの。その2人の記事も後に書いて送るのじゃ。』
薄れゆく意識のなか、そんな言葉が聞こえた(気がする。)そして、僕は意識を手放した。
ーーーーー
とまあ、こんな事が起きたんですよ。
全く、人生何が起こるか分からないね。あ、そうそう、僕の授かった能力は
"転移"、"読心術"、"念話"、"不可視"、"身体能力向上"、"言語変換"
などだね。
主人公の様な能力ではないけど、記者向けの能力だとは思う。便利な能力だけど、その分制限とかもあるから、無双は出来なさそうだね。(記者が無双するなんて、それはそれでおかしいけどね。)
「記事を書く為にも、早く街に着きたいな。」
この世界の街はどんなものなのか思いを馳せつつ、地図などないために適当な方向へと歩き出す幸樹なのであった。