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73 ミアと一緒に

 ミアは婚約破棄の手紙を送った。

 結婚を邪魔するミアの父、グラフ侯爵にも引退してもらった。

 

 今頃、プロジアがグラフ侯爵の引退を告げる手紙を王都へ運んでいることだろう。

 

 思いのほか、グラフ侯爵が物わかりが良くて助かったな。

 

 ただ、オレたちがきちんとグラフ侯爵を追い詰めていたってことなのかも知れない。


 グラフ侯爵を守るべき騎士たちは、ローゼンクランツ達はオレが潰したし、それ以外の騎士他意はヘルガとマリーがしっかり屋敷中しらみつぶしに倒して回っていた。


 ミアが町長たちに根回しをして、後は侯爵のサインのみにしてたってことも、侯爵がオレア達を認めてくれた原因だろう。


 そして、オレが魔族と噂されていることをグラフ侯爵は信じていはいないが、利用する気があるみたいだな。


 もし、オレが下手をうって、グラフ侯爵家から追われるようなことがあったときは……魔族のオレがやらかしたことだと、すべての責任をオレにおっかぶせてミアを守ってオレを倒し、権力をその手に戻すつもりなのだろう。


 ……これから、他の領地と戦いになるかもしれない。

 もし、それに敗れたとしても、ミアのことは守ってやれるかもしれない。


 オレとグラフ侯爵はその点においてのみ、仲間であるのかもしれないな。


 フン。

 侯爵が望むシナリオになど、してやるものか。

 しぶとく生き抜いてオレがミアを幸せにしてやるんだからな。


 不思議な満足感に浸っていると、「お風呂お先にどうぞ」とミアは部屋から出て行った。


 きっと、ミアは今日、覚悟を決めているに違いない。

 

 さて、オレもしっかりと風呂に入ってミアとの一夜を素敵なものにしないとな。


 風呂場へつくと、見慣れたメイドがオレを待っていた。


「お待ちしておりました、リク様」

「コリンナ、駆けつけてきたのか?

 さっきまでいなかったのに」

「だって、リク様のお着替えの世話をするのは私ですから」


 コリンナは慣れた手つきでしゅるしゅるとオレの服を逃がしていく。


「……リク様が侯爵様になるなんて……なんだか信じられない気分です」

「フハハハ、似合わないだろう。

 オレもそう思うが、ミアをもらうためには侯爵だろうが、見事に演じてみせないとな」

「ミア様のためにですか……正直妬けてしまいます」


 コリンナはオレの下着を脱がし終わると、ピトッとオレの足にくっついて来た。


「ミア様にも先を越されてしまいます……」


 コリンナは口をとがらせていた。


「フハハハ、すまないな。

 今日はミアという先約があるからな」


 オレはコリンナの頭を撫でた。


「今度な」

「もう……絶対ですよ?」


 返事の代わりにコリンナの肉球をぷにぷにしておく。


「……ふみゃ……」


 嬉しそうに喜んでいるコリンナを置いて、オレは風呂場へ行った。


「これはすごいな」


 ベケットの街の町長の風呂も石造りだったが、グラフ侯爵が使っていた風呂はそれよりもかなり豪華な作りだった。

 石造りなのは同じだが、綺麗に研磨された石材が綺麗に敷き詰められている。


「……ん?

 ヒトの気配がするが……」


 前だったら、気配でおよそだれだかわかったんだが。

 今は、ぼんやりとしかわからないな。

 風呂に潜ってるようだが……

 お湯の中でゆらゆら金髪がたなびいていた。


「……ミア、潜伏するならもう少し吐く息を小さくしないとな。

 泡が大きいから、潜んでることがもろバレだぞ」

「ぷは」


 ミアが湯船から勢いよく飛び出した。


「苦しい……」

「なんで風呂に隠れてるんだよ?」

「だって、一緒に入りたかったんですもの」

「そうか、そう言えばいいのに」


 湯船にいるミアを抱え上げ、オレも一緒に湯船にドボン。


 バッシャアアンと水があふれた。


「は、恥ずかしいです……」


 ミアは間近で自分の身体を見られて恥ずかしがっているようだ。


「眼を開けてるから恥ずかしいんだよ」


 湯船の中でミアを抱きしめながら、唇を奪った。


「……ん……」


 ミアは唇に感じる刺激に体をくねらせていた。


「ミア、綺麗だよ」

「うう……あまり見ないでください……」


 ふん、あまり見られて欲しくないなら、一緒に風呂に入りたがるものか。


「綺麗な髪だな」


 ミアの艶やかな金色の髪は、すれ違う人々の目を奪っていく。

 あまりに綺麗で、思わず髪を撫でてしまい、オレは求婚することになったんだ。


「くくく」

「何がおかしいんですか?」

「ん?

 この髪に見惚れて、ミアの頭を撫でたんだと思い出してた」

「ふふふ、毎日綺麗にしてた甲斐がありました。

 ……私、今日という日を夢見てました。

 リク様と結ばれる日を」


 オレの腕に抱かれてるミアが、あまりにまっすぐに見つめてくるから、思わず照れてしまった。


「素直な気持ちをぶつけるなよ、さすがに嬉しくなるぞ」


 はは、頬が熱い。


「リク様が照れてるんですか?」


 ニヤニヤしているミアを見て、恥ずかしくなったオレはミアの唇を塞ぐ。


「ん……」


 トロンとしているミアの瞳を見つめているが、ちょっと我慢できそうにないな。

 湯船から出て、更衣室へ。


 今まで裸で抱き合っていたが、風呂場から出ると急に恥ずかしくなったようだ。


「えっと、私の部屋で待っていてください」


ミアはオレから離れると、控えていたコリンナと一緒に逃げるように去っていった。

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