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68 クーデター計画

 町長の家の広間に集まって作戦会議。

 ミア、ヘルガ、マリーは当然として、町長とプロジアも同席している。

 コリンナはみんなに茶菓子や紅茶を配ってくれている。


「話は分かったわ!

 ほんと、リク様はとんでもないわね。

 公爵令息ブライアンをとっちめるなんて」

「あの、ミア様……どうして、そんなに笑ってられるんですか?」


 ミアは笑顔だが、町長は顔面蒼白だ。


「だって、リク様。

 私ができないなって思ってたこと軽々とやってしまうんだから」

「ですが、ミア様。

 これからどうなさるおつもりです?」


 元傭兵のプロジアがミアに尋ねる。


 ヘルガ、マリーもミアの発言に注目していた。

 貴族のもめ事であれば、侯爵令嬢ミアの名前を出せば解決することも多いだろう。


「そうね……少し状況を整理しましょうか」


 ミアははつらつとした笑顔を見せている。

 小さい頃からの教育もあるんだろうけど、本当にミアは領主の器だな。

 嬉々として課題解決に取り組むさまは本当に頼もしい。


「一つ目、ザイフリート商会の処遇。

 二つ目、ブライアン・アルダーソン公爵令息をどうするか。

 三つ目、獣人奴隷の解放」


 皆はミアの話に頷いていた。


「あ、も一つ忘れてた。

 四つ目、お父様――グラフ侯爵が怒ってる」

「ハンスの件もあるけど、こっちはそこまで急がないかな」


 ハンスか。

 元ヘルガの婚約者だった男。

 ぶちのめしておいたから時間の猶予はあると思うが。


「グラフ公爵とヴァイスブルグ侯爵と、おまけに主家であるグラフ侯爵と揉めてる街ベケット……町長たる私は生きてる心地がしませんよ」


 町長は肩を落とした。


「一歩間違えれば戦争になるでしょうね、領民の被害はなるべく出したくないけど……」


 ミアは腕を組み、思案しているようだ。


「暗殺する?」

「ちょっと待ってください、簡単にそんなこと言いますけど……難しいですよ?」


 ヘルガの提案にマリーが難色を示した。

 オレは考え事が苦手だ。

 呪いの影響で知力が低いからな。

 考えるより、行動だ。


「じゃあ、殺るか」

「うん」


 オレとヘルガが準備をしようと立ち上がるが、マリーが慌てて無理やり座らせた。


「ちょっと、結論が早すぎますってば」

「むう」


 ヘルガはちょっと不満そうだ。


「一番嫌なのは、公爵たちが手を組むことですね」

「そうだな」

「一ついいことを思いつきましたが、ちょっと気が引けますね」


 ミアには珍しく言い淀んでいた。

 

「嫌なことなら言わなくていいぞ、ミアが嫌なことする必要ないんだ」

「でも、これしかないんですよね……よし、覚悟を決めますか。

 リク様、どんなことがあっても私を守ってくれますか?」


 聞く必要なんてないが……あえて言葉が欲しいってときもあるかもしれないな。


「当たり前だ」

「フフ……では、わかりました。

 お父様――グラフ侯爵を引退させましょう!」

「「ええ!?」」


 ヘルガ、マリー、プロジアは驚いていた。


「えっと、ミア様の実のお父様ですよね?」


 マリーはびっくりした様子でミアに尋ねた。


「でも、お父様ったら私とリク様の結婚に反対してるし、奴隷制なくすのも反対だろうし……何より、頑固者なのよね」


 ミアはグラフ侯爵の実の子だけに、どんな人物か知り尽くしているのだろう。


「お父様のお許しを待ってたら、リク様との結婚なんて最悪10年待たされるわ。

 そんなの私嫌よ」

「……でも冷静に考えれば、そうすればザイフリート商会と、奴隷制は解決しますね」


 マリーがぼそっとつぶやいた。


「クーデターか」


 ミアとの結婚を邪魔されるならこの際、仕方がないな。


「私もお父様にクーデターを起こすなんて夢にも思ってませんでしたけど……まあ、早めに引退したと思えばね」

「ミア様、じゃあ領主はミア様がやるんですか?」


 マリーは興味津々と言った様子で聞いて来た。


「それはもちろん……」


 ミアがオレを見た。

 つられてヘルガ達みんなの視線もオレに集まってきた。


「オレか?」

「もちろんそうですよ、だって私の旦那様なんですから」

「……面倒だな」

「大丈夫ですって、今までどおり細かいことは私が、いえ私たちがやっておきますから。

 ですよね、ヘルガ様」


 ミアはヘルガに尋ねた。


「うん、リクはどーんと構えててくれたらいいよ。

 ね、マリー?」

「……たぶん、そのうちの本当に面倒なことは私がやるんだと思いますけどね」


 マリーはぼそっとつぶやいた。


「何か言った? マリー」

「いえ、何も」


 マリーは尊敬するヘルガには頭が上がらないようだ。


「わかった。

 ミアを嫁にもらうには仕方ないんだろ?」

「そうですよ」


 ミアが近くに来た。

 この顔は頭を撫でてほしいんだろな。

 期待通りにしてやるか。


「ふふ、旦那様に撫でられちゃった」

「はは、ミアが旦那様って呼ぶのはやっぱりまだ似合わないな」

「もう、私だって旦那様って呼ぶのが似合う大人の女性にすぐなるんですからね!」

「別に背伸びしなくていいよ、じき大人になるミアも、今のミアも可愛いぞ」

「あ、ありがとうございます」

 

 ミアは照れていた。


「よし、じゃあグラフ侯爵を引退させに行くか」

「「はい!」」


 みんなやる気満々だ。

 町長以外は。


「みなさん、本気なんですか?」


 町長はぶるぶると震えていた。


「そうだな、仕方ない」

「ああ、私の街から反逆者を出してしまった……」

「あら、町長。

 何他人事のように言ってるんですか?」


 ミアは町長の肩に手を置いた。


「今から馬車で他の街の町長をこの町に呼びつけてください」

「な、なぜ?」

「グラフ侯爵家領地の町長全員の同意を取り付けるのよ。

 町長全員のサインと、領主のサインがあれば王家も領主交代を受け付けざるをえなくなるわ」

「そのために私が他の街の町長を集めると……ミア様、例えばですけど、もし私が嫌だと言ったら?」


 ミアは町長をじっと見つめた。

 

「そうねえ、例えば町長がハニートラップを仕掛けさせた女の子とか」


 コリンナが町長の首筋にナイフを突き立てた。


「ひぃい」

「例えば、町長が政略結婚させようとした街の英雄なんかは、リク様のためならなんでもやるような気がするわ」


 ヘルガは剣を町長の首筋に当てた。


「できれば、町長に協力してほしいんだ。

 私、町長をできれば殺したくないけど……でも、リクのためだから」


 ヘルガは爽やかな笑顔で町長を見つめた。


「町長。

 ヘルガ様は優しいお方ですけど、私は割とサクッとやれますよ。

 試してみますか?」


 コリンナはすごく肝が据わっていてたまに驚くことがある。


「わ、分かりましたよ! もうどうにでもなれ!

 ……ああ、許してください、侯爵様!」


 町長が走り出した。


「プロジア」


 ミアがプロジアの名前を呼ぶと、プロジアはすぐに頷き駆け出した。


「はっ!」


 おい、何の指示もしなくても部下のプロジアが勝手に動いているぞ。

 大した手腕だな。


「町長やプロジアとかの人の使い方を見てると、ミアは十分女主人が務まると思うけどな」

「褒められるのは嬉しいですけど……私はリク様についていきたいんです。

 私だけじゃなくて、みんなそうだと思いますよ?」


 ヘルガが頷いた。


「私もリクが侯爵様なら、みんなを幸せにしてくれるってそう思うよ

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