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46 リンにスライムマッサージ

「じゃあ、リン服を脱いでベッドに腰かけてくれ」

「……あ……はい」


 リンは服を脱いでシーツにくるまった。


「私も今日から大人です……リク様……いろいろ教えてくれます?」


 リンは体と耳ををぶるぶると震わせていた。

 

「そうかそうか、解呪をリンもマスターするんだな偉いぞ」

「リク……今日は私とだよ……」


 ヘルガはオレの袖を引きながら泣きそうになっている。

 ん? なにか誤解してるのか。


「よし、じゃあヘルガとするか」

「うん!」


 ヘルガは飛び上がって喜んで服を脱ぎだした。


「ヘルガ何やってるんだ?

 お前が脱ぐ必要ないだろ。

 さっさとスライム温めるぞ。

 ほら、バッグからスライム取り出して」

「え?」


 首をかしげるヘルガはどうにも要領を得ないので、オレがスライムを取り出す。


「ほら、ヘルガ。

 その炎のスクロール取って」

「あ、うん」


 ヘルガが首をかしげながら巻物スクロールを広げる。

 あっと言う間に炎が燃え上がった。


「隷属紋の解呪に使うドクヌキスライムは、温めると効果が上がるんだ。

 ほら、ヘルガさらわれた獣人の子たちを助けるんだろ?

 オレがやるとこ見ててね」

「あ……今から解呪するんだね」


 ヘルガは下を向いて顔を真っ赤にしていた。


「へ? 解呪以外に何をやるんだ?

 さっきから」

「勘違いしてたの、うん。

 私、しっかり覚えるからね」


 ヘルガは首を振って気合いを入れ直し、スライムが温まるのをじっと見ていた。


「お、スライムがぷるぷるしだしたぞ。

 これがちょうどいい温度だ。

 ヘルガ、持ち上げてみろ」

「うん」


 ヘルガは真剣な顔をして、スライムを持ち上げた。


「うああ、なま温かくてニチャニチャするよ」


 スライムがトロトロとヘルガの手の中をうごめいている。


「スライムってのはニチャニチャするもんだ。

 リン、後ろを向いてシーツを腰まで下げてくれる?」

「は、はい……」


 リンはうつぶせになり、シーツをひざ下まで下げた。

 

「お尻はしまおうね」


 オレはシーツを引き上げると、リンの腰までシーツを引き上げた。


「シーツおしりのとこにあると、邪魔じゃないです?

 リク様が……その……動かすのに」


 リンはうつぶせのまま、震えながらオレに話をした。


「背中にある隷属紋を取るのにお尻にスライム塗りたくる必要ないだろ?

 ほら、ヘルガ。

 リンの背中にスライムを落として」

「あ、うん」


 ヘルガの手から零れ落ちたスライムがリンの背中にテロテロと落ち続ける。


「ふみゃ……ふみゃああああ!」


 こそばゆいのか、リンはシーツの下のお尻をもぞもぞとさせていた。


「ヘルガ、このスライムはよーく皮膚に塗りつける必要がある。

 オレがやるから見てろ」

「あ……うん」

「行くぞ、【解呪(ソルブザカース)】」


 オレはリンに馬乗りになって背中に手のひらをあて、スライムに刻まれた魔法陣を発動させた。


「ふみぃ!」


 スライムが背中に染み込んでいく感触に身体をひくつかせるリンの背中にぐっと押し込むようにスライムをもみ込んだ。


「ひにゃぅ……んんん!」


 リンは顔を赤らめ、上半身をそらせた。


「頑張れ!

 皮膚の下まで浸透した隷属紋を取り除くにはこれしかないんだ!」


 オレは耐えているリンを励ましながら、零れ落ちたスライムを救い上げながら執拗にリンの柔肌にスライムを塗り込んでいく。


「声が、でちゃいます……」


 ビクンビクンと体を震わせるリンにオレは心を鬼にしてぐぐっと皮膚のしたまで届くように隷属紋へ手のひらで強く強くもみ込んでいく。


「ふみゃああああああああ!」


 リンはひと際上体をそらし、小ぶりな胸をあらわにして体と尻尾をぶるぶると震わせると力なくベッドに倒れ込んだ。


「れ、隷属紋が消えてる……」


 ヘルガはキレイになったリンの背中にくぎ付けだ。


「リン、よく頑張ったな」

「リク様……気持ちよかったです。

 天国が見えました」


 リンは宙を見て目はウツロ。

 身体をビクビクと震わせていた。

 そうかそうか、奴隷じゃなくなったもんな。

 そりゃ気持ちいいに違いない。


「本当に解呪できてる……」

「ちょっとヌルヌルするけど、ドクヌキスライムを使うのが、一番後が残らないんだ。

 焼き切ったりする方法あるんだけど、可哀そうだろ?」


 オレも昔は隷属紋を消すのに獣人たちの背中を焼いていたことがある。

 背中に傷は残っても、嬉しいと涙を流していた。

 でも、オレは胸が痛かったんだ。


 だから、奴隷制度をなくしたんだ。

 リンもこれで幸せになれると思う。

 

 ヘルガは二つ合わせの鏡をリンに見せ背中がキレイになったことを伝えていた。


「これが私の背中……」


 リンは涙を流していた。


「背中を見るたびに、鞭の音が聞こえてたのです。

 リク様、私、きっと恩を返します!」


 リンはオレに抱き着いてきた。

 うへえ、オレもヌルヌルするじゃないか。


「笑ってよ、オレはそれだけでいい」


 リンはオレに向けてこれ以上ないほどの笑顔を見せてくれた。


「きっと、リク様と一緒にいれるならずっと笑っていれます」


 リンはオレに抱き着いてぐりぐりと小さな胸を押し当ててくるが……

 オレは貴族服を洗濯するのが面倒だなあとそのことばかり考えていた。


「リク、コリンナにもこうやって解呪したの?」

「うん、コリンナはリンより体が大きいからもう少し時間がかかったけどね。

 解呪されてとても嬉しそうだったんだぞ」

「コリンナがリクにメロメロな理由がわかった気がするよ」


 ヘルガはため息をついていた。

スライムマッサージはとても医療的な行為よ。

けして魔女の手ほどきのないままに施術しないようにね。

レレムとの約束だよ!

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