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19 モーニング

 何も着ていないオレとコリンナのところへミアが邪魔しに来た。

 夜遅くオレの部屋に来たミアがガミガミ怒っていたが、オレはなんだか眠かったので……むにゃむにゃ。


「リク様、聞いてます?」


 ……聞いてないぞ……Zzzzz


「あらあら、リク様。

 今日は決闘までしてお疲れでしたものね」


 コリンナがむぎゅっとしてくれてオレは夢の国へ行った。

 オレはむにゅむにゅしたマシュマロめいたものに包まれた夢を見た。


 ☆★


 うーん、いい夢だったな。

 白くてプルプルしたマシュマロに包まれてむにゅむにゅだった。


「リク様、おはようございます」


 キツネ耳のプルプルしたマシュマロ……コリンナはクラシカルなメイド服に包まれていた。

 

「おお、なんだか久しぶりにメイド服を着たコリンナを見た気がするなあ」


 コリンナは裾をつまみあげてご挨拶。

 

「今日から私、リク様のメイドとして雇われました。

 精いっぱいお世話いたしますね」


 はて?

 オレは雇った覚えはないぞ?


「ん? そうだったっけ?」

「昨日、私とリク様がちゅっちゅしていましたところにミア様が来まして」


 あ、そういえばミアがぎゃーこら言ってた気がするなあ。

 

「私とリク様の仲を問い詰められました」

「仲って言われてもなあ、仲良しって言えばいいのかな?」


 コリンナはくすくす笑う。


「それはもう、仲良しですけどッ」


 コリンナはちょっと上機嫌になった。

 鼻歌を歌いながら、紅茶を準備したり、パンにバターを塗ったり甲斐甲斐しい。

 

「リク様が私の身柄を買い取ったこと、【隷属紋】を消したことをミア様にお伝えすると、ミア様は感激したご様子で……そして、私のことをお許しになり、リク様付きのメイドとしてグラフ家に雇われることになったのです」

「ほほう、ミアはオレにメイドさんまで雇ってくれるなんて偉いなあ」


 オレはビックリしていた。


「もう、いつまでとぼけてらっしゃるんですか?

 リク様が、将来の侯爵家を背負って立つんですよ。

 さ、お洋服も着ましょうね」


 んん? コリンナの言ってることがなんだか意味がちょっとよくわからないな。

 知力の低い頭で考え事をしても何も浮かばないなあ、なんて思っているとコリンナは恐ろしい手際でオレに下着や洋服を着させてくる。

 時折、コリンナの手が近くに来るので、肉球をプニプニする。


「もう、リク様あとでいくらでもしていいですから……今は邪魔しないでくださいね」


 忙しそうなコリンナに怒られてしまった。


「はい、お着換え完了です」


 おお、どっから見ても貴族。

 モノトーンでまとまっているけど、オレは冒険者なのでなんだかムズムズするな、貴族の坊っちゃんみたい。


「まあ、侯爵家とかどーでもいいけどおなか減ったな」

「もう、そんなことって……とぼけたリク様も素敵ですね。

 モーニングが用意できてますよ」


 オレと話しながら、コリンナが手早く用意した立派なモーニングがオレの部屋の机の上に並べられている。

 オレンジジュース、ミルク、パン、クルミ、パインジュース、ゆでた卵。ベーコン、ハム、ソーセージ、サラダ、温野菜。

 あとは手が込んでいて料理名がオレにはわからないな。


「うわあ、めちゃめちゃうまそう、いっぱいあるね」


 コリンナはにっこり笑って料理の説明をしてくれた。

 まあ、オレは難しい料理名はちんぷんかんぷんなので食べて舌で覚える。

 うん、全部うまい。

 

「全部うまかった」

「どれが好きなんですか?」


 オレは食べたものを思い出す。


「甘いのと、肉」


 コリンナはくすくす笑った。


「リク様、子どもみたい」

「い、いいだろ、甘いのと肉はみんな好きなんだ」

「正直なリク様が素敵ですよ」


 コリンナはずっとニコニコしていてオレをずっと褒めている。


「ずっと褒めるなあ」

「……褒めるところいっぱいなんですもの」


 とかなんとか話しながら、ちゃっちゃと片付けているコリンナは仕事ができるなあ。

 すっと、目の前に紅茶。


「紅茶です、どうぞ」

「うむ、キレイな色だな」


 ゴクゴク。

 すっとお茶菓子。


「お茶菓子です、どうぞ」

「うむ、美味しそうだな」


 モグモグ。

 すっと目の前にコリンナ。


「モーニングキスです、どうぞ」

「うむ、可愛いな」


 ちゅぱちゅぱ……


 ?


 コリンナの恐ろしい手際であっという間にモーニングキスまで召し上がってしまった。


「あの、コリンナ。

 ……モーニングってキスがついてるの?」

「はい、これからは……ずっと」


 コリンナは大人しいタイプかと思ってたけど、結構積極的だな。

 

「おかわりは?」

「朝からいっぱい食べると、ミア様に怒られますよ」


 とか何とか言いながらコリンナの顔はオレの目の前にあった。


「可愛いな」

「……これからは、私がずっとリク様のお世話をしますからね」


 ついついおかわりをしてしまった。


 はむはむ。


「リク様、おはようございます」


 ミアが挨拶しながらオレの部屋をバーンと開けた。

 ゆっくり開けようよ。


「あ、おはようミア。

 はむはむ」

「おはようございます、ミア様。

 ん、ぷはあ……はむはむ」


 とりあえずミアに挨拶をしたけど、もう少し、はむはむしときたい。

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