エピローグ
「全員揃ったようだが、それで俺に勝てるとでも思っているのか?」
「思っているけど? 逆に聞くが、お前一人で、この人数を相手にできるとでも?」
「無論だ。今の俺は、魔王すらも超える存在となっている。貴様らがいくら集まろうとも俺の勝ちは揺るがぬわ!」
などと自信満々で、宣言するフォルガデ。
そこまでの自信があるということはやはり、相当の力をつけてきたということだ。
あのオーラはいったい、どこの誰の力だ? 少なくとも、悪魔のものではない。おそらく、今のフォルガデの力は他の誰かのもの。
協力者がいると俺は思っている。だが、それが誰なのかはわからない。
まあ、こいつを倒して直接聞けばいいだけだ。
「自信満々なのはいいが、魔王をあまりなめないほうがいいぞ?」
キースが一歩前に出て、ついに今まで一度も外さなかったメガネを外した。
すると、露になったのは瞳に刻まれた悪魔の羽のような紋。
その片翼が禍々しく煌いていた。
ずっと昔にキースは魔王となるため、魔法を極めるために。
その瞳に、刻み込んだ紋。
魔の一族のほんの一部のみに刻まれることが許された悪魔の中の悪魔の印。それが【真魔の紋章】だ。 あれは、魔力を高め瞬間的な火力は、ルヴィアでも受け止められるかどうか疑問なところだという。
「ここからは全力なのだろ? 我が親友」
「ああ、その通りだ。つーわけだ! お前らも全力で奴に挑め! 最終決戦だ!!」
すると、周りにいる仲間達は今まで一番良い笑顔を見せた。
「よーし! そういうことだったら! 今、私が使える最大の【聖天術】をお見舞いしてやる!!」
「私も精霊王の力をここに見せます!!」
「それじゃあ、私は全力で戦えるように……フィールドを作ってあげるっ」
攻撃ではなくサポートで全力を出すと、クロが手を突き出す。
空間は歪み、周りの景色が黒く染まっていく。
まるで、悪魔の世界。黒と赤、ほとんどが二色で染められている空間に変化した。
「ぬぅ!? これは」
「余所見はいけないな!」
「ぐッ!?」
周りの景色が変化したことに一瞬驚いていたフォルガデに、ロイスが突っ込んでいく。
反応に遅れたフォルガデだったが、それでもロイスの攻撃を受け止める。
「貴様は、勇者ロイスか。不意打ちとは勇者とは思えん行動だな」
「悪魔にだけは言われたくないな!!」
一度、後ろに跳びルヴィアと交代をした。
その手には氷の魔剣【アシュレイ】が握られていた。
「えいや!」
「はっ!!」
もう一度受け止めるも、さすがはルヴィアだ。フォルガデを押し込んでいる。
「どうしたのかしら? さっきまでの威勢がなくなってきているわよ? 私達なんか余裕で倒してみせるんじゃなかったかしら?」
おまけにルヴィアさんの挑発を受ける。それも、とてもいい笑顔で言っているので余計にフォルガデには効いているだろう。
「くははは!! 今から、そうしてやろう!!」
あえて挑発に乗ってやったとばかりに、ルヴィアを豪快に弾き飛ばし、そのままフォルガデは追撃に移る。
しかし、そこへ俺が割り込んだ。
「させん!!」
「邪魔だ!!」
炎を纏い、フォルガデと激突する。
黒と赤の世界に弾ける闇と炎。さすがは、言うだけはあるようだな。俺の攻撃が、弾かれてしまった。
だけど。
「ふん。やはり貴様らの力などこの程度。今すぐ、決着をつけてやる!!」
「それは……こっちの台詞だ!」
「まだ足掻くか!」
急接近し、激しい猛攻。
火花が散り、鈍い金属音が鳴り響く。
そろそろ、時間だ。俺は時間を計り、もういいだろうと大きく背後へと跳ぶ。
「ぬ?」
「さあ、フォルガデ。そろそろ俺達の全力を受け止めてもらうぞ」
「準備はできているぞ、霊児」
「私も! 詠唱完了!」
「私もです。いつでも撃てます!」
俺は仲間が呪文詠唱を完了するまでの時間稼ぎをしていた。
それが完了したのを見計らって、背後に跳んだんだ。
「させん!! ぬ!?」
それに気づいたフォルガデスが接近し、撃たれる前に潰そうと動くもクロの呪縛で身動きを一瞬だが封じられた。
「ふふ。全力かぁ。じゃあ、遠慮なくいかせてもらうわ!! 具現せよ! 解き放つは、真の闇。光を喰らう魔王の剣よ!」
「ならば、僕もいかせてもらおう! 勇者ロイスが命ずる。封印されし楔を今、解き放ち。勇猛たる我が力となり、聖なる刃で、闇を切り裂かん!」
闇と光の力が同時に膨れ、同時に解放された。
「現れなさい! 【アビシアン】!!」
「いでよ! 【パラディアス】!!」
光を喰らう魔王の剣。
今まで、この魔剣を解き放ったことは一度だけ。【アシュレイ】と同じで片刃の剣。そう【アビシアン】は【アシュレイ】と二本で一本になる魔剣なのだ。
「連結!」
連結することで、両刃の大剣へと変化する。
氷と闇の魔剣。
これが、魔王ルヴィアの全力。
「さあ! フォルガデ! 俺達の全力全開を!! 熱血! 舞い上がれ! 熱き正義の闘志よっ!!!」
呪縛されているフォルガデはなんとかそれを解こうとするも解いた後からまた呪縛され、中々身動きが取れない。
クロは俺達の攻撃のために全魔力を注ぎ、フォルガデの動きを封じてくれている。
その想い俺達は答えてやらねばならない。
「くそおおお!! 俺は! 俺は……! こんなところで!!!」
「さあ、いくぜ! まずは【魔王の威光】で全員をパワーアップ!! そして……くらえ!! 《ダイ・フェニックス》!!!」
轟々たる炎の鳥が突き進み。
「《カラミティ・エンド》!!!」
多色の魔力砲撃が放たれる。
「《エルジェ・ノヴァ》!!!」
闇を浄化せんと聖なる光が極太の槍となり突き進み。
「《フォース・ブレイカー》!!!」
四色の精霊達が重なり巨大なハンマーとなり振り下ろされる。
「《アビス・レイド》!!!」
氷と闇の二色刃が舞い。
「輝け! 【パラディアス】!!!」
極光の刃がフォルガデに振り下ろされる。
これが俺達の全力全開。
「これを受け止めれるものなら受け止めてみろー!!!」
「ぐおおおおおおおおっ!!! こんなものでぇ!!!」
呪縛を無理やり千切り、両手を突き出す。
魔力を収縮させ、それを解き放った。
ぶつかり合う俺達の攻撃。これだけの攻撃に対して、フォルガデは負けていなかった。
「ふはははははは!! 俺の力は、貴様ら程度が束になったとて、超えることはできぬわ!! 俺の力は神。邪神によるものなのだからな!!!」
「邪神だと? お前、神に力を貸してもらっているのか!!」
「そうよ! 俺は、貴様らのような腑抜けた存在とは違う。俺は、この力で、世界を手に入れる!!!」
そうか邪神か。
神の力をあいつは持っているのか。それならば、この感じ納得がいく。
神による力。
確かに、魔王をも超える存在だ。
「所詮それは借りている力! 貴様自身の力ではない!!」
「だね! 他人から借りて強くなった気になっている人になんて」
「負けません!」
「あら? そんなことを言ったら、霊児君も他人から力を借りてることになるんだけれども…」
「それは言いっこなしだ」
うんうん、確かにそうだな、それは言いっこなし。
今は、目の前の敵を全力で倒すのが先決だ。
「邪神の力だとしても! 俺達の全力全開の力のほうが上だ!!!」
「なにっ!? お、押されているだと!? 馬鹿な! 神の力が……俺の神の力が!?」
所詮それは、お前の力じゃない。神の力だとしても、それは借りもの。
本当の神の力ではない。
「これで、終わりだ!! フォルガデ!!!」
「くそ! くそおおおおおお!!!」
ついに押し負け、フォルガデは光に包まれる。
肉体は一瞬にして消滅。そして、そこから禍々しい輝きを放つ宝玉が出現した。あれが邪神の力ってやつなのか?
『くっくっく。よくぞ、我が力を打ち破ったな。褒めてやろう。だが、これは我の本来の力ではない。いずれ、我の本当の力を目の当たりするだろう。それまでせいぜい生き延びるが良い。ふははははははは!!!』
なとと、高笑いをして消滅する。
なんだったんだあれは。ただ球が喋っていただけのシュールな光景だったな。
「邪神かぁ。なんだか変なのが出てきちゃったね?」
「ですね。これからどうなっていくんでしょう?」
フォルガデとの戦いを終えた仲間達は俺の近くへと寄ってくる。
「神……なんだかワクワクしてきたわ!」
「邪神。この世にどんな厄災をもたらすのか。これは勇者としては見過ごせない存在だな」
「なに。邪神とて、俺達の力を合わせれば、大丈夫であろう。な? 霊児」
「そうだな。まあ、ともかくだ。これで大きな戦いが終わった。邪神のことも気になるけど、今は素直に喜ぼう!!」
まだまだ、戦いは続きそうだが、俺達は決して屈することはない。例え、その相手が神だろうと! なんてかっこいいことは言わない。これで、しばらくゆったりと過ごせそうだ。最近は、フォルガデのせいで大忙しだったからな。
「皆を集めて祝杯だ!! 思いっきり楽しむぞ!!!」
そんなわけで、大きな戦いの終幕を祝してこれからパーティーだ!
《おおおおお!!!》
さあ、これからの冒険はどんなものになるか。俺の異世界生活はまだまだ続く!
そんなこんなで、年末で完結!
俺達の戦いは! みたいな終わりです。
新作は、年始に投稿する予定ですので少々お待ちください! 今まで書いてきたものの設定を合成させたような作品……ですかね?
では、皆さん! よいお年を!!




