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第七話

「ルヴィア軍は、左! クローナ軍は右だ! そして、我がキース軍は魔法で後方より援護だ!!」

「了解!」

「わかった」

「俺は、正面より突撃する! エルジェ! レリル! 着いてきてくれ!!」

「わかったー!」

「一緒に行きましょう!」


 相手の軍を倒すために俺達は突き進む。

 相手は、三つに分かれている。

 キースが、指示し俺達も分かれる。


 ルヴィア率いるメイド軍は、左の軍に応戦。

 クロ率いる武装軍は、右の軍に応援。

 キース率いる魔法使い軍は、後方より魔法で援護を。

 そして、最後に熱血武装を身に纏った俺と、エルジェ、レリルは正面からフォルガデの軍を応戦。


「ふはははは!! たった三人で我が軍と戦うとは、なんと愚かな!! 気でも狂ったか!!」

「気なんて狂ってないぞ? それに、俺には頼れる仲間達がいる!!」

「おお! そうだ! そうだー!」

「私達が霊児さんをしっかりとサポートして見せます!」


 大人数での戦い。

 俺には、的確な指示を出せるような才はないが、それでも、この戦いは仲間達と一緒に勝つ。


「さあ、フォルガデ。今から、魔王の力を存分に見せ付けてやるよ!」

「笑止。魔王の力など、俺には無力だということを教えてやる! もう一度、命を奪うことでな!!」




・・・・・




 右側を任されたクローナは、得意の空間魔法を使うことで、相手の予測を超える瞬間的な移動を部下達にさせて、かく乱。

 徐々に、数を減らしていくが、そこへ相手側のリーダーらしき悪魔が正面に現れる。


「お前が、空間魔法を操る魔王か。なるほど。噂以上のデタラメさだ」

「あなたがリーダー?」

「そうだ。俺の名は、マグナウト。魔将の中では、魔法に長けた悪魔よ。今までの二人とは強さが段違いだ。覚悟するんだな」


 マグナウトと名乗った悪魔は、悪魔特有の漆黒の髪の毛を持ち、接近戦よりも魔法に長けているようだ。

 今までの二人とは違い、それほど筋肉質ではない。

 漆黒のローブを身に纏い、腕には魔法石をはめ込んだ腕輪を装着している。。


「俺は知っている。お前は、空間魔法というレアな魔法を所持しているが、それ以外はほとんど並以下だとな。攻撃魔法も初級程度しか扱えないのだろう?」


 見下したような視線で、クローナに言う。

 その言葉に、クローナは動揺せず、冷静に答えた。


「確かに、私は攻撃魔法は初級程度しか扱えない。けど」


 瞬間。

 クローナが消えた。空間が歪み、マグナウトの背後へと回りこんだのだ。

 それだけで、攻撃があまり強くないクローナでも敵を倒せる。

 だがしかし。


「甘い!」

「むっ?」


 攻撃をしようとした瞬間、魔方陣が展開。クローナの攻撃は弾かれ、そのままマグナウトの掌に出現させていた魔法を、バランスを崩したクローナへと叩き込もうとする。

 

「危なかった」


 間一髪のところで回避したクローナは、空間移動で元の場所へと戻る。

 もう少し回避が遅れていたら攻撃が直撃していただろう。


「かわしたか。だが、これでわかっただろう? 所詮、お前は魔王と言っても祭り上げられた魔王に過ぎん。さあ、我が魔法の前に屈服するがいい!!」

「クローナ様」

「うん」


 マグナウトが魔法を唱えようとした時だった。

 クローナの部下二名が耳元でささやく。

 クローナは、瞬時に空間魔法でその二名をマグナウトの両脇に移動させ、攻撃をさせる。


「これならばどうだ!」

「であああ!!」


 迫りくる攻撃。

 だが、マグナウトは。


「だから、甘いと言っている」


 左右同時に魔法人を出現させ、防御。 

 弾かれた部下達はそのまま吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「何をするかと思えば、ただの左右同時攻撃とは。俺もなめられたものだ。この程度の実力の持ち主が魔王だとは」


 やれやれ、と呆れた表情で首を振る。


「……じゃあ、見せてあげる」

「見せる? 何をだ?」


 馬鹿にしていたマグナウトに、クローナはいつもの表情で魔方陣を展開させる


「私のとっておき。実は、召喚魔法を取得していたのだ」

「召喚魔法を? ほう、それはそれは。自分の攻撃が効かないから他人に任せるということか?」

「だって、私、攻撃タイプじゃないもん。サポートタイプだし。じゃあ……いくよ」


 もう開き直っているのか? とマグナウトは呆れた様子で眉を顰める。しかし、そんなこと関係ないとばかりにクローナは魔力を練り上げた。


「現れよ。闇より生まれし、魔なる王」


 召喚魔法とは、異界の住人と契約を結び、自分の魔力を糧に攻撃やサポートなどをさせる魔法。その他にも、精霊、魔物とも契約を結べば召喚獣として呼び出せることができるのだ。


「いいだろう。ならば、我が最大魔法で迎え撃ってやろう!!」


 クローナが呪文を唱えると、マグナウトはそれを迎え撃とうと魔法を唱える。

 両手を広げ、巨大な炎を生み出す。

 轟々と燃え盛る炎は、周りの空気を熱するほどの高温だった。


「現れよ……魔王キース!!」

「なに!?」


 召喚する者の名を聞いた瞬間。

 マグナウトは目を丸くする。あれは召喚魔法などではない。

 あれはただの空間移動だ。


 空間の歪みより現れたのは、四大魔王の中でも、魔法に長けているキース。赤いマントを翻し、クローナの前に立ち笑みを浮かべた。


「呼んだか? 我がマスターよ」

「何がマスターだ! ただの空間移動で来ただけだろう!」


 マグナウトは、ノリが悪くそのままツッコミを入れてしまった。そんな空気の読めないマグナウトに、キースはせっかく召喚獣として雰囲気を出していたというのに……とテンションがだだ下がりした様子で呟く。


「まあいい。さあ、マグナウトよ! 貴様は魔法に長けていると言っていたな? ならば、俺の魔法とどっちが強いか勝負をしようではないか」

「ほう。それはいい提案だ。だが! お前に魔法を唱える時間など与えぬわ!! 《コロナス・フォール》!!」


 一瞬提案に乗ったかと思えば、唱えていた魔法をそのままクローナとキース目掛け投げ飛ばした。

 マグナウトは同然知っているのだろう。キースの魔法は、呪文を詠唱しないと発動しないものだということを。

 この一瞬のうちに呪文を唱えるなど不可能。

 かと言って、そのまま避けたとしても背後には何百という部下達がいる。仲間思いな二人には、部下達を置いては逃げられない。


 空間移動で移動させようにもさすがにあの人数を一瞬のうちに移動させることは無理だ。

 マグナウトは勝った! と確信した。

 そのまま高熱の炎が魔王二人を燃やし尽くし、戦を勝利へと導く。

 そう思っていたウガルザンだったが。


「《デットエンド・ブラスター》!!!」

「なんだと!?」


 キースは、魔法を解き放った。

 闇のエネルギーが一直線にウガルザンの魔法へと解き放たれる。

 その威力は、強大。マグナウトの魔法はぶつかった瞬間に……消滅してしまった。

 二度の衝撃。

 呪文を唱えていないのに、魔法を放ち。自分の最大魔法をまるで下級魔法のように消滅させた。

 どういうことなんだ?

 だが、それを理解する間もなく、マグナウトはキースの魔法に包み込まれてしまった。

 マグナウトは、完全消滅する寸前に、改めて魔王の強さを実感したのだった。


「ふう。作戦は大成功だったな。クローナよ」

「うん。ばっちりだったね」


 相手のリーダーを一人倒したことで、戦線が有利になった。

 このままいけば、あまり被害を出さずに勝利できるはずだ。

 ちなみに、キース達の作戦だが。予め、キースが攻撃担当になり、クローナはサポートに徹していたのだ。


 相手のリーダーが現れたら、まず空間でキースのところと繋げ見えるようにする。

 そして、クローナがキースの呪文詠唱の時間を稼ぎ、用意ができたらこちらに呼び出し、攻撃をする。

 どうして、呪文詠唱なしにすぐ魔法を発動できたのかは、予め呪文を詠唱していたからだったのだ。


 そして、マグナウトの最大魔法を容易に消滅させたのは、先ほど放った魔法がキースが扱える魔法の中でも対魔法使いのために用意されていた魔法だったからだ。

 魔法は、魔力により形を構成されている。 

 キースが放った魔法は魔力を絶つことができるものだったのだ。

 キースは魔王として、魔法使いとして努力を怠ったことはない。

 その成果が、さっきの結果だ。


「さあ! 者ども!! 相手の戦力は一気に削れた!! 今こそ、攻め時だ!!」

「全軍突撃っ」

《おおおおおおおお!!!》

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