プロローグ
第五章開幕!
「ふははははははは!!! 俺は、この南の地を侵略するために進攻している隊のリーダールコザである!! 貴様が何者かは知らぬが、俺達に出会ったのを後悔するがいい!!」
「……なんか妙なのに出会っちゃったな」
冒険者として、ちょっとした冒険をしていた。そして少休憩していたのだが、途中でトイレに行きたくなり、俺は皆から離れた。
そして、用をたした帰り道のことだった。
なんだか見知らぬ集団に絡まれてしまった。
先頭に立つリーダーの名はルコザというらしい。顔全てを覆うほどの鉄仮面を被った筋肉モリモリマッチョマンである。
後ろに待機している部下達は悪魔に加え、魔物まで混ざっている。
ちなみに、魔物は手なずけることができる。これは、悪魔であるならば同じ魔の一族のために低ランクの魔物ならば簡単に手なずけれる。まあ人間でもテイムできるようだが、容易ではない。
契約を結ぶことで使い魔としても手懐けれることができるのだ。闘技場などに居る魔物は、冒険者達や実力者が生け捕りにして檻に閉じ込め、勝負の際に解き放つ。
基本的に魔物は自然発生したり、ダンジョンなどに住み着いているから無尽蔵。
動物から魔物に変化することもあるとか。
「南の地は、かつて魔王ゼルファスが住み着いていた地! しかーし!! 今となって、奴も殺され脅威がなくなった! 今ならば、侵略も楽というものだ! 貴様にはその犠牲者になってもらおう! 運が悪かったな!!!」
高らかに笑っているルコザを見て、俺は眉を顰める。
……実は、俺がその死んだ魔王ゼルファスと融合した人間だということをこいつは知らないようだ。
さてはて、どうしたものか。なんだか流れ的に俺は戦わなくちゃならないらしいけどさ。
「あのさ」
「なんだ?」
「どうしてもやるのか?」
「当然だ! この南の地は完全侵略をしなくてはならない! 目の前に現れたものは排除する!」
どうやら、避けられないようだ。仕方ない、ここは戦うしかないか。
俺は、ため息を漏らしながら【紅魔の鎧脚】を装着した。
さて、どうやって対処すべきか。
「ふっ。やる気のようだな」
やる気なのはそっちのほうだろう。こっちは、仕方なく相手をしてやるんだよ。
「だが! そのやる気がどこまで持つかな! かかれ! 者ども!!」
ルコザの指示により、背後に待機していた部下達が一斉に襲い掛かってくる。
俺も、迎え撃とうと構えた時だった。
「ぐあああ!?」
「うわあああ!?」
「な、なんだ!?」
突然、俺の背後から攻撃が飛んでくる。
それは光の閃光。そして、炎と風の合わせ攻撃。
突撃してきた部下達を薙ぎ倒していく。見覚えのある攻撃に、ゆっくりと振り返ると。
「やっほー! 戻りが遅いから迎えにきたよー!」
「エルジェ」
「見つけたら、襲われているんですもん。驚きましたよ」
「レリル」
天使エルジェと精霊王レリルが俺を迎えにきてくれた。
やっぱり、さっきの攻撃は二人のものだったか。これはありがたい増援だ。
「な、何!? 天使だと!? なぜ、天使が地上にいるのだ!」
天敵の登場に明らかに動揺しているルコザ。そんなザコルに、エルジェはなんでってという顔をして即答してやった。
「天界がつまらなかったから!」
「くっ! これは予想外だ。まさか天使に出くわすとは……だが! 数はこっちが圧倒的に有利! いくら、天使が戦いに加わろうとも我等の勝利は変わらぬ!! 者ども! 怯む事はない! 数ではこちらが有利! 攻めろ! 攻めろぉ!!」
数では有利だと思い込み、ルコザは再度突撃命令を告げる。
部下達も最初は天使であるエルジェの登場に臆していたが、声を張り上げまた突撃してきた。
「霊児。どうする?」
「そりゃあ、逃がしてくれればこっちはありがたいんだけどさ」
「どうやら、見逃してくれないようです」
目の前から砂煙を巻き上げ、果敢に突撃してくる悪魔に魔物。逃げてもどこまでも追いかけてきそうな勢いだ。それにあの数を放置していたら、旅人や近隣の村々が襲われる恐れがある。
これは、冒険者としては黙っておくわけにはいけない。
「戦うまでだ!!」
「よーし! それじゃあ、一発でかいの行くぞー!! くらぇ! 魔を貫く閃光の槍!! 《ストライク・レイ》!!!」
眩い光が収束。それは一振りの巨大な光の槍となり、エルジェは攻め込んでくる軍勢目掛け投げた。
これは、職業である【天使】の新スキル。
エルジェが扱う『聖天術】の中級スキルだ。天使の光の力を一転に収束させ、圧縮。槍の形にすることで鋭くも攻撃力のある戦場を駆ける閃光となるのだ。
「ぐああああ!?」
「ぎゃあああ!?」
「おたすけええ!!?」
案の定、軍勢は真ん中から崩れていく。
閃光の一撃にて、戦力が削られた。悪魔と魔物は天使の圧倒的な力の前に、再び臆する。
だが、そこへもう一人の脅威が襲い掛かろうとしていた。
「次は私です! 炎と風を混ぜて! 《フレア・サイクロン》!!」
あの時と同じで、赤い球体と緑の球体が浮遊していた。その二つの球体は、回転するように螺旋を作り、炎の竜巻を巻き起こす。
エルジェに臆していた軍勢は、あっという間に炎の竜巻に巻き込まれ、光の粒子となって消えていく。
「な、なんだと!? 我が部隊が一瞬のうちに……全滅!?」
「どうやら残っているのは、リーダーのお前だけのようだけど、どうする?」
二撃で、自分の部隊が全滅したことに驚きを隠せないルコザに、俺は【紅魔の鎧脚】から炎を放出させて、威圧するように近づいていく。
「どうするか、だと? ふっ、そんなもの決まっている!! ここで、逃げ帰るわけにはいかないのだ。俺一人でも貴様らを始末し、この南の地を制圧してくれるわ!! だあああああああっ!!!」
逃げるのかと思ったが、思った以上に威勢がいいようで一気に力を溜め込んでいく。
すると、筋肉は膨れ上がり、どこか体が一回り大きくなったような気がする。おーお、あんな太いくて硬そうな拳で殴られたら痛そうだなぁ。
「行くぞ!!」
「霊児!」
「霊児さん!」
加勢するとばかりに叫ぶ二人には、俺だけで十分だと先に突撃していく。
「任せておけ!!」
筋肉を膨張させて、その拳を振り下ろしてくるルコザ。
だが、それを俺はあっさりと回避して、ルコザに密着する。
「ぐぬっ!?」
「ふん!!」
がら空きだった腹筋へと重い一撃を食らわせる。
筋肉が膨張していたはいえ【紅魔の鎧脚】は攻撃力も上げる代物。
それに、これまでの戦いによりパワーアップしたうえに、魔王の力をさらに上乗せしたこの一撃は筋肉程度じゃ防ぐことはできない。
重い一撃を食らったルコザは、豪快にくの字になって吹き飛ばされ、背後にあった岩に激突して、大の字のなった。
「ぐ、おぉ……俺が、このザコルが……! たかが小僧如きにこうも容易くやられるとは……がくっ」
最後によくありそうな台詞を言って、光の粒子となって消えていく。
ふう、なんとか倒したようだな。
俺は【紅魔の鎧脚】を外し、一息。
「なんだったの? あの人」
「さあ? いきなり襲い掛かってきたんだよ。なんだか、南の地をを侵略するーとかなんとか言って」
「どういうことなんでしょうか? 魔王以外にもこの世界を侵略しようとしている者達がいる、ということでしょうか?」
「さあな。とりあえず、戻るぜ。クロとキースが待っているだろ? クエストも終わらせないとな」
「だねー。あっ! なんか面白いものを見つけた」
「なんだ?」
「これ」
エルジェが見つけたのは、ルコザとか言う奴が倒れたところ。そこにあったのは、何かの魔石のようなもののようだが。
「ふっ。ルコザがやられたか」
「報告では、人間の小僧に負けたとか」
「人間の小僧に負けるとは……哀れなものよ」
「だが、ルコザは我ら魔将の中でも最弱。これは予想の範囲内だ」
「まあ、人間にやられるのは少々予想外だったがな」
はっはっはっは! と、高らかに笑う声が響いている。これは通信機のようなものだろうか?
「声がする魔石かな?」
「地球でいう携帯電話のようなものでしょうか?」
「まあ、そう笑ってやるな。奴も俺のために全力を尽くしてくれたのだ」
そこへ、また一人違う声が聞こえる。言葉から察するに、こいつがルコザやさっきの魔将とかいう奴らの主のようなものなんだろうか。
「ですが、どうします? まさか、人間の小僧が我ら魔将を倒すなどと」
「おい。その人間の小僧の名はなんと言った?」
霊児ですが?
「霊児。……そう、霊児という人間でございます」
俺の名を知っているということは、やっぱりこの魔石を通じてこっちの情報は筒抜けだったようだな。
「霊児。覚えたぞ。魔将を倒した人間霊児! 我が、世界侵略の邪魔立てをするのであれば、容赦はしないぞ!! 覚悟するがいい。くくく……はははは……あーはっはっはっはっは!!!」
よくありそうな三段笑いをして、魔石は効果を失った。もしかして、俺達が聞いているのを知っていてわざと? いや、それにしては。
「世界侵略ですか。彼も魔王なのでしょうか?」
「ありそうだな。別に魔王は四人ってわけじゃないしな」
魔王の中でも、もっとも古く有名な魔王が四大魔王と言われているだけで、他にも魔王は存在する。ただそのほとんどが表立った活動はなく、他の強力な魔王達と手を組んでいるというところもある。キースやルヴィアのようなところとかにな
「何かありそうだし、一応注意しておくか」
「どんな奴でも私達は負けないよ! それよりも、早くクエストを終わらせないとイベントの時間になっちゃうよ!!」
「そうでしたね。では、さっそく探索を再開しましょう」
ちなみに、エルジェの言うイベントとはゲームの話である。




