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第三話

「はあ……! はあ……! す、素晴らしい幼力だわ!!」

「うぅ……」

「すまない。クロが怖がってるから、あまり睨まないでほしいのだが」


 あれは、クロがとある事件をきっかけにゼルファスのところへ転移してきた。そして、事情を聞いたゼルファスは身を潜めるためにとんでもない提案をした。

 それこそ別世界地球への転移。

 クロの力ならばそれぐらいのことができるとゼルファスは考えたのだ。こうしてゼルファスはクロは、リーさんが暮らしていた一軒家の一室に転移したのだ。


「あら、ごめんなさい。でも、この気配……あなた達魔王かなにかかしら?」

「……そういうあなたは、まさかとは思うが。あの大賢者リフィアさんなのかな?」


 互いにすぐ正体を見破り、平和的な対話を開始した。クロのためにここで身を潜めさせて欲しいと。リーさんは考える暇もなく興奮した様子で。


「もちろんいいわ!!」


 即答した。正直、クロの境遇を考えると彼女に任せて大丈夫かどうか心配だったゼルファスだったが、興奮した様子とは裏腹に親身になってクロの世話をしてくれた。

 ゼルファスも、クロが寂しくなった時は地球に……あれ? そういえば、ゼルファスってこっちの世界に何度も来たことがあるんだよな。てことは、あの時の言葉って嘘にならないか? 


「っと、こういうわけでした。……霊児くん? どうかしたかしら」

「あ、いえ。ちょっと考え事を」


 どうやらゼルファスについての説明を終えたようだ。途中からゼルファスの記憶を捜索していたから、意識が飛んでいたように見えたみたいだ。

 さてはて、ゼルファスのことを聞いたことにより、エルジェとレリルはもちろん。


「霊児って本当に魔族の王だったんだね!」


 なぜか眼を輝かせていた。……ま、エルジェだからな。今更魔族の王だったとか、地球出身だったとか言ってもあまり態度は変わらないだろうなとは思っていたけど。


「ふふ。まさか、ゼルファスが普通の人間。それもまだ年端もいかない子と融合しちゃうなんてねぇ」


 と、年端もいかないって。まだ十五歳ではあるけど、そこまでお子様ってことはないと思うんだけど。


「えっと、どうして俺がゼルファスと融合したってわかったんですか?」

「だって、見た目が同じだもの」

「ですよねー」


 とはいえ、俺はゼルファスよりはちょっと幼い見た目なんだけど。


「とはいえ、ゼルファスよりは若干子供っぽいけど」

「ま、まあ実年齢十五歳ですから。多少幼いのは仕方ないですけど」

「見た目もそうだけど、雰囲気とか接し方もそうね」


 ゼルファスの記憶では、彼は紳士的な接し方をしていた。俺も、敬語を使っているとはいえ、あんな紳士的な話し方とか接し方はちょっと無理かなぁ。


「へー、霊児って十五歳だったんだ」

「なんだよ」

「年上だと思ってた!」

「ちなみに何歳だと思ってた?」

「二十歳以上!!」


 ……俺ってそんなに老けてるか? いや、リーさんは子供っぽいとか言ってるし。天使には、俺は大人っぽく見えるとか? しかし、二十歳以上で年上と発言するってことは。


「お前って十代だったのか?」

「そだよー。十八歳!!」

「じゅ、十八!? マジで言ってるのか、それ!?」

「私、生まれてから一回も嘘ついたことないから本当だよ!! 天使が嘘ついたら、堕ちちゃうって天使長が言ってたもん!!」


 ここで新たな単語だ。天使長っていうだけあって、天使の長ってところか。神様とは別の存在と認識でいいのかな?


「驚くのも無理はないわね。人間と違って天使族や魔族、エルフ族のような長寿の種族は、年齢と見た目が合わないのは普通だから。重大だと、エルジェちゃんは天使の中では相当若いわねぇ。それなのに、何百年も生きている天使に匹敵する力を持っているようね」


 そういえば、出会った時力がすごいとかなんとか言ってたような。それにしても、俺よりも三歳もよし上だったなんて。

 まだ疑いの目を向けていると、エルジェがなぜかドヤ顔で胸を張っている。


「お姉ちゃんだよ!!」

「……それで、話の続きなんだけど」

「無視!? ね、ねえ! ねえ!! 一度でいいからお姉ちゃんって呼んでみて! 一回だけでいいからー!! ねー!!」


 エルジェを無視して話の続きをしようとするが、しつこく身を揺らしてくる。正直、年上だと知ってもエルジェにさんづけとかお姉さんとか今更無理。

 今までが今までだったからなぁ


「ふふ、本当に仲がいいのねぇ。魔族と天使族なのに」

「こいつが、勝手に懐いてきたんですよ」

「私、動物じゃないよ!?」

「そうだな。天使だもんな」

「そう! 天使! そしてー?」


 よし、無視だ。


「レリルちゃんは、何歳なのかしら?」


 それは俺も気になっていた。エルジェが十八歳という衝撃の年齢だったということは、レリルも相当な衝撃を受ける年齢かもしれない。いまだに、レリルはリーさんの膝の上で逃げられないで居る。


「私は、八歳です」

「……ん?」


 おかしいな。ちょっと耳がおかしくなったのかな? 顔色ひとつ変えずレリルの口から発せられた言葉が、どうもうまく聞き取れなかったようだ。


「えっと、何歳だって?」

「八歳です。見た目は十代前半ぐらいで生まれましたが、皆さんが言う年齢で言えば、私は生まれて八年が経ちましたので、八歳になりますね」

「やん! 想像以上だったわぁ!! よし! よしぃ!!」

「あの、そろそろ解放してくださると嬉しいのですが……」


 エルジェの時よりも想像以上の衝撃だった。さすがのエルジェもレリルの実年齢に衝撃を受けているらしく、俺と一緒に口を開けたまま硬直していた。


「それは無理よ。お話が終わるまで、もうちょっともうちょっと」


 ここはリーさんの家。自分達は、尾jまあをしている身ということでレリルは中々大きく出れないようだ。


「それで……ゼルファスに何があったのかしら?」


 と、今度は真剣な表情で問いかけてくるリーさん。

 ……隠すことは、ないか。

 素直に真実を喋ろうと、開いた口を閉じてから一呼吸置いて、リーさんと向き合い全てを語り出した。

 ゼルファスが部下に殺されたこと。俺とゼルファスが同じ時間、時期に死んでやるべきことのために融合したこと。

 まだゼルファスは意思を持っていて、生きていることを。

 全てを話し、俺は「以上です」と終わらせる。話を聞いたリーさんは静かに頷き、俺を見た。


「そういうことなら、私も全力サポートしましょう。ゼルガスのためにも。そして……可愛いクロちゃんのために!」


 最後がなければ完璧だったんだがなぁ。でも、これでこそリーさんって思うわけで。


「ありがとうございます。後、ゼルファスが死んだことはクロにはまだ喋らないでくれると助かります。唯一の心の拠り所であるゼルファスが死んだなんて知ったら、クロはどうなるか」


 とはいえ、クロは結構鋭いところがあるかなぁ。もう出会った時から気づいていたかもしれない。


「……わかっているわ。でも、いつかは。喋らなくちゃならない。その時は」

「はい。俺が話します。だから、それまでは」

「了解よ。任せなさい。私は口は堅いほうよ?」


 パチン、とウィンクをするリーさんに、俺はお願いしますと頭を下げた後。クロの次に気になっていることを解決しようと、エルジェにレリルを交互に見る。


「……二人とも。ちょっといいか?」

「なーに?」

「なんでしょうか?」


 俺の問いかけに、二人は耳を傾ける。


「俺が悪魔の王だって知ったわけだけど……これからも」


 なんて言ったら良いだろうか? 言葉がうまく出てこない。なんだかんだえこいつらと一緒に居るのは心地がいい。だからこそ、ちゃんとした言葉で言いたいんだが。


「うん。一緒に居てあげるよ! 当たり前じゃん!」


 言葉が詰まっていた俺にエルジェはいつもの調子で宣言する。こいつは、また考えもなしに……でも、そんなエルジェだからこその安堵する言葉なんだろうな。

 それとも天使としての力なのか。


「私もです。そんなことで嫌いになったりとかしませんよ。だって、今ここに居る人たちをよく見てください」

「賢者、精霊王、天使。いまさら、悪魔の王だと正体を明かしたところでどうってことはないと思うわよ?」

「だよねー! それに、霊児が悪魔の王。魔王だったとしても霊児は量児なんだし。今まで通りにしていればいいと思うよ?」


 ……そうか。そうだよな。正体がばれたぐらいでなんだっていうんだ。こいつらがその程度で、どうにかなるような奴らか?

 てか、目の前の三人からすると俺なんて薄っぺらい存在じゃね? 魔王って言っても、元は普通の人間だし。力だってまだまだ使いこなせていないし。

 ははは……何馬鹿なこと考えていたんだろうな。


「だよな。俺は、俺だもんな! よし! これからもよろしく頼むぞ! お前ら!!」

「おー!! 任せろー!」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」

「ふふ。仲がよくて微笑ましいわねぇ」


 正体を知られたが、そのおかげでより三人の絆が深まったような気がした。


「じゃあ、まずは私のことをお姉ちゃんって」

「それは断る」

「い、一回だけでいいからぁ!!」

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