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プロローグ

お待たせしました、新作でございます。

まあ、新作と言っても以前別名義で投稿していたものを編集したものですが。

 夢を見ていた。それは、極稀に見るものではなく定期的に見る夢。なんで、定期的に見るようになったのかは俺にもわからない。

 だけどその夢は、なんだか違和感がないっていうか……そう、知らないはずなのに知っている。そんな感覚になる夢なんだ。俺は、地球とは別の世界に居る。いったいどんな姿をしているのかは、鏡とかも見たことがないからわからないけど、夢を見ているんだから俺視点なんだろうと勝手に解釈している。


 まるで、異世界にでも居るようなんだ。

 小説や漫画、アニメなどで見ては一度は妄想する異世界生活。魔法を使って魔物と戦ったり、広大な大地を自分の足で冒険をしたり……。


 でも、夢の中の俺はそんな大冒険などせず、寂しい場所で少ない仲間達と静かに暮らしていたり、時々口論をしたり。まあ、口論と言っても相手側が一方的に物申しているんだけど。

 その内容は、なぜか俺には聞こえない。でも、夢の中の俺はちゃんと理解しているんだ。夢の中の俺だから、実際の俺とは関係ありそうで関係ないのだろうか? 俺だけど、俺じゃないみたいな。

 そんな日々が続き、毎日のように自然豊かな田舎で友人や家族達とのびのびと暮らしていた俺、高村たかむら霊児りょうじにある出来事が起こった。


「……ここは」


 目を覚ますと、俺は真っ白な空間に漂っていた。


(……あぁ、そういえば俺。車に)


 そこで俺は思いだした。毎日のように楽しい日々を過ごしていた俺は、若干不注意だったのだ。友達の妹の麦わら帽子を年端もなく奪い取って、取り返してみろー! なんてやってたら。

 

「ご覧の有様ってか……はあ、短い人生だったな。てことは、ここはあの世ってことか? 随分と何もないところだな」


 自分の情けなさにため息を漏らしながら起き上がると。


「お、俺?」


 俺と顔そっくりなマントを羽織った男が立っていた。なんだか、どこか貴族っぽい雰囲気があるっていうか異世界に居そうな雰囲気があるっていうか。

 でも、俺と違うところもある。まずは目が赤いってところだ。それに若干足が長いような……。い、いや俺が短いってことじゃないけど。


「……」


 なぜか無言で頭を下げられた。

 どういうことなんだ? いったい何を言いたいんだ。


「なあ」


 頭を下げた理由を問いかけようとするも、男はすーっと俺に近づいてくる。


「え、ちょっ、なにを!?」

「……後は頼んだよ」


 頼んだ? どういう意味なんだ……ぼそっと耳元で囁くようにそういい残したと思いきや、俺の意識は一瞬にしてシャットアウトした。



・・・・・



 目を覚ますと俺は魔王になっていた。

 しかも魔王の中では最弱というか、能力はそこまで派手ではない。なんとも言えない悲しみだ。部下も一人もいないし、城だってこんなボロ小屋。

 身に纏っている服装はそれなりに魔王だとわかるようになっているが。

 どうして魔王だとか最弱だとかすぐに理解できたのか。


 その理由は、転生した際に頭の中にこの魔王の記憶が流れ込んできたからだ。この魔王は不幸にも部下に闇討ちをされて死亡。

 能力があったのに、性格が穏やかなため世界征服など企んでいなかった。

 

 派手ではないにしろ、そこいらにいる魔物なら一捻りだろう。

 ちなみに魔王はこいつの他には三人ほど居る。

 今現在、魔王らしく世界を征服しようとしているのが一人。この魔王と同じく平和主義者なのが一人。んでニートなのが一人と。

 まあ結果的に、魔王らしい魔王は一人だけだということだ。


 それにしても、容姿だが……やっぱり俺だよな鏡に映るのは、黒髪で少し眠そうな目だがきりっとしている。

 てことは、あの白い空間であった俺そっくりな男は魔王だったってことか。そんな魔王が、俺にいったい何を頼んだんだ? その辺りはまったく記憶にない。


「それにしても、魔王と融合って……生きている人間に寄生する、みたいなものはあるけど。魂同士が融合して再び蘇るなんてことは結構特殊なんじゃないだろうか?」

 

 この世界には普通に魔物が生息している。もし何の能力もなしにこの世界に足を踏み入れていればどうなっていたことか。

 その辺に関しては感謝だな。能力が派手ではないにしろ、これで戦闘には困らない。

 

「……とりあえず、異世界での定番をしてみるか」


 記憶の通りに、俺は奥にある隠し部屋から魔王の隠し財産を取り、この魔王城(ボロ小屋)を出て行くことにした。

 にしても、気になることがひとつ。この魔王の記憶の中にいくつかブラックボックス。所謂閲覧できないものがある。融合したとはいえ、まだまだ全ては見せられないってことなのか……。

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