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1話「雑な異世界行きは突然に」

足りない文章力と貧弱な構成力を気合で頑張りました。何かと慣れていませんので指摘などございましたら遠慮なく感想などで教えていただけるとありがたいです!それではよろしくお願いします!

 ダダダッ!ダダダッ!

 銃声鳴り響く戦場を駆ける俺は今、最高に輝いている──!


「ふぅ……」


 画面に映るスコア一位の自分の名前に思わず笑みをこぼす。早々に大学受験を推薦で終わらせた俺、日向直人(ひゅうがなおと)は長い春休みをひたすらにゲームに費やしていた。


「腹減ったな…」


 見れば時計の指す時刻は二時。今日は朝からゲームをぶっ続けでしてたから胃袋の中は空っぽだ。


「コンビニ行くかぁ。」


 今日は親が仕事でいないし、冷蔵庫を覗いても何もなく当然食うものがない。

 さっとジャージに着替えて家を出る。


「うう、鼻がむずむずする…」


 この春は酷い花粉だった。花粉症の俺にはつらい限りだ。

 コンビニまでの五分ちょっとの道を行く。道を走る車を見てるとこの前に飛び込んだら異世界に行けたりするのだろうかなんて考えてしまう…まあなわけないけど。

 コンビニの目の前で最後の信号待ちだ。電信柱に寄りかかってスマホをいじっていると不意に胸が苦しくなる。最初は道行く人に恋してしまっただろうかなんてバカなことを考えてにやにやしていたけれど段々と心臓の痛みがシャレにならなくなってきて、遂には道路に倒れこんでしまう。


「うぐ…く…るし…い…でんわ…110…ば…」


 あ、救急車だから119番か──。

 そのことに気づいたのは、もう意識を手放した後だった。



「──てください。日向さん。」


 ぼんやりとまどろんだ視界の中、金色が揺れている。

 ・・・て、ください?手フェチかな──?

 っ!その瞬間意識が覚醒する。あれ?俺倒れたはず・・・病院か?

 いくらかはっきりとした視界で周りを見渡す。蒼。そして金色。見れば周りは一面の蒼、そして視界の中心にはコスプレした金髪の女性がいた。背中に羽、なんといえばいいだろう、まさに絵画の天使のような白い布一枚を身にまとうその女性は、びっくりするほどきれいだった。


「ぉお…」


 その人の綺麗さ故か。それとも自分の女性耐性の低さ故か無意識に声が出てしまう。

 その人のきれいさに見惚れていると、


「日向さん。お目覚めになられましたか?」


 そう声をかけてくる。


「え?あぁはいばっちり…」


 そう生返事で答えると、


「私は来世についてのアドバイスをさせていただくアドバイザーのアウロラと言います。」


 そう返答が・・・ん?らいせ?ってあの来世?んーと・・・え?


「…まじですか?」


 どこかしこから吹き出る冷や汗を感じながらの問いに答えた女性、アウロラは


「マジです!」


 そうにっこりと笑った・・・笑ったのである。



「簡単に言うとあなたは死んだのです。心臓発作的な奴で。」


「的な!?的なってなんですか!?」


「あー、じゃあ花粉症とかなんじゃないですか?」


「花粉症で人が死ぬわけないだろ!」


 何て雑なんだ!!こっちは死んでるんだぞ!?大体花粉症で死ぬってなんだ!鼻詰まって窒息死するとでも言うのかこいつはぁ!?


「…だって死んだ人がどうして死んだかなんてどうでもいいじゃないですかぁ…」


 ボソッとアウロラがつぶやく。


「ふざけんな!いくら何でも雑すぎるだろ!」


 あまりの雑さに思わず口調が荒れる。それにしても何なんだこいつ!

 思わずにらむとアウロラはコホンと咳ばらいをして言葉を発する。


「とにかく!この度はあなたの不憫さに免じてその姿のまま異世界に転生させてあげましょう!」


「はぁ!?それどういう…?」


 異世界転生?それを言うなら異世界転移では・・・じゃなくて!

 俺はいきなりのラノベ展開に思わず目を丸くする。


「え、こういうの好きじゃないんですか?あれ~?」


 見ればアウロラは頭を掻きながらいい案だと思ったんだけどなぁなどとブツブツ呟いている。


「いや、そういうのは好きなんですけど、そんな不憫な死に方でもないかなって…」


「あー、そこかぁ…」


 アウロラは少し考えた後、何かをあきらめたような顔で


「まあほんと言うと人を生まれ変わらせるのって結構面倒なんですよねぇ。疲れますし。」


「はぁ…で?」


「で、最近異世界転生とかはやってるんで、死んだ若い人はそのままの体で別の世界に転生出来て、私や天界の者は楽をできるといううぃんうぃん?でしたっけ、の制度を思いつきまして。」


 そういうアウロラはどことなく得意げだ。たぶんアウロラの発案なのだろう。

 その言葉を聞きながら俺はいきなりの展開に驚きながらも興奮していた。だって異世界転生だぞ?普段教室でアニメやラノベの話ばかりしていた俺にとってこんな展開ご都合主義にもほどがある!となれば後は勿論・・・


「あの、アウロラさん。異世界に転生するのはやぶさかではないんですが…」


 アウロラはほっとした表情を見せる。が、俺は言葉を続ける。


「その、やっぱり現代人が先立つものもなしに異世界に行ってもすぐ死んでしまうと思うんですよねぇ…?なのでその話はちょっと…」


 そういうとアウロラはまずい!という表情を浮かべた後、少し考え、ポンと手をうつ。


「ああ、チート能力が欲しいと!えーとぉ、あー、ちょっと待ってください…ね!」


 アウロラは話しながら手を床に着け、そのまま上に持っていく。

 すると地面から茶色い箪笥のようなものがズズズゥ・・・とせりあがってくる。


「すっげぇ…」


 思わず呟く。こんな光景見たことない・・・これが神の奇跡というものだろうか。

 ・・・まあ出てくるのが箪笥というのが若干残念ではあるが。

 アウロラは汗をかきながらこれじゃないあれじゃないと箪笥の中身をひっくり返している。

 やがて一つの布製の袋をみつけたアウロラはこちらに向き、


「これをあなたに授けます!」


 と、巾着袋より少し大きいくらいの袋を差し出してくる。

 受け取りながらこれは?と目で聞くと、


「これは運び屋の布袋っていうんですけど、なんとこれ!いくらでもものを保管しておけるんです!」


「おぉ!…おぉ?すごいです…ね?」


 なんか・・・正直微妙だ。いや、もちろんすごいんだが、もっとこう、なんでも切れる剣!とか、どんな魔法も使えるようになる杖!とかが出てくるものかと・・・


「あの、なんか…こう、ずうずうしいとは思うんですけど、もっとすごいものとかもってないんですか?」


 それを聞いた瞬間アウロラは一瞬ウッ!っと喉を鳴らした後、


「いや、これもほんとすごいですし!だ、大体もらえるだけいいと思ってくださいよ!あ、も、もちろんもっとすごいの持ってますよ!?」


 そういうアウロラの目は超高速で泳いでいた。

 ああ、これ以上すごいの持ってないのか・・・

 なにか哀れさを感じた俺は、


「いや、やっぱこれで大丈夫です。なんか…すいません。」


と、目を伏せて答える。


「ちょっとなんですかその顔は!」


 アウロラは一通り赤面した後、コホンと咳払いをして、


「…ま、まあいいです。では改めて、日向直人さん。本当に異世界に転生するということでよいのですね?」


 そうまじめな顔で聞いてくる。

 思えばコンビニに向かっていたと思ったら、こんな変な場所に連れてこられて、その次は異世界か。

 なんとも信じられない話だけど・・・まあもう選択肢もないのだ。消えるか、夢の異世界かなんて決まってる。


「はい、よろしくお願いします!」


 俺はそう答えた。すると、


「では、第二の人生を楽しんで──!」


 その声と共に、俺の意識は再び消えた。



「ッ!」


 喧噪の中、意識が覚醒する。


「ここは…」


 周りを見渡すとそこは中世の街のようだった。石で作られた家々がなんとも風情にあふれている。

 通りを通る人々は・・・というか人でないものが混ざっている!?獣人・・・とでもいうのだろうか。ケモミミだ・・・ケモミミが数は少ないが歩いている・・・!

やべぇ興奮してきた!ほんとにラノベみたいだ!

っと、とりあえずは現状を確認せねば。

思えばこっちの世界の説明を何も聞かずに来てしまった。俺の服は死んだときのジャージままで、手には布製の小さな袋。街は中世のような街並みで、服も質素、技術的にはあまり進んでいないようだ。通る人は獣人とエルフ・・・と思われる人々、そして前の世界の人類のいいとこどりのような顔つきの人間たち。見れば剣や杖、そして鎧を身につけている者も多い。戦争中か、自衛のためか・・・


「まさにラノベ的世界ってわけか…」


一先ずの行動目標は世界観の把握か。となればもちろん・・・

街で一番大きな建物に目を向ける。その建物の三階部分には大きくギルドと日本語の看板が・・・日本語!?いや、違う、これは確かに見たことのない文字のはずだ。でも理解ができる!?となればこれはアウロラの温情?だがとにかく文字が理解できるんだ。これで生活に困ることは無いだろう。


「とりあえずはギルドでいろいろ把握しないとな…」


俺はギルドに向かって歩を進め始めた。希望に胸を弾ませながら──!


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