第1章ー1話 歩かなくなった世界で
ーーー僕らは歩かなくなった。
いつの日か世界は歩くことを忘れていた。
今や、自分の中に埋まっているチップだけがこの世界の全てとなった。チップが僕らの生き方を教えてくれる。
産まれた時に全ての事態に備えたプログラムを構成したチップを埋め込まれる。そうして僕らは今までプログラム通りに生きてきた。もしも、プログラムが『あなたはここで死ぬべきです』と言えば、みんな死ぬだろう。
プログラムが、チップが、この世界の全てだから。
この世界において、自分の意思で何かをするということは無くなった。むしろ、自分の意思で行動する人は人間ではないとみなされる。
200年前にはまだ『歩く』という行為をしていたらしいが、本当なのかは知らない。教科書に書かれていたことだけれど、本当かどうか分からないし。
この世界は腐っているとつくづく思うのだ。
なぜかって?それはーーー
『あなた、危ないわよ』
え、
誰だ??誰かが僕に話かけたのか?
『それ、そのチップ危ないわよ』
は?
誰だ?なぜ僕のチップが危ないと知っているんだ?
『早く見てもらわないと。大変なことになるわ』
大変なことって?
『もう二度と、こちらに戻ってこれなくなる』
意味が分からない。冗談もほどほどにしてくれ。
僕も暇じゃないんだ。
『冗談じゃないわ、本当のことなの。お願い、早く』
あのなぁ、チップを見てもらうだけでもかなりの時間とお金を消費するんだ。そう簡単なもんじゃない。
『……なら、仕方ないわね』
それを最後に謎の声は消えた。
いったい、誰だったんだろう。それに、なんで僕のチップが危ないって知っているんだろう。
はじめまして、北神あすみと申します。
私はpixivなど色んな所で執筆活動をさせていただいている者なのですが、今回完全オリジナルを書いたのは初めてです。
ですので、言葉たらずな所やなれていない所等あると思いますが温かくゆっくり見守っていただけると嬉しく思います。
よろしくお願いします。