第4章 突然の竜型なんて認めない!
今回から物語が本題に触れ始めます。
ギルド内はとても不穏な空気に包まれていた。
「とりあえず落ち着いてください。なにがあったんです?」
俺が慌てている遊乃さんに聞くと、
「いきなり現れた竜型モンスターが王国で暴れ出したの!軍の人が迎撃したけどまるで歯が立たなかったって。」
「王国で竜型が⁉︎それに軍でも歯が立たないって。」
王国とは、ここから20kmも離れたところにある<ブラディア王国>のことだ。この国は王直属の騎士団<白銀の騎士団>そして国内の街の秩序を保つ為に動く<黒鉄の騎士団>が存在し、その二つの騎士団をまとめて<軍>と呼ばれている。両騎士団とも強者揃いなのだが、それでも勝てなかったのかと思うとゾッとする。
「それで近くのギルドに応援要請が出たんだけど、ウチは今マスターが不在だからどうすればいいか考えていたの。」
「なるほど。」
確かにマスターが不在な以上、勝手に動くのは良くないがそれじゃ王国が危険だ。
「王国が危険なんだし、緊急事態ってことでマスター権限なしで行くしかありませんよ!」
「うん、そうするしかないね。人数は絞って行った方がいいと思うんだけどどうする?」
「俺が行きます!」
俺は真っ先に手を挙げた。
「俺も行くぜ。」
蓮次も行くみたいだ。
「私も行くよ!」
そう言って声を上げたのは女魔法使いの<古宮 楓>だ。楓は俺の幼馴染でギルドには俺よりも後に入った。魔力の器が大きいのが特徴で長期戦にも強い。
「じゃあ、私と空斗君、蓮次君に楓ちゃんの4人で行こうか。」
こうして応援に行くメンバーが決まった。
俺達4人は準備を万全に済ませると、<長距離移動用四輪>に乗り込み急いで<ブラディア王国>に向かった。
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王国付近まで来ると爆音とともにその悲惨な姿が見えてきた。
「おいおい、まじかよ……」
門は跡形もなく崩れ落ち、その付近では軍の兵が大勢倒れていた。そして、竜型モンスターが次々と建物を破壊している。
「ひどい……早く竜型を倒さないと!」
そう言って遊乃さんは長距離移動用四輪を竜型から少し離れたところに停める。
「よし、それじゃあ竜型ぶっ倒すか。」
「そんな簡単に倒せればいいけどな。」
そう言った俺は不安を胸の奥に抱えながら、竜型モンスターと戦っている兵達のところへ向かった。
お読みいただきありがとうございます。
今回はまだ本題に触れ始めたばかりなのでここから徐々に本題へと入っていきます。
ご指摘等頂ければ幸いです。