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婚約破棄された異世界の魔女【連載版】  作者: 純太
第4章

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多分、私は随分前から彼のことが好きだったんだと思う。


婚約破棄の時だって、結構ショックで、傷心して、酷く荒れた。(そしてワンフロアオフィスを作った)

それでも、自分でも驚く程、心の傷からの立ち直りが早かった。

それに、後腐れなく・・・・・・とは言わないけれど、それなりに吹っ切る事ができた。


それって、多分、彼が居てくれたからだと思う。


彼が、愚痴を聞いてくれて、受け止めてくれて、慰めてくれて、暗い所から引き上げてくれたから、私は前の恋をちゃんと終わらす事ができた。


彼をそう言った意味でちゃんと好きになったのは、多分、それから。


そして今、何故こうなったのか、私はフェルーク様と馬車に揺られている。


「ニーナ、腕組みして険しい顔で相乗りされる僕は、この状況をどうすればいいんだろうか。」

「特に何も。いたってそのまま、いつも通りにお寛ぎ下さい。」

「いや、気不味いにも程があるよ。」


ですよねー。

こんなゴ◯ゴみたい顔した人間と、同じ空間に居るの気不味いですよねー。

向かいに座って苦笑いするフェルーク様に、私は心の中で相槌を打った。


でも、許して欲しいんです。こんな顔になったのにはきちんと訳があるんですよ。


「今日は護衛なんで、引き締めてるんです。」

「気だけでなく顔も?」

「形から入るタイプなんで。」


そう、今回は遠方へ赴くフェルーク様の護衛が私の任務なのです。

しかし、今回は前回の時とは違い、なんと、ハリストール殿下も一緒なのだ。


あらゆる物から王位継承者であるその身を守る為、外出をあまりされない殿下ではあるが、今回は貿易の要所であるジェルべ辺境伯の招待に預かり、辺境伯領へと訪問することになった。

こういった渉外とか外交系と言うのだろうか、外向きの公務はフェルーク様が担当するのだが、何でもジェルべ辺境伯領へは即位を控えた王太子が訪問する慣習があるようで、それに倣い、今回は特別にハリストール殿下が足を運ぶこととなった。


で、今まさに辺境伯領へ移動中の馬車の中な訳だ。

ちなみに、今回のメンバーは、ハリストール殿下と護衛のロダン、私、今後殿下の代理として赴く可能性のあるフェルーク様、そしてなんと、今回は殿下の婚約者様もご同行されているのだ。

今回の訪問は夜会もあるとかで、勉強も兼ねて御婚約者のメルリーサ様もご同行する事になった。


だから前回よりも厳重な警備だし、それに伴い騎士や魔術師の人数が増えた大所帯でジェルべ辺境伯領へ向かっているのだ。


「前回はそんなじゃなかったじゃないか。」

「ロイヤリティと警備度が上がりすぎて、流石の私も背後に気をつけたくなったんですよ。」

「何で背後?」


俺の後ろに立って欲しくないからです。


「ふーん。まあ、何もないなら、それでいいんだけどね。」


そう言うと、フェルーク様は窓の外へ視線を向けられ、何かを思案するように遠くを見つめた。


「組み合わせに作為的なものを感じたからね。何かあったんじゃないかと、懸念しちゃった。」


そう話すフェルーク様の口元を笑みを浮かべていると言うのに、ちょっと寒気を覚えてしまった。

ブルっときたよ。

しかも、それがあながちハズレていないところが余計に恐ろしい。

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