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ももからうまれる赤ん坊

批評感想お願いします。

昔々あるところに、お爺さんとお婆さんがいました。

「おーい婆さん、山行ってくるぞぉ」

「何しにいくだぁ?」

「仕事に決まってんだろぉ!」

「またかぁ、そんなに仕事ばっかで楽しいかぁ?」

「おめぇも毎日毎日グータラグータラしてねぇで………」

「あんたねぇ!主婦は掃除洗濯飯の支度、毎日大変なんだぞっ!」

「全部俺がやってるんだけどぉぉぉ 」

「……………」

「おい、………おいっ!ばあさんっ!どうしたっ!」

「………………zzz」

「ねてんじゃねぇぇぇぇぇ」

「説教乙」

「なんだ乙って!」

二人とも仲が良く、貧乏ながらも二人とも支えあいながら暮らしていました。

二人とも仕事熱心…………でした。

「お前今日こそ洗濯行けよ!もう一週間洗濯してねぇからもう着るもんねぇぞ!」

「夏だし裸でGO」

「捕まるわっ!」

「大丈夫だって、誰もてめぇみてぇなくそじじい見ねぇって。」

「あんだってくそばばぁ!」

「あぁん」

「洗濯お願いしますmy sweet honey」

お婆さんは怒るととても怖かったのです。

「一週間前にやったのにのぉ」

「やったのわしだぞ」

「まぁしょんないじゃあ行ってきてやるよ」

お婆さんはお爺さんの無理難題にも献身的に対応していました。

そしてお爺さんは山に芝刈りに、お婆さんは川に洗濯にいきました。



山に登り始めたお爺さんはある違和感を覚えます。山が少し荒れていました。

「久しいの、衰えたか芝刈りの」

お爺さんの後ろから声がする。

「せめて歳とったって言ってくれ」

お爺さんは振り向かずに答えます。

「久しぶりだな竹取りの」

声に反応し、茶色くなった竹やぶの茂みから、お爺さんと同じくらい立派な白髪のお爺さんが出てきました。

「また竹取りか?」

「あぁそうじゃ、こうなってる原因をどうにかしないと商売あがったりじゃしな」

二人は並び、峠に向けてゆっくりと歩みを進める。

「昨日竹取りに来たときはこんなじゃなかったろ?」

「さぁのぉ」

「原因は?」

「いまからいくとこじゃ」

「そうか……無理すんなよ」

「なぁに、若い頃のお前には敵わんよ」

「ほっとけ」

「………また来いよ」

「なにがだ」

「わしらの家なら都の連中もこんし、今さらお前らを狙ってるやつなんて………」

「気にすんなよ。もう何十年も隠れ住んでんだ、今更会わす顔なんて………」

「お前のほうこそ気にしすぎじゃよ。あの事件はわしらを絶望させるにはじゅうにぶんじゃった。しかしな、今わしらは生きている。こんなよぼよぼのじじばばになってもわしらは生きてるんだ。だから本当に御主には感謝してんじゃよ。まぁ今度一杯やろや、わしらがお主達の家までいってやるで」

二人は峠についた。峠に近づくにつれてひどく荒れていた景色のなか、峠の中心部に、一本の太い光る竹があった。まるで山から栄養を全て奪っているようだった。

「これはたまげたなぁ、竹取りの翁とよばれ長いが、こんな竹は見たことないぞい」

「大丈夫そうか?」

「誰にいっとる」

「この竹は任せたぞ竹取りの、周りの雑魚は任せとけ」

二人のおじいさん達と光る竹の周りにはなにかがいた。二人の位置からは分からないが、なにかいるという気配と、不気味な声が聞こえてきたからだ。

「ぐぎ、ぎひゃぁぁ、ひひひひめ、めめめめめめめぇぇぇぇ」

二人の前からゆっくりとそれは歩いてきた。それは熊のような体躯、全身真っ赤で、角が生え、虎模様の布を腰に巻き、とげのついた黒いこん棒をもってる。

「雑魚は雑魚らしく喰われてろ」

「ばぁぁぁぁぶぉぉぉぉぉるぉぉぉ」

その化け物は手の棒を振り回し、おじいさんたちに突撃し、二人のいた位置を殴り付ける。その衝撃は強く、竹の先まで届きそうな程高くまで土煙が上がる。

「光ってる竹は見えるだろ竹取り」

「あんなデカ物見失うわけないよな芝刈り」

化け物は竹の上に跳び逃げた二人を見つけ、跳んだ。

「ぶぅぉぉぉぉぉぉ」

二人は互いにもってる仕事道具を出し、それぞれの目標に先を向ける。

そして竹を蹴る。

化け物と二人が重なり、交差し、互いに背を向ける。時が止まったような静寂。

「まぁぁぁぁむもぉぉりょぉぉ」

化け物は振り返り、二人に襲いかかろうと振り向く。そしてそのまま棒は二人に届く前に地にゆっくりと落ちた。

「しっかりしろよ竹取り~」

「うるさいぞ、芝刈りてめぇも仕留めきれてなかったじゃろ」

「ワシは結局倒したからいいんじゃ」

二人は直立不動の光る竹の下で会話を再開させた。

「しっかし何じゃこれは」

「化け物か、それとも竹か?」

「両方じゃよ、竹は、竹取りの一撃が決まったから倒れてくると思ったし、化け物は一発で仕留めたつもりだったんじゃがのぉ」

「まぁこいつはわしが責任もって……」

竹取りのおじいさんが言い終わる前にゆっくりと傾きました。

「じゃあしっかり責任とって持ち帰っとくれ」

「…………くやしいのぉ」

「しかしあの化け物は何だったんじゃろうな、今の見たじゃろ竹取り」

そこには化け物の姿はもうなく、棒も無くなっていた。そして光る竹は光を強くした。まるで竹に力を吸いとられたかのようだった。

「ワシはそろそろ帰るぞ、今日はばあさんに洗濯頼んだんじゃがやっとるかわからんしな」

「また今度ゆっくり呑みに行くからな」

「養命酒人数分ボトルで持ってこいよ」

「もちのろんじゃ」

芝刈りのおじいさんは竹取りのおじいさんに背を向け、手を降りながら山を下っていく。

竹取りのおじいさんは芝刈りのおじいさんが見えなくなってからも暫く手を振っていました。そしてゆっくりと手を下ろしました。

「元気そうで何よりじゃったよ。しかし悔しいのぉ」

おじいさんはもう一度横たわった光る竹のもとに歩みより、観察します。

「よくみると一部だけ光ってるのぉ」

そう言って仕事道具で軽くつつくと簡単に竹が真ん中で割れました。おじいさんは驚きました。こんな簡単に竹が割れたことでも、光を失ったことでもなく、単純に割れた竹の中から、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきたからです。近づくと案の定赤ちゃんがいました。

「責任……………か」

さっきの発言を気にしながら、芝刈りのおじいさんが降りたほうとは逆のほうから、竹取りのおじいさんは降りていきます。赤ちゃんを抱きながら。

「婆さんなんてゆうんじゃろ」



雄大な山脈から流れてくる水はお互いを求めあい、一つの大きな流れとなり海を目指す川となる。その川の中腹辺りに、お婆さんは体育座りをしていた。

「マジたるいよくそじじい」

お婆さんは川に洗濯に………使う長い管のようなものを、つまり排水ホースを川にたらしにきました。家の洗濯機は、ホースを水につけないと動けないタイプでした。

「家から近いけどめんどいんだよなぁ、待ってる間暇だし」

お婆さんは少し大きめな石に腰を掛け、川に向かって小さな石を投げていました。すると川上のほうからお椀のようなものが流れて来ました。お婆さんは暇なのでそれを狙い撃ちしました。しかしなかなか当たりません。さらになぜか声が聞こえました。お婆さんは気味悪がり、先程よりも大量の石を投げます。そうこうしてるうちにお椀は流れていってしまいました。お婆さんはまた暇になってしまいました。

ピーピーピロリーン

洗濯が終わり、お婆さんは洗濯物を物干し竿に干しました。

「…………終わった」

久しぶりに働いたのでお婆さんは暇になってしまいました。

「することないし、川で釣りでも………」

お婆さんはお爺さんのすごくいい釣りざおを手に川に向かいました。

~10分後~

「釣れねぇ」

~30分後~

「今日の晩飯なにかなぁ」

~1時間後~

「今月号あまりいいの載ってねぇな」

お婆さんは釣りほっポリ出してまんが雑誌を読んでいました。その時です。川上のほうから、「どんぶらこどんぶらこ」と、いかにもな音をたてながら大きなももが流れてきました。するとお婆さんは

「やっぱ王道かぁ、でもこのヒロインもなぁ、」

ケータイゲーム機で、ギャルゲーをやっていました。

そしてももはそのまま流されていき…………ませんでした。なんとお婆さんがそのままにしていた釣りざおに引っ掛かったのです。

~3時間後~

「婆さーん、今帰ったぞぉ」

そんな声と共に、お爺さんが帰ってきました。しかしお婆さんの姿はありません。

「………まさかっ!」

お爺さんは心配になり、川のほうに向かいます。するとそこにお婆さんがいました。

「………ってなにやってんじゃっ!」

お婆さんはいましたが、目の前の川では大きなももが川の途中で止まっていました。

「婆さん、それなに?」

「おぉじいさん!見てこれ!ヒロインほぼ攻略完了!」

「ゲームじゃねぇよ!目の前見ろ目の前!何じゃこのくそでかいももは!」

「えっ!なにこれ」

「てかこれワシの釣竿ぉぉぉぉ」

「このっまた勝手に使いやがって!」

「良いじゃん減るもんじゃあるまいし」

「めっちゃガリガリいってんだけどぉぉぉ!今まさに引っ張られて削れてるんだけどぉぉぉ」

「てへぺろ」

「いいから釣り上げろよっ!」

「たくしょうがないなぁ………よっ!」

お婆さんは釣竿を大きく引っ張りました。すると竿とモモは一緒にお爺さんの家のほうに飛んでいきました。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁMY竿がぁぁぁぁぁぁ」

まさしく家に飛んでいきました。

そして玄関先で、お爺さんの竿を潰した状態で、モモははっけんされました。


太陽は沈み、空が黒く染まり始め、次第に星々の光が集まり、闇のなかで煌めき、それに呼応するように、夜の太陽、真ん丸の月が輝く。

「今日の月はいつもより暗いのぉ」

「いいから手伝え」

「まさか月の封印が弱り始めているのか! っく! 逃げろっ! じいさんっ!」

「いいから手伝えっていんてんだろこの中二病の婆さんがぁぁぁ」

玄関先でももの前にいるお爺さんは、家にいるお婆さんに向かって言いました。

「お前が食うって言うから洗ってきたんだぞっ! 中に入れずらいから手伝え」

「ったくしょんねぇじじいだなぁ」

「家庭内暴力について相談しようかな」

「なんか言ったかいじいさんっ」

「何も、ほらいくぞい」

二人は力をあわせてベランダ側に回り、窓からモモを中にいれました。


~数分後~

「いい加減諦めようぜ婆さん」

「いやだ」

婆さんは子供っぽくふてくされていた。 理由は単純明快、ももが切れなかった。刃物で指しても叩いても、刃の部分をなぞらせても傷ひとつつかなかった。それだけです。

「手触りも普通のももなのに変だよな」

「…………うぅ、食べたい食べたい食べたい食べたいぃ」

駄々をこね始めた。

「まるで昼間の竹みたいだな」

「竹? 」

「いや、何でもない」

お爺さんは何を思ったか、電話を掛け始めました。

「もしもーし、竹取りーいるー?」

「なんだ芝刈りか、何のようじゃ?」

「いや、昼間の竹どうしたかと思ってな」

「何か軽くつついたら割れてのぉ、中から赤ん坊が出てきやがってさぁ」

「誘拐は良くないぞ」

「んなことせんわぁぁ!」

「まぁ、ありがとな」

「何かあったんか?」

「いや、ちょっとなかなか切れないモモを切ろうとしてな、昼間のみたいにじゃったからどうすればよいかと」

「光ってるのかっ!」

「いや」

「つまらん、今度はこの子もつれてそっちいくでの!」

「はいはい、またな」

お爺さんは電話を切ると、先程のモモに近づき、チョップしました。しかしモモは変化なしです。お婆さんはなぜかモモに抱きつき、撫でました。

「はぁ」

ため息をつき、涙を流しました。すると行きなりモモが二つに割れました。そして中から泣いた赤ん坊が出てきました。それにおじいさんとおばあさんは驚いて尻餅をついてしまいました。お婆さんはゆっくりと近づき、赤ん坊を手に取り頬づりをしました。

そして呟きます。

「この子の名前は…………」

おじいさんも立ち上がり一緒に赤ん坊を撫でます。すると赤ん坊は満面の笑みを浮かべました。二人は互いと赤ん坊を抱きながら、ご飯も食べずに布団に行きました。

明日はしっかりと名前を考えよう。そんな思いを胸に、夜は深くなっていきました。

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