冬の贈り物
屋根裏の散歩者、僕は一時期そうゆう人間だったんだ。
紫音の言うことはいつも突拍子で私には理解の出来ない言葉を使う、私は首を出来るだけ斜めに傾げて女の子らしく気取ってみせる。
紫音、貴方の言うことは理解出来ない。
部屋の南側に飾り程度に取り付けられた小窓が、冷たい風、冬の風に打ち付けられてカタガタと音を立てる。
窓を開けて外の様子を見たかった、外の空気を思い切りに吸い込んで吐き出してみたいと思う時がある。
だけどそれは許され無かった。
外の様子を見れるのは、この狭い空間で紫音一人だけ、と言ってもこの部屋には私と紫音二人しかいないのだけど。
私は外の景色を見る事も、冬のシンとした空気を鼻に吸い込む事も出来ない。
ちっぽけで憐れな生き物。
私が唯一生きてることを実感出来るのは、紫音や大切な人の隣りで眠る時だけだから。
紫音に、目線で伝えて私はベッドの上で横になった。私達以外に、この厳しい冬を乗り越えた同士はこの世に、どれくらいいるのだろう。