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大変だったんですから。

作者: ももくり

私、ずっと貴方のこと好きだったんですよ。

えっと、高校に入学した時くらいからだから……たぶん、二年とちょっとくらいですかね。

一時間半の通学路も、毎日ずっと貴方のことを考えて登校していたんですよ。今日、どんな話しようか、とか。いつもみたいに授業が終わって話しかけられたらどんな顔しようか、とか。

だって、仕方ないじゃないですか。貴方、休み時間のたびに私に話しかけてくるんですから。こっちがどんな気分でチャイムが鳴るの待っていたかなんて知らないでしょう?前「おはよう」って言って私の頭を叩いた後「今日は髪型おしゃれだね」なんて笑ったじゃないですか。だから私、あれから毎日髪型変えてるんですよ。貴方がそれに気が付いていたかなんて知らないけれど、私の周りの友達は褒めてくれたんですよ。私すっかり、貴方のせいでヘアアレンジのレパートリーが増えたんですから。

それから、遠足で京都の神社に行った時も。私が必死にお祈りしていたら、貴方「俺の彼女になりたいって祈ってるんだろ」って茶化したじゃないですか。あれ、図星ですよ。私、てっきりばれてしまったかと思って本当に焦ったんですから。一番高いお守りも買ってしまったんですから。

私が運動会のクラスリレーでこけた時だって大変だったんですから。みんなからの冷ややかな目に耐えられなくて、私泣いたんです。そしたら、やっぱり貴方が「俺が遅れを取り返してやる」って、アンカーで本当に巻き返して一位になったじゃないですか。


とにかく、貴方との思い出は馬鹿みたいにいっぱいあるんです。

貴方の目を細めた笑顔が、私の生きがいだったんですから。毎日見たくて仕方なかったんですから。貴方が学校休んだ日、私がどれだけやる気を無くしたか知らないでしょう?それほど本当に大変だったんですから。

みんなから、両思いじゃないかって背中を押されて。そしてもう好きが爆発しそうになったほどですから。



なのに貴方、そんな可愛い子と付き合うなんて言うから。



私の期待も生きがいも、全部間違いだったんだなって思い知らされましたよ。

貴方、確かに私に一番に話しかけてくれたのに。私だけを特別扱いしてくれたのに。何で私じゃないんですかって。正直、結構思いましたよ。

よりによって、学年で一番可愛いあの子に告白するなんて。顔の良い貴方なら、そりゃ向こうも良い返事をしてくれるでしょうね。


でも、まあこれで分かったことがあるんですから。

どれだけ待っていても、お守りを買ってお願いしても、友達と恋の話で盛り上がっても、家で恋愛の歌を聴いて共感したとしても。結局、貴方に届けなきゃ意味がなかったんですね。全部、私の心の中で終わらせてしまったんですから。


まあ、いいんですよ。これだけたくさん泣いて、これだけ目を腫らしたんですから。それでもしばらくは貴方のこと忘れられないでしょうけど、胸が痛くなるでしょうけど。


本当に、ずっとずっと大変だったんですから。

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