ボスはずっとへやにいるの? それってニートじゃない?
勢いで書いてみた。
誤字脱字、その他あれば報告していただけるとありがたいです。
最終ボス。それはそのゲームの中で最も倒すことが困難とされる最強の敵。その道中もまたそれ相応の難易度を誇り、最終決戦を前に力尽きる勇者も少なくない。
ボスのいるエリアへたどり着かなければ、当然だがボスの出番はない。
これは勇者たちに『ニート』と呼ばれた、とある最終ボスに位置づけられた者が綴った日記の一部である。
○月1日(月) 午後5時 記
起床。今朝は世界を助けるとかほざくやつらは来なかった。やはり、自分で起きるのは騒がしい連中の声で起こされるより何千倍も気持ちいい。
今日は久しぶりに気分が良いから、ついにエンディングが見れそうだ。
そういえば、最初の勇者が現れてからもうすぐ5日がたつと聞いたな。どうでもいいが。
○月2日(火) 午前7時 記
いや~素晴らしい一日だった。今日ほど我がしもべどもを褒められる日はない。勇者が0とはこうも気分がいいものか。
念願のヒロイン全攻略も達成したし。次は、この前勇者のバッグから見つけたのをやろうかのう。今日はもう寝るとしよう。
○月2日(火) 午後3時 記
声で起こされ寝起きは最悪だった。流石にそうそういい朝はこないか…。
○月4日(木) 午前10時 記
このごろ、勇者の攻撃時間帯が広がった気がする。あの後の展開が気になるのに、面倒なことになったものだ。
しもべどもは何をしておるのだ。
○月5日(金) 午前6時 記
最悪だ。なぜこんな時間に来るのだ。雑魚一匹倒すためだけにゲームを中断するのは実に不愉快だ。
○月5日(金) 午後0時 記
勇者が道中の抜け方を会得したらしい。わしはもうだめかもしれん。エンディングを見られないことが何より悲しい。
日記はこれを最後に書かれていない。おそらく、勇者たちが彼を仕留め、世界に平和がもたらされたのであろう。
それにしても、なんと情けない最期であろうか。彼は、道中の難易度の高さに頼りすぎ、まさに『ニート』となってしまっていた。道中が攻略されたあとの彼にはボスの風格は残っていなかった。
彼の最後の言葉は実に皮肉なものだった。
「ニートよ…働きたまえ…」
これはひどい...。