表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

Ⅰ-④

今回、長めです。

 今私は生徒会室のドアの前だ。なぜこうなったのか思い返してみても、騙されたとしか思えない。そして後悔しかない。

 さかのぼるは一時間前のことである。




◆◆◆◆◆◆




 放課後、私は信兄もとい杉原先生言われたとおり職員室にきていた。帰り際に三波にケーキでも食べようと誘われたけど断る羽目になった。くー…食べたかったっ。

「失礼します」

 はやく用事は済ませてしまおう。

 はて、杉原先生の席はっと。

「おぉ、山本〜こっちだこっち」

「先生」

 信兄は、入って少し離れた右奥の席からブンブンと手を振りアピールしていた。

 …恥ずかしい。回れ右したかったけど、我慢して信兄の席に向かう。

「それで、なんでしょうか?」

「顔が怖いぞ」

 あったり前でしょう。何言われるかわかんないだし。変なことに巻き込まれたくないし、でもなんかやな予感はするし。

「まぁちょっと待て。高野先生、今って進路指導室空いてます?」

「あぁはい。先ほど面談は終わりましたので空いてると思いますよ」

 向かい側にいる高野先生に聞く信兄。

 ちなみに高野先生は英語教師。奥さんのこと大好きらしくて授業中よくのろける、優しい先生だ。

 でもなんで進路指導室?もうそんな話?てかわざわざ学校で話すことなくないか?

 たくさんの?がひしめくなか、進路指導室に連れてかれた。



「急に呼び出して悪かったな」

「いや、別に大丈夫だけど…」

「実は頼みごとがあってな」

 すんごい渋ってるなぁ、聞きたくないなぁ。

「橘会、手伝ってくんねーか?」

「やだ」

「即答かよ」

「イヤなものはイヤ」

 予感的中!断固拒否だわっ。あの無駄に目立つ団体なんて一番一番関わりたくないもの。

「ま、まぁ聞け。知っての通り、俺は橘会の顧問をやってる。で、だ、今かなりの人手不足で困ってる」

「別に私以外にだってもっと適任者がいるでしょ?」

「あー…」

 すんごい遠い目。なんかあったのかな。

「………仕事にならなかったんだ」

「は?」

「だからまっっっったく仕事のしの字にもならなかったんだ!」

「どゆこと?」

「橘会のメンバーを思い出せ。あの容姿だぞ?女子を助っ人に選べば奴らのファンを怖がるか、恋人になるのを目指して自分磨きにいそしみ、ひたすらアピールするか、だ」

 わー目に浮かぶわ。てか信兄も苦労してるな。

「男子は?」

 男の子の比率が多いんだし、大丈夫そうだけど…。

「男子はまず鈴木に惚けるか、他の奴らに無駄な対抗意識を燃やして返り討ちにあうか、だ」

 返り討ちにあったその生徒のその後が気になったけど、怖くて聞けなかった。

 でも私もここで引くわけにはいかないっ。

「そんな生徒だけじゃないでしょ!探せばいるよ、絶対!」

 県立の進学校だ。少数ではあると思うけどいるはずっ。

「じゃあお前が探すか?」

「な!」

「正直、もう時間がないんだ」

 よっぽどせっぱ詰まってるな。

「お前が助っ人になるか、お前の代わりを探すか、だ」

 どっちも遠慮したい!

「かお、お前なら奴らみたいなのには慣れてるだろ」

「…」

「やってくれないか?」

 うー………。

「分ぁかった。図書券一万円分でどうだ!」

「ぬ!」

 く、が、我慢よ…私。

「手強いな…。よしっ。こいつの初版、しかもサイン入りでどうだ!!」

「っ!!?」

 なになになんで!どんなつながりで手には入ったの!?

「驚いてるな?母さんの伝手でな」

 あの本は私の一番大好きなファンタジー作家さんが書いたもの。あの作品自体はそんなに有名じゃあないんだけど、すごく好きなんだ。

 欲しい。ものすごく欲しい。今わたしはぐらぐらとゆれるやじろべいだ。

「~~~~~わかった。引き、受ける」

「!ありがとう!本当にありがとうな!」

 ものすごい喜びよう…。な、泣かなくても………。

 確かにモノにつられたけど、信兄を助けてあげたい気持ちもあるしね。

「じゃ早速、今日から頼むな!」

「は?」



 早まった、か……?




◆◆◆◆




 というわけで冒頭にもどるわけだ。

 あのあといくつかの条件は聞いてもらった。一つ目は週末にあるバイトのこと。生活かかってるしね。二つ目は私が手伝う期間。やっぱずっとは無理。一応9月までってことにしてある。あとはまぁいくつか。それはおいおい。

 結構渋ってたけど聞いてくれた。信兄なんだかんだと甘いからなぁ。…渋ってたけど。


 でも今日からってなんだ。早すぎでしょう…。まぁ今日は挨拶だけでいいとは言われてるけど。

 ふー、よし。グダグダ考えても仕方ない。自分で決めたことだ!!

 できる限りのことはしよう。

次からやっと生徒会メンバーが………。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ