表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小物の異世界生活  作者: おこげ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/70

44

昼下がり。

ギルドは平和だった。

平和すぎて、勇者が猫に作戦会議をしているくらいだ。

そこに。

王都の紋章入りの封筒。

職員が震える。

「王都から……正式通達です」

全員が俺を見るな。

俺は関係ない。

封を開ける。

読み上げる。

「王都中央戦術補佐局より。

ミレア殿の分析能力を評価し、王都勤務への招致を――」

沈黙。

俺より先に勇者が叫ぶ。

「引き抜きか!?」

八百屋が叫ぶ。

「ついに王都が本気出した!」

パン屋が言う。

「参謀ルートだな」

俺を見るな。

ミレアは固まっている。

「え……私?」

三秒後。

町が勝手に壮行ムード。

「王都だぞ王都!」

「出世だ!」

「将来は大参謀!」

俺の肩を叩くな。

俺は何も育ててない。

ミレアが小声で言う。

「参謀……どうしましょう」

やめろその呼び方。

だがもう定着している。

俺は言う。

「行きたいのか」

ミレア、少し考える。

「……怖いですけど」

「でも、試してみたいです」

普通に前向きだ。

俺は壁を見る。

いつもの場所。

俺はここだ。

「じゃあ行け」

即答。

ミレアが目を丸くする。

「止めないんですか?」

「止める理由がない」

「町が寂しくなりますよ?」

「スプーンで一時間半使う町だぞ」

少し笑う。

数日後。

町の中央。

やたら大げさな見送り。

勇者が謎のマントを羽織っている。

「王都でも胸を張れ!」

お前が一番胸を張るな。

八百屋が野菜を持たせる。

パン屋がパンを詰める。

重い。

ミレアが俺の前に来る。

「参謀」

だからやめろ。

「私、向こうでも分析続けます」

「うん」

「でも、もし」

少しだけ間。

「向こうで変な評価ついたらどうしましょう」

それはある。

王都は規模が違う。

俺は言う。

「その時は」

「壁際を探せ」

ミレアが笑う。

「参謀らしい助言ですね」

違う。

ただの生存術だ。

馬車が出る。

町の連中が手を振る。

勇者はなぜか号泣している。

「王都を制圧しろー!」

就職だ。

静かになる町。

初めて、少しだけ空気が薄い。

ギルド。

壁際。

俺一人。

静か。

静かすぎる。

五分後。

勇者が来る。

「参謀」

増えた。

「王都との外交はどうする」

知らない。

「報告書の書式は?」

知らない。

「次の小規模案件は?」

それはある。

掲示板を見る。

【畑・カラス再発】

戻ってきた。

俺はため息をつく。

ミレアは王都。

俺は畑。

世界は分業だ。

その夜。

小さな手紙が届く。

王都から。

「参謀、

王都、広いです。

まだ誰もスプーンで会議しません。

少し寂しいです。」

俺は壁にもたれる。

そして一言。

「王都、まともかよ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ