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小物の異世界生活  作者: おこげ


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33/69

33

それは平和な朝だった。

俺は猫を探していた。

名前はタマ。

どの世界にもタマはいる。

路地裏。

洗濯物。

パンの匂い。

完璧に小規模。

最高だ。

そこへ。

ドン。

遠くで鈍い音。

嫌な予感。

町の中心広場が騒がしい。

俺は見ないふりをした。

見たら巻き込まれる。

だが。

ミレアが言う。

「人の流れが中央に集中」

やめろ実況するな。

広場。

人だかり。

中央の井戸から、煙が出ている。

なぜ。

井戸だぞ。

水だぞ。

町人が叫ぶ。

「なんか光ってる!」

覗くな。

落ちるぞ。

俺は距離を取る。

完全に部外者ポジション。

しかし。

ギルドマスターが俺を見つける。

やめろ。

指さすな。

「参謀!」

違う。

猫担当だ。

井戸の中から、

カチカチと音。

金属音。

嫌すぎる。

町人が言う。

「昨日、怪しい箱を持った旅人がいた」

それ王都フラグ。

やめろ。

ロープが下ろされる。

引き上げる。

出てきたのは、

黒い金属箱。

無駄に高級。

無駄に王都っぽい紋章。

終わった。

町人ざわざわ。

「爆発する?」 「呪い?」 「宝?」

全部やだ。

ミレアが覗く。

「高度な封印式」

「触るな」

「触ってない」

安心した。

箱の側面に小さな文字。

【王都保管物 第七種】

第七種って何だ。

嫌な予感ランキングか。

ギルドマスターが言う。

「開けるか?」

軽いな。

全員が俺を見る。

やめろ。

王都断った男に振るな。

俺は即答。

「開けない」

即答。

町人がざわつく。

「でも中身が気になる」 「宝かも」

欲望出すな。

その時。

箱がカチッと鳴る。

全員硬直。

俺の寿命が縮む。

蓋が、ゆっくり開く。

勝手に。

やめろ。

中から出てきたのは。

紙。

大量の紙。

拍子抜け。

ミレアが一枚拾う。

「……文書」

町人が覗き込む。

「なんだこれ」

どうやら。

王都の役所関係の書類。

難しそうな文字。

印鑑だらけ。

ミレアが淡々と言う。

「機密書類」

町人一斉に後ずさる。

やばい物だった。

どうやら。

王都で問題になっている“何か”の調査資料らしい。

それが。

なぜか。

うちの町の井戸に。

俺は即断。

「見なかったことに」

早い。

町人A。

「でももう見た」

正論やめろ。

ギルドマスターが額を押さえる。

「これ、返さないとまずいよな」

まずいに決まってる。

ミレアが冷静。

「ここに“第七種不安定核”と記載」

不安定核って何。

やめろ。

全員が井戸を見る。

まさか。

町人が叫ぶ。

「まだ何か入ってる!?」

やめろ。

投げるな。

井戸から、また煙。

カチカチ音。

箱は一つじゃなかったらしい。

誰だ投函したの。

郵便じゃないぞ。

町は軽くパニック。

「水どうする!?」 「飲んだぞ昨日!」

遅い。

俺は本気で帰りたくなる。

猫探しに戻りたい。

ミレアが言う。

「これは王都案件」

知ってる。

「ですが今ここにある」

やめろ現実を言うな。

町人たちの視線が集まる。

王都を断った男。

つまり。

王都の面倒を押し付けやすい男。

やめろ。

俺は深呼吸。

考える。

大規模に見える。

だが。

やることは小さい。

「井戸を封鎖」

まずはそれ。

町人が走る。

板を持ってくる。

ロープで囲う。

一気に“触るなゾーン”完成。

「次」

全員が見る。

「紙は触るな」

遅い。

数枚持ってる。

やめろ。

「箱はそのまま」

「爆発したら?」

「その時はその時」

適当。

だが。

意外と落ち着く。

やることが決まると、人は冷静になる。

ミレアが頷く。

「小規模分解」

知らん単語を作るな。

結局。

箱は全部で三つ。

紙だらけ。

爆発なし。

ただし。

王都の紋章入り。

最悪。

夕方。

町は一応平常。

井戸は封鎖中。

水は別の井戸から。

被害なし。

今のところ。

ギルド掲示板に新しい紙。

【王都物品一時保管中】

嫌すぎる。

俺は壁に戻る。

「だから行きたくなかったんだ」

ミレアが言う。

「火種は距離に関係ない」

名言みたいに言うな。

夜。

町の上空に。

小さな光。

王都からの伝達魔法らしい。

やめて。

もうバレた。

俺は思う。

大規模案件は嫌だ。

でも。

向こうが勝手に落としてくる。

最悪だ。

そして翌朝。

ギルド前に馬車。

王都の紋章。

男が降りる。

この前とは別人。

笑顔。

嫌な笑顔。

「箱の件で参りました」

終わった。

小規模で済むか。

それとも。

じわっと広がるか。

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