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小物冒険者の日常災害  作者: おこげ


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10/87

成功な回

朝。

目が覚めた

身体が重い。

昨日の俺は箱と和解していない。

腰。

腕。

脚。

全部が文句を言っている。


「……ああ生きてる」

まずそこからだ。

起き上がろうとして

失敗する。

ベッドに叩き返される。


「……倉庫強すぎない?」

魔物より確実に

筋肉を削ってくる。

しばらくしてようやく起きる。

階段を降りる。

一段ずつ

人生で一番

慎重な階段だった。

食堂。

女将がこちらを見る。


「おはよう」

「……おはようございます」

声が一段階低い。

「昨日ちゃんと寝たか」

「はい気絶はしました」

「それでいい」


この世界基準が雑だ。

朝飯が出る。

昨日より少し多い

気のせいじゃない。

パン一切れ。

スープ。

あと謎の芋。

「……?」


女将が言う。

「働いた翌日は栄養」

「制度なんですか」

「気分だよ」

怖い。

食べる。

身体に染みる。

「……労働うまいな」

成功体験の

第二段階に入っていた。

外に出る。

村は

いつも通り。

なのに違和感。

視線。

昨日より多い。

井戸の近く。

村人がひそひそ。

聞こえる


「ほらあの人」

「倉庫の」

やめろ。

称号を付けるな。

パン屋。

通り過ぎようとしたら

声が飛ぶ。

「昨日大変だったでしょ」

「……まあ」

「これ余り」

パンが増える。

「……ありがとうございます」

なぜだ。

俺は

理解できていない。

倉庫整理はただの倉庫整理だ。

誰も助けていない。

世界も救っていない。

なのに

「ちゃんと仕事した人」

という

雑で強い評価が貼られ始めている。


ギルド前。

通るだけ。

絶対

入らない。

そう決めている。

「おはようございます」

受付嬢

昨日より笑顔。

「……おはようございます」

「倉庫お疲れさまでした」

ここでもか

掲示板、昨日と同じ紙。

だが位置が上に来ている。

誰だ動かしたの。

俺はそっと目を逸らす。

今日は仕事しない。

今日は休む。


それが小物の正解だ。

宿に戻る。

昼前何もしていない。

なのに

「今日依頼は?」

女将。

「……今日は様子見で」

「そうか」

納得される。

それが一番怖い。

部屋。

ベッドに倒れる。

昨日と同じ天井。

だが違う。

「……俺ここで生き延びられる?」

疑問が希望に近づいている。

この日。

俺は何も成し遂げなかった。

だが。

周囲は勝手に俺を

「一度成功した冒険者」

として

扱い始めていた。

小物にとって

成功体験の翌日は。

だいたいろくなことにならない。

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