24 ハンバーガーを売ってます
本日の投稿は2話になります。こちらは1話目です。
カランコロン、ガーベラの鈴がなる。市街の門が見えてくる。アルスには、帰り際に立ち寄った廃墟の街で見つけた革鎧一式を着せている。この後、王都まで行くならそれなりの格好が必要だと思ったし、何よりそのまんまというのも気が引けたのだ。おかげで今のアルスは、普通の男の人がフルフェイスの兜を被っているように見えるだろう。
「おう、おかえり。キノコ見つかったか?」
カイが一人と一頭と一体の姿を見つけて駆けてきた。だが、間近でアルスの姿を見るなり、不審げに眉を顰める。
「あ、カイさん。ただいま」
ヘラッと挨拶する。後ろからノンビリとハロルドさんも姿を見せる。
「ハロルドさんもただいま。うーん、森の状態も悪くてね。キノコは見当たらなかった」
そう言ったら、ハロルドさんはちょっと笑ってくれた。だが、カイさんはしかめっ面のままだ。
「お前、その隣の男は何だ」
カイさんの冷たく低い声が響く。虫の居所が悪いのかしらね。
「あ、この子ね、アルスっていうの。よろしくね。ほら、アルス、この二人は話をしたお得意さんだよ。ちゃんと挨拶する」
ひょろっとした姿であるアルスはペコっと頭をさげる。
「へい。お初にお目にかかりやす。アルスと申します。いつも姉御がお世話になっております」
「なんだ、コイツは」
不審げな眼差しでカイさんはアルスを睨めつけている。なんだろう、カイさん、なにか機嫌が悪いのかな?
「うんとね、舎弟? 森からの帰りに拾ったの」
「拾った?」
一体、カイさんはどうしたんでしょうね。プッとハロルドさんが吹き出す。何故に?
「もしかして、アルスはゴーレムかい?」
アルスはその言葉に首肯した。ああ、そうか、カイさんはアルスを不審者扱いしているわけだね。
「それでね、額の魔晶石が落ちてたの。それで拾って嵌めたら動き出しちゃったんだ」
私は帰路の話をした。一応、魔晶石を復活させた話はしないです。いやいや、オフになっていたのをオンにしただけですって。ニコニコとしてみる。
カイさんはちょっとそっぽを向いている。ハロルドさんがそんなカイさんを見て、わははっと笑い出す。アルスはちょっと首を傾げているのが可愛いなあなんてちょっと思った。
「マッキーちゃんはそのアルスかい、そのゴーレムを連れて行きたいのかい?」
頷くとふむっといった調子でハロルドさんが教えてくれた。
「王都に入るには、ゴーレムは従魔じゃないと入都できないからね。商業ギルドでも従魔登録できるから、それを済まそうか」
先に宿屋に行ってから商業ギルドに向かう。
「従魔登録ですね」
「はい、お願いします」
ゴーレムは、荷物持ちや力仕事に重宝されるため、商人でも従魔として扱えるように成っている。そのための窓口が商業ギルドにもあるのだ。ただし、攻撃力に特化した魔獣などをテイムした場合は、たとえ護衛目的であっても冒険者ギルドで届け出をしなければならない。
「基本、向こうは戦力アップが目的だからな。登録先が分かれているんだ」
ハロルドさんがそう教えてくれた。
私はテイクアウト店の共同経営者としてギルドに加盟して登録していたこともあり、アルス手続きは驚くほど簡単に済んだ。
「世の中には、色んな仕組みや取り決めがあるんですねぇ」
従魔登録が終わって商業ギルドを出たところで私がそう言ったら、ハロルドさんには爆笑された。ハロルドさんは笑い上戸だと思う。
「そういえば、連絡が来た。魔王の討伐が終わったそうだ。聖女と勇者の一行がその報告をもたらしたんだと」
街に戻った翌日にその話を聞いた。
「そっか。良かったね」
街がその知らせで湧いていた。
「だからな。俺らもお役御免になる。一緒に王都に帰ろうぜ」
カイさんとハロルドさんがそんなことを言ってきた。
そうして、王都までの帰りの旅は、三人と一頭と一体という、なかなかの大所帯になった。
無事に辿り着いた王都。
キッチンロバ車の速度はゆっくりだったせいか、私が着くより前に竜崎さんたちは凱旋していたそうだ。あちこち引きずり回されているようで、主役は主役で忙しいらしい。
お店に伝言があったんだって。
「落ち着いたら食べに行くから、食べ放題、よろしく」
って。勿論、まかせておいて。皆の分、用意しておくからね。
因みに聖女様御一行が戻られた直後は、街中お祭り騒ぎだったとか。間に合っていればハンバーガーで大儲けできたのに、とちょっと残念。
今日もお店でハンバーガーや餃子をつくって、看板娘やってます。スムージーも美味しいよ。




