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異世界召喚されたけど、ハンバーガーを売ってます  作者: 桃田


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17 みなさん、お届け物です

「え、和里田さん、どうしてここに」

 大きな城壁に囲まれた街に着いたとき、声をかけられた。


「あ、お久しぶり、如月さん」

 この街をクラスメイトたちが拠点にしているという噂は、本当だったようだ。

「あのね、スキルで自分の周囲は結界が張れるようになったの。会えて良かった」


 ここまで来た経緯を簡単に説明する。それから、私は声を弾ませた。

「だから、皆にハンバーガーを届けに来ました!」


 この場所は生産班の人たちが中心となって、戦闘班の人達のバックアップをしているのだと如月さんが教えてくれた。


「竜崎さんたちは、王都から東回りルートで瘴気溜まりを浄化しながら最果ての森に向かっているの。だから逆の西回りルートには私たちが配置されたのよ」


 宿舎に案内され、お茶を飲みながら話を聞く。ガーベラは厩舎があるのでロバ車と一緒にそちらにいる。


 なんとなくこちらの街道を選択したのだけれど、そんな配置になっていたんだ。

「そっか。じゃあ、ここには全員揃っているんだ。腕の振るい甲斐があるね」


「うん。皆きっと喜ぶよ。あ、でも戦闘職の子たちは今出払っているの。一部隊でまとまって活動しているから。生産職でも同行している子がいるけど」


 仕事の休憩時間になると、ここで活動している他のクラスメイトたちもやってきて、賑やかなお茶会になった。私は皆に何が食べたいかを聞き回り、食材の調達状況を確認する。


「お肉はね、たっぷりあるよ。野菜とか小麦とかは、ここでも手に入るかな?」

 食材の入手ルートの確認も忘れない。


「実は朗報があります。ここに来る途中で、ドラゴンの肉が手に入りました!」

 周囲がざわめく。

「んでね。ドラゴンの皮もあったので、それで収納鞄も作ってもらたんです」


 高濃度の魔力をもつドラゴンの皮は、特に優れた魔道具の素材になるんだそうで。それで鞄を作れば見た目の容量よりも多く入る、いわゆる四次元ポケットのような鞄ができるのだ。某青い猫には負けるけれど、それでも倉庫1つ分ぐらいならば収納が可能だと言われた。実際にそこまで詰め込んでいないから本当かどうかはわからないけど、中身に対しては品質保持の効能があるのは間違いない。ここにいれた肉が一切傷んでいないのがその証拠。ただ、魔力がぬけてしまうと効果が消えるらしく、いつまで持つかは個体次第らしい。だけど、死にたての皮で作ったからきっと当分は持つはずだと信じてる。


「だから、日持ちの心配はいらないよ」


 三日後に戦闘班の人達が帰ってきた。他の部隊と交代で戻ってきたのだ。皆、泥まみれで疲弊しているようだ。負傷した者は救護室の方へ、それ以外は汗を流して着替えを済ませ、夕食のために食堂へ向かった。


「ああ、携帯食はしんどかったな。ようやくまともな飯が食える」

 誰からともなく、そんな声が漏れる。


「そうだよな。栄養足りて腹がいっぱいになるとはいっても、味には限度があるし」

 ボヤくような相槌に、隣の男が鼻を利かせた。

「なあ。なんかいい匂いがしないか?」


「そういえば、今日は、なんか特別な肉があるって話を聞いたぜ」

 食堂では、食堂奥のキッチンカウンターで料理を受け取り、テーブルにつくのが常だ。だが、今日はすでにテーブルの上に料理が並べてある。


「ああ、この時間に来るようにって指示があったのは、このためか。でも、なんでだ?」

 驚いた彼らはキッチンカウンターの側に私に気がついた。それからテーブルの上を見てる。ハンバーガーや餃子、焼売、肉まんなどを所狭しと並べました。


「え、なんで和里田がここに」

 サムズアップして皆に応え、皆に席につくように促す。全員が着席したところで、メインのステーキを配っていく。


「はい、皆さん。差し入れに来ました! ここに来る途中、とっても良いお肉を手に入れましたので、ステーキにしました。ドラゴンのお肉です。どうか、召し上がってください!」


 空腹も手伝い、分厚いステーキを前にお預けを食らわすわけにはいかない。皆の声が割れんばかりの勢いで一つになった。

「いただきます!」


 戦闘職の人達は、一心不乱に肉に食らいついた。

「すげえ、これがドラゴンの肉か!」

「やっぱ、異世界に来たらこれだよな」


 大盛り上がりでステーキを平らげていく。このドラゴンステーキは、皆で揃って食べたいという生産班の粋な計らいで、今日がお披露目となったのだ。因みに、他の部署の人達にもドラゴン肉は配ってある。半分とはいえ相当な量があったので、自分の手元には少し残し、残りのドラゴン肉は置いていくことに決めた。


 一週間ほど滞在して、宿舎の賄いを手伝った。宿舎の料理人とも仲良くなって、ハンバーガーや餃子などのレシピを教え、彼らの知っている料理のレシピも教えてもらった。この地域独自のハーブとかの使い方とか、とっても勉強になった。


 そうして。

「そうか、この先に行くんだ。でも、この先は最前線に近いから気をつけてね」

「うん。皆も無理しないで、頑張ってね」

 城壁の門で皆と別れを告げ、私はこ次の街へと足を進めた。

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