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酔っ払いから助ける編 -現実(太一side)-

金曜日の遅い時間だが駅前は終電を気にして急ぐビジネスマンの往来が結構ある。

そんな中に人だかりがあるのを気にも留めずに通り過ぎようとした。

が、その中心によく知った顔があった。


俺は石見(いわみ)ホールディングスの本社勤務7年目。自分で言うのもなんだが超一流企業で結構な位置に就けている。4月から新規プロジェクトの立ち上げのために毎日忙殺される日々で正直メンドくさかったが、あいつが困っているなら助けなくてはならない。

それが俺の使命だ。

喧嘩を止める方法として、拳で参戦することも考えた。

俺もあいつも子供の頃から格闘技や護身術を(かじ)っているので腕っぷしには多少の自信がある。

けど、間違いなく警察沙汰になってしまうだろう。

痛くもない腹を探られるのも困る。


だったら…

「おまわりさ——ん。こっちで——す!!」

と一か八か叫んでみた。

おっさんは辺りを見回しそそくさと逃げて行った。

どこかの管理職位の立場の人間だったんだろう。


会社でのストレスを酒飲んで街行く人にぶつけてんじゃねぇよ!!

俺だってストレスを抱えてるんだよ。

あれ? あいつ可愛い女といるな…

あの女を守ってトラブルになったんだな。

ああ、あれが例の羽田美優か。

駿の言う通り、結構可愛いじゃねえか。

肩なんか抱いて何いい雰囲気醸し出してんだよ。

見てるこっちが恥ずかしいわっ!


「誰かが叫んで助けてくれたんだけど、どの人だろう?」

駿がそう呟くのが聞こえたから

「どの人だろう、って俺だよ。」

と名乗り出た。

駿も彼女もびっくりしてこちらを見た。


あんなにいい雰囲気なのに、まだどうにもなってないとは驚きだな。

ちょっと協力ついでにカマかけてみるか。


「お前いつの間に彼女出来たんだよ。紹介してくれるんだろ?」

「あ、いや、まぁ。彼女は羽田美優さん。」


ん?否定しないな。


「あの…羽田です。ありがとうございました。でも彼女では…」


やっぱりどうにもなってないじゃねえか! しっかりしろよ、駿!!


「ああ、君が! 噂の美優ちゃんか。」

「噂…?」

「太一、黙れ!」


噂していると言えば分かり易いかと思ったら、彼女の表情が曇った。


これは…彼女の方も恋愛偏差値が物凄く低いのか?

駿に対する気持ちはまんざらでもなさそうなのに…


俺は余計な事をしたかもしれない…

でも、まあ顔見知りになったことだし、これからも駿のケツを叩き続けるか。

なんで、こいつ色々デキる男のくせに、この子の事になると途端にポンコツになるんだろう?


とりあえず二人きりになれる様に俺はさっさと退散することにしよう。



次回は明日18時更新予定です。

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