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二人きりで残業編 -駿side脳内再生-

官能的シーンが含まれています。ご注意ください。

俺は仕事が出来る。周りにもそう言われるし、俺自身もそんな事は分かっている。

だから、次々にとってくる契約の書類や資料のフォローをしてくれる事務の羽田には大変な負担をかけているだろう。

他の人にも頼めばいい話なんだけど、羽田には頼みやすいし、俺の意図を汲み取ることに長けているから、ついつい彼女に仕事を振ってしまう。

何よりも、俺が羽田と話したいんだ。

本人は「ラッキー入社」なんて言ってるけど、きっちりと正確にかつ迅速に仕事をしてくれる。だからこそこの第一営業部に配属されたんだろう。


入社式で顔を合わせた同期の中で、唯一羽田は光を放って見えた。

ちょっと小柄な背丈や男好きする肢体、綺麗と可愛いの両方を合わせ持つ目鼻立ち、少し遠慮がちに一歩下がる性格のくせに、必要な時にはきちんと意見が言えるしっかりしたところも、どれをとっても俺好みど真ん中だ。


今日も、昼過ぎに頼んでいればギリギリ定時に間に合う仕事を二人で残業したいという理由で夕方まで寝かせるという卑怯な行動に出ている。


「美優、まだ帰れないの? 新しく出来たバルにご飯食べに行こうよぉ。」

美優の親友の伊丹が帰りがけに声をかける。

「ごめん、若葉。成田に言われた書類、まだ終わらなくて…」

「え?手伝おうか?」


バカッ。伊丹!お前が手伝ったら俺が羽田と二人きりになれないだろっっ。


俺は冷静な振りをして

「伊丹。羽田を甘やかすな。これは羽田のミスだ。もう少しで大惨事になるところだったんだぞ。俺が気付いたからよかったものの…」

と羽田のミスのせいにして伊丹に帰ってもらう様に促した。

「はい、はい。やりますよ。私がやればいいんでしょ。 …ごめんね、若葉。」


よしっ。伊丹、帰れ。


「んんっ…じゃあ、先帰るね。

成田、あんまり美優をイジメないでね。じゃっ、お先。」


は?俺が? 羽田をイジメてる?

確かに好き過ぎて素直になれない所があるのは認めるけど…

イジメなんて勘違いされたら嫌われるじゃないか…


「なっ…イジメてなんか…なぁ羽田。」

羽田は俺の一言に可愛らしく頬を膨らませている。


うわっ、なんだその可愛い顔は。

その頬っぺたを指で突いて唇に吸い付きたい。

押し倒して全身にキスのシャワーを浴びせたい。


 ********************


「成田主任。書類出来ました。今日は私のミスのせいでごめんなさい。

お詫びに私を好きにしていいよ。」

「おいおい。俺にどうさせようとしてるんだよ。好きにしていいなんて言われたらやる事なんて一つだけだろう。」

俺は羽田を激しく抱き寄せ、熱いキスをした。

ブラウスの胸元のボタンを上から数個外し、胸の谷間に唇を這わせる。そしてその奥を味わう様に舌を入れた。

残りのボタンも全て外し、後ろのホックを素早く外すと羽田の乳房がプルンと弾け出た。

「綺麗だ…美優。」

俺は美優の乳房の先端を弄ぶように指で苛める。

「ダメ……」

「そんな可愛い声で喘がれたら……俺……」


 ********************


俺は自分のムスコが反応しつつあることに気付き、慌てて我に返った。

「羽田、あんまり遅くなると帰り道が危ないから、早く終わらせよう。

羽田……羽田……? おい、聞いてんのか? お前、今意識飛んでただろ。」

「え……?」

 羽田はみるみる赤くなっていく頬を押さえている。


え……? まさか。


「なんで真っ赤な顔してんだよ。イヤらしい事でも考えてたのか?」

「いや……そんな……違っ……」


羽田みたいに清純そうなやつでもエロい妄想するんだな。最高かよ。


「……マジか……」


待てよ……もしかして好きな人でもいるのか? 羽田の妄想の相手って誰だよ?

ヤバい……もし羽田が片思いでもしているなら、俺はイジメを勘違いされてる場合じゃない。


俺はタバコを吸いに行く振りをして、慌ててビルの1階にあるコンビニに走った。


イジメてなんていない……俺はただ二人きりになりたかっただけで……


流行りのカップに入ったスイーツを幾つか購入して急いで執務室へ戻った。


「ほら、差し入れだ。どれにする?」

「いらないです。」


え…もしかして甘い物嫌いなのか?


「もう終わったので帰ります。主任の確認待ちです。確認してください。」

「お…おぅ。よく頑張ったな…じゃあ、これから一緒にメシでも…」

振り返るともう羽田は鞄を持って執務室から出るところだった。

「お疲れ様でした。」

こちらを振り返ることもなくさっさと帰ってしまった。


え? おい。食事の誘いをスルーかよ…

俺、もしかして嫌われてるのか?


姑息な手段に出たのに今日も距離を詰められなかった。

そしてまだ見ぬ強敵の存在を感じ始めて、居ても経ってもいられなかった。




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