出張先で嵐に遭遇編 -現実-
翌朝、昨日の嵐が嘘のように澄み切った青空が広がっていた。
「おはよう。」
「ああ、おはよう。」
眠れなかった二人にはしっかりと目の下にクマが出来ている。
「コーヒー飲む?」
「ああ、サンキュ。」
成田がテレビをつけると、朝の情報番組が放送されていてレポーターが昨日の新幹線運休の原因の落雷現場から中継していた。
「午後には復旧だって。どうやら今日は帰れそうだな。」
「そうだね。」
なんだかドッと疲れが出ていて早く帰りたかった。
午後、新幹線が復旧したのでチケットの予約を取り帰京した。
新幹線の中ではお互いに何の会話もなくぐっすりと眠ってしまった。
東京駅から報告書を提出するために会社へと向かう。
「あ、成田主任、羽田さん。お帰りなさい。」
「お疲れ様です。」
「タイヘンでしたね。」
成田と私の顔を見た途端に久米島くんと神戸麻衣とその他の女子社員達が一斉に二人を取り囲む。
「ねえ、まさか二人で一部屋に泊まったりとか何かあったりしてないですよね?」
成田と私は互いに顔を見合わせ
「ないですよ。」
「そんな事ある訳ないだろ。」
と疲れ切った表情で否定した。
二人一部屋に泊まったし、それがラブホテルだったなんて絶対に言えないな。
本当に何もなかったしな…
こんなラッキーシチュエーションをまたも無駄にする二人だった。
次回は明日18時更新予定です。