スーパーエリート同期様
半年振りです。
だいぶサボってました。
この作品もよろしくお願いします。
羽田美憂 26歳
実は私、TLを読む事が大好きなんです。
沢山…そりゃあもう沢山読み漁ってきました。
恋愛偏差値の低すぎる私に、TLは沢山の夢をみせてくれるんです。
26歳にもなって、夢見ている場合じゃないことなんて分かってます。
高校や大学時代の友人にはもう結婚して子供がいる子もチラホラといて、親から圧力を掛けられる今日この頃。
TLの妄想の世界では恋愛や性生活に事欠かないけど、このところ現実世界では全く男っ気のない干からびた女なんです。
でも、TLによくあるお決まりのあんな事やこんなシチュエーションが、まさか私にも訪れるなんて…
都内の大手商社に新卒で就職出来たことは未だに奇跡だと思っている。
関東近郊のそこそこの大学を出て、記念受験ならぬ記念入社試験に臨んでみたら、採用されてしまった。
この時、私の一生分の運を使い切ってしまったのかもしれない。
同期には煌びやかな人材ばかりで、付いて行くのが精一杯だ。中にも、営業部の若手エース成田駿なんて神様が露骨に依怙贔屓した事が明らかな人間がいたりする。
この成田駿、高身長でイケメンという見た目極上、スーパーエース級のシゴデキ、同期の中で唯一主任という肩書きで一歩リード、上司からも後輩からも頼られる人望もある。
ただ、私に接する態度だけは厳しい。基本的にラッキー入社の私をバカにしている気がする。
彼は今日も上から私を見下ろし、
「おい羽田、この書類間違ってたぞ。直しとけよ。」
と強い口調で書類を押し付ける。
そりゃ、間違えたのは私だけど、もうちょっと言い方ってモンがあるんじゃないの?
ほら、後輩の子には優しい口調で話してるし…
「美優、まだ帰れないの? 新しく出来たバルにご飯食べに行こうよぉ。」
「ごめん、若葉。成田に言われた書類、まだ終わらなくて…」
「え?手伝おうか?」
彼女は伊丹若葉。頼りになる同期で親友だ。
「伊丹。羽田を甘やかすな。これは羽田のミスだ。もう少しで大惨事になるところだったんだぞ。俺が気付いたからよかったものの…」
「はい、はい。やりますよ。私がやればいいんでしょ。 …ごめんね、若葉。」
「んんっ…じゃあ、先帰るね。
成田、あんまり美優をイジメないでね。じゃっ、お先。」
「なっ…イジメてなんか…なぁ羽田。」
私は成田のそんな一言に頬を膨らまして無言を貫いた。