表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

いつもの散歩道

作者: うずらの卵。

わしは毎日婆さんと同じ道を散歩するのが日課になっとる。

わしも婆さんも80歳を越えた。

歳を取ると足腰が弱ると言うから、毎日散歩は欠かさんようにしとる。

今は夏で木々が青々と繁っておるが、秋になると段々木々が赤く染まり、季節毎に違う景色が楽しめるのじゃ。

そんなある日、犬の散歩をしている女性が前から歩いて来たのだ。

わしは「こんにちは、可愛い犬ですな」と声を掛けたんじゃ。

すると女性は「有難う御座います、太郎と言うんですよ」と言った。

わしは「婆さん、太郎というんだそうだ」と婆さんに話し掛けると、婆さんはニコニコ笑っとった。

しかし、女性は怪訝な表情をしてお辞儀をして行ってしまった。

わしは「何か悪い事を言ったかのぅ」と婆さんに聞くと婆さんはただニコニコしていただけだった。

その夜、婆さんの夢を見たんじゃ。

婆さんは寂しそうな顔をして「そろそろ、わたしゃ逝きます。じいさん散歩は欠かさず行って下さいね」

わしは「婆さん何処に行くんだ?散歩は二人の日課じゃろう」と言うと婆さんは手を振り、段々遠ざかって行った。

わしは朝目覚めて現実を目の当たりにしたんだ。

わしの目線の先には仏壇が有り、婆さんが黒淵の枠の中でニコニコ笑っていたのだ。

そうだ、婆さんは去年亡くなっていたのだ。

わしの事が心配で今まで散歩に付き合ってくれていたのだ。

これからは、1人でも散歩に行くから安心しておくれ。

いつまでも心配かけてすまんのう。

わしは婆さんの写真に手を合わせた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ