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大魔女の従者  作者: ことぶきGON
第一章 月下の邂逅 篇
7/45

■第一章 2−2 破城槌

本日の投稿1発目です。



※誤字や描写がおかしくなっている箇所などを、

 少しずついじっていってます。



「へ? お客様 ? ……ですか?」

 浩介は素っ頓狂な声を上げ、途中で慌てて言葉を丁寧語へと変化させる。ヴァネッサからは『無理に口調を帰る必要はない』って言われたけど、ケジメだから! と一応は丁寧語で話す努力をしている。のだが……集中していないと、何故かフランクな口調になってしまう。理由は解らない。一応、バイト生活は1年以上経験しているし、そこまで丁寧語とか敬語とか不得意でもなかったのだが……。

 ここ数日の悩みに意識を取られ、その後、こんな怪しげな屋敷に客が来ることがあるのか、と少し感心する。何せ古臭い洋館だし、一部の部屋を除いて全体的に薄暗いし、サスペンスドラマの殺人現場になりそうだし。心霊スポットとしてもイケるのではないか、と浩介は密かに思っている。そんな場所にわざわざ来る?

 そこで浩介ははと気付く。自分の今の身分は従者・見習い? で、ようやく屋敷での仕事に慣れてきたところ。絶賛勉強中(修行中?)で、ヴァネッサとセシルの2人は、まだまだ役立たずの浩介を優しく見守ってくれている、という感じ。そんな状況に、これまで屋敷にいなかった人間がやってくる、と聞くと、少し緊張してしまう。別に浩介が興味を持たれることもないだろうが。

 ヴァネッサは、毎日、バイトでこき使われる→でも薄給で生活苦しい→だからバイトを増やす→疲労は溜まるけどでも生活苦しい——のループ(スパイラル?)から脱却させてくれた、生活の心配はない状況にしてくれたと、彼女のあのときの提案に感謝している。それは間違いないのだが……今の自分は屋敷の下働きをしているだけ(あと少しエロいことだけ)。それが今の浩介の存在価値だ——とグダグダ考えているが、要するに、『初対面の人間には少しだけでもカッコつけたい』という男の子のちっぽけなプライド? で、浩介が勝手に緊張しているだけである。

 そんなモヤモヤ考え込んでいる浩介の様子にあえて触れず、ヴァネッサは言葉を続ける。

「そうだ。依頼人がこの屋敷にやって来る。経過の確認、だな。とりあえず緊張する必要もない。こちらの正体も向こうは知っているからな」

 どうやら相手はヴァネッサが魔女であることを知っているようだ。

「そもそも、こちらの正体をわずかでも知っていなければ、こんな依頼など出すはずもないしな」

「こんな依頼って?」

 ヴァネッサの説明に疑問を挟むと、今度は浩介の横に立っていたセシルが答える。

「この前あなた、あいつに吹っ飛ばされていたでしょう?」


——吹っ飛ばされて……あの狼男か!


 浩介の様子を見て、ヴァネッサがニヤリとして返す。

「気付いたか。お察しの通り、あの“人狼”が依頼の内容さ。依頼中に巻き込まれたお前のことは先方には伝えてある。お前は何も考えることはないよ。特にやってほしいことは今のところないし、当日はお茶でも出してくれればいいさ」

「そんなコトだけでいいのか……」

「そんなコトくらいしかできることはないでしょう。大体、お茶を入れることも、突き詰めれば奥の深い仕事です。そのクオリティを誰もまだ求めていませんし……いろいろと出来ることが増えれば、頼まれる事柄も増えるでしょう。ですがそれは、まだまだ先のことです」

 独りごちる浩介に、今度はセシルが答える。お前は無能、と言われている気もするが、きっと本人は浩介のフォローをしているつもりだろう。

 ここ最近のやりとりで、彼女のことが少し理解できるようになっている。


 ・まず愛想が悪い、いや『ない』。

 ・言葉のチョイスがすごく悪い、いや聞こえようによってはただの悪口に聞こえる。


 この2要素だけでも、『人付き合いと態度が悪い』というマイナスイメージは付くものだ。が、実際にはセシルは仕事が遅い浩介に対し、じっと我慢をして仕事を終えるまで待ってくれるし、仕事が終わった後には労いのお茶を入れてくれたりと、きちんと気遣いもしてくれる(無愛想ではあるが)。

 表情が豊かになるのはヴァネッサと話をしているときだけだが、けっして冷たい人間ではない。最初の頃は浩介にまるで興味はない、ヴァネッサに言われただけだから、という印象があったが、最近は浩介自身をきちんと見て、相手をしてくれているようだ。

「……で、そのお客様は、いつ来……いらっしゃるので?」

「予定では本日の15時くらいだったはずだ」

 当日って今日かい! と浩介は脳内で突っ込む。

 今は昼食を終えたタイミング。もうすぐ昼の1時くらいだ。そうなると、2時間後くらいか?

「心配せずとも、茶器などの用意は私の方で行います。あなたのやることは、お客様の前でお茶を入れ、テーブルにセットすることのみ。後はお辞儀をして退室するだけです」

「……お茶こぼさないように気を付けないとな」

「あと、いやらしいことを考えて、表情に“垂れ流し”にならないように注意。というところでしょうか」

 行動パターンがすっかりバレている。確かに、セクシー衣装な人だったら、ついつい相手をガン見&妄想全開でヒンシュクを買いそうだ。

 あははは……と愛想笑いを浮かべる浩介と、嘆息するセシル。そんな2人の様子を眺めながら、ヴァネッサは優しい笑みを浮かべていた。




「失礼しまァす……」

 セシルが用意してくれたお茶入りのワゴンを押して、応接室の扉を開ける。

 部屋の中央にあるソファーテーブルに、ヴァネッサと依頼者が座っている。それを確認し、浩介はワゴンを押してテーブルへと近づいていく。

「お茶をお持ちしました」

 そう言って、ポットのお茶をカップへと注ぎ始める浩介。

カップをテーブルへとセットする際に、ついでにそのお客様をチラリと盗み見る。

 と、その瞬間、浩介はカッと目を見開いたまま停止した。


——ご立派である。


 その言葉だけが、浩介の脳内を占める。

 ヴァネッサまでは行かないが……いやいや、タメを張るくらいのボリュームはある。そして、余程弾力があるのか、『真横に突き出ている』。あれはきっと、世の青少年のリビドーを刺激し、さらに彼らの理性の壁を粉砕する“破城槌”に違いない。どこがかって? もちろん相手の胸部装甲が、である。



「いい加減にせんか。流石に“垂れ流し”が過ぎるぞ」

 ヴァネッサからあきれ声で突っ込みが入り、浩介ははっとする。気が付けば数秒間固まり、客の胸をガン見していた——願望とか妄想とか(劣情とも言う)が垂れ流し状態になっていたようだ。お茶をテーブルに置くと、

「す、すみません!」

浩介は慌てて頭を下げる。その謝意に、ロケットおっぱいはわざわざ起立し、ペコリとお辞儀を返した。

「いえいえ! お気になさらず! よくあることなので」

「……よくあるんですか?」

「分家の人間はもっと舐めつけるような視線で遠慮もありませんし、さらに追撃攻撃で言葉攻めで辱めてきます。きちんとあやまられるなんて、とても“新鮮な経験”です! ありがとうございます!」

「(新鮮な経験?)はぁ……どういたしまして?」

 ロケットおっぱい嬢は、どうやら独特な感性の持ち主らしい。不躾な視線と態度で不快感顕あらわ、ではなく、謝ったことに感謝されてしまった。

 二の句が告げなくなってしまった浩介に、お客様はにこやかに挨拶と自己紹介を始める。

「初めまして。私は神宮寺 真理恵(じんぐうじ まりえ)。神宮寺・本家の次期当主です」



18禁チャレンジはしてみたものの、

「ダメだよ」って

どの段階で言われるんでしょ?


とりあえず怒られるまでは

このまま続きます。


本日はあと2本投稿する予定です。


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