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大魔女の従者  作者: ことぶきGON
第一章 月下の邂逅 篇
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■第一章 1−4 魔女!

続いてどでしょ?


アウト? セーフ?

よよいのよい……?



——魔女?


 巨乳美女——ヴァネッサの言葉はなかなかに衝撃的で、浩介はきっちり13秒フリーズする。

「魔女、知らないかい? 箒にはまたがってはいないし、見ての通り私は老婆でもないが。魔法は……まぁ使えないこともないが」

 浩介はこのトンデモな話を、頭のどこかで『嘘だ!』と……は思わなかった。多分、よく解らないが、彼女は本当に魔女に違いない。心のどこかで浩介は確信している。

 ヴァネッサの言葉を受け止めた、と示すために、浩介はウンウンと頷いた。

「よしよし。素直なコは好きだよ。それで、そこで寝ているのはセシル。私の愛すべき可愛い従者さ」

 ヴァネッサの言葉と右手の動きに誘導されるかのように、浩介は横で寝ている少女の方へと視線を向ける。美少女——セシルはいつの間にか起きていて、上半身をベッドから起こしていた。掛かっていたシーツも今はないから、(あくまでヴァネッサと比べると)慎ましい胸部装甲の先端部分が丸見えだ。薄桃色の色合いは浩介の好みにぴったりだ。乳首の現物を見るのは初めてだが。

 そんなことを考える浩介を完全無視し、セシルはヴァネッサとやり取りを始める。

「ヴァネッサ様。私も愛しております」

「あぁ。もちろん解っているよ」

 セシルのセリフに、ヴァネッサは柔らかく慈愛の滲む眼差しを彼女に向ける。浩介には詳しくは解らないが、きっと2人には深い絆があるのだろう。主人と従者、という言葉通りのものではない、特別な絆が。

 ヴァネッサは再び浩介へと視線を戻し、語りかける。

「さて、神崎浩介クン。君には2つの選択肢がある。すべてを忘れるか、それともすべてを受け入れるか、だ」

  すべてを忘れる——自分のことを魔女だと紹介するヴァネッサのことだ。何か自分が理解できない手段で、いろんなことを“覚えていない状態”にできるのだろう。何だか恐ろしい話だが、もしそうなったとしても、意に反するとしても、浩介に抵抗できる気はしない。


——もう1つの選択肢って何だろ? 受け入れるって?


 そう思い浮かべたとたん、ヴァネッサが平坦に返答する。感情の動きはまるで感じない。

「あぁ、それはな、“ただ、あるがままを受け入れる”と言うだけ。ありえない、なんてことを思わず、我々のことも、あの夜出会った存在も、すべてあるがままに受け入れるだけだ」


——そっか、そう難しいことでもなさそうな……あれ? オレちゃんとしゃべってないよな? 考えただけで……!? そういえばさっきフルネームで呼ばれた!? 自己紹介もしてないよな!?


 浩介は無言のまま目を見開く。その様子に、呆れたようにヴァネッサは言う。

「あぁもう。そう難しく考えるんじゃない。ただ、あるがまま、起きたことを受け入れるだけで大丈夫だから。思ったことを無理に言葉にして吐き出す必要もない……とりあえず、またさっきみたいに、深く深呼吸してごらんよ」

 浩介の動揺も、ヴァネッサは把握しているようだ。言われた通りに深呼吸を繰り返していると、少しだけ頭がすっきりしたような気がしてくる。

 浩介が落ち着いた様子を見て、ヴァネッサは言葉を重ねる。

「落ち着いたかい? 落ち着いたところで、1つ頼み、というか提案があるんだ」


——頼み? うん、って言うと何だか怖い気がするなぁ。


 魔女というものは、不可思議な力を操って、自分の思い通りに目的を果たすことが出来る——そんなイメージがある。そんな“特別な存在”と言える魔女が、日々バイトだけやっている自分などに、頼みたいことがあるとは……一体どんな内容なのか?

 やや警戒する浩介に、ヴァネッサはさらりと答える。

「なぁに、そんな大変なことじゃぁない。頼みというのは、我々に“精”を提供する、ということさ」


——えっと……それはえっちなこととか?


“精”というキーワードは、浩介の脳内では“性”というワードに自動的に変換される。予想外の申し出に、浩介の心はソワソワと落ち着かなくなる。興奮で目は先ほどよりも剥き出しになり、鼻息も荒くなっている。


「まぁ……そういう一面もあるな。別に生気を搾り取るってわけじゃなくて、少しだけこちらがいただくのさ。やり方としては、裸で抱き合って……」

「え!? マジで!? そんなご褒美みたいなことできんの!?」

 衝撃的な内容に、声が出なかったはずの浩介は、大声で聞き返した。

 浩介の突然の再起動に、ヴァネッサはきょとんと呆気にとられ、そして爆笑して答える。

「ははははははははは。本当に“そういうこと”が大好きなのだな。今回は。……はぁ。では、待ち遠しいようだし、さっそく始めようか」

「え……」

 そう言って、ヴァネッサはゆっくりとベッドに上がってきて、浩介に覆いかぶさってきた。ヴァネッサは何も身に付けていない。先ほどは彼女自身の黒髪に隠されていた、乳房の先端も露わになって、浩介の視線を釘付けにする。

 ヴァネッサは両腕を回し、浩介の頭を両腕で抱き込む。豊満な乳房は浩介の顔面に押し付けられ、その柔らかさに浩介は意識を失いそうになる。

 と、今度は背中側にも浩介は柔らかさを感じる。

「ヴァネッサ様。サポートします」

 横で同じく全裸で寝ていた少女——セシルが、浩介の背後から抱きついていた。脇下から胸へと腕を回し、彼女の体もぴっちりと接触している。ヴァネッサほど大きくはないが、セシルの胸は十分な柔らかさを浩介に伝えていた。そして、その柔らかさの中に、コリコリとした感触も感じる。


——えっと……これは乳首ですかね?


 誰に話しかけているつもりなのか、脳内で丁寧語になる浩介。

 全身に女体の柔らかさを感じているせいか、浩介の知能は低下しているようだ。

「さて、始めるか……」

 セシルと共に浩介をサンドしたまま、ヴァネッサはつぶやく。

 その言葉を、浩介はどこか遠いところで聞いているような気がしていた。

 いつの間にか、浩介は身動きが取れなくなっていた。全裸の美女&美少女に挟まれているから、だけではない。いつの間にか、荒い呼吸は出来るのに、体を動かす機能が、自分から消え失せてしまっているかのよう。だが、そのことに対して、焦りも、恐怖も感じず、何の疑問も頭に浮かばない。心はひどく穏やかだ。

「@5s0mklwgo……」

 その体勢から顔は見えないが、ブツブツとヴァネッサが何かをつぶやいている。よく聞こえないが、聞き覚えのない言語。それは不思議とリズムを刻んでいるかのようで、とても耳心地がいい。

 ふと、浩介は全身を不思議な熱を発していることに気づいた。触れ合っているヴァネッサと、セシルにもその熱を感じる。その熱は3人を包んでいるかのよう。熱を共有している、ではなく、お互いに交換しながら高め合っている、という印象だ。

 熱はどこまでも加速していく気がした。もう、ヴァネッサの奏でる旋律は聞こえてこない。いや、耳から聞こえてくる音を浩介は認識できなくなっている。そして、3人の触れ合っている“境界線”も曖昧になっている。


 熱量はさらに加速している。自分と“外の世界”との、さまざまなモノの境界線が薄れていることに意識が向かって——そして浩介の意識は途絶えた。



本日はラストもう1本です。



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