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大魔女の従者  作者: ことぶきGON
第二章
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■第二章 1ー2 同業者からの手紙?

「おや? 手紙が届いたようですね」

「あぁ……あいつからか。随分と久しぶりじゃないか。また変な言いがかりを付けてきてるのかな?」

「そんな穏やかな関係ではなかったと思いますが……」

 浩介は気だるさを感じながら、セシルとヴァネッサの会話を聞いていた。今は“ご褒美タイム”が終わったところで、3人とも肌を晒している。

 今回は先日の失言のお仕置きとして、少し多めに“精”を提供している。そのため、浩介の疲労度はいつもよりも上。意識を失ってはいないものの、ベッドに全身を投げ出してへばっている。

 気だるい体を無理をして起こし、ヴァネッサに問いかける。

「……あの……『あいつ』って?」

 ヴァネッサは全裸のまま、伸ばした左腕に、真っ白な鳩のような鳥を乗せている。鳥の足にはメモのようなものが結び付けられていて、これが手紙なのだろう。にしても……魔女って伝書鳩使ってんの? 普通に郵便局の人に、手紙運んで貰えばいいじゃん! いや、この場合は手紙を送ったんじゃなくて、受け取った方がヴァネッサか……と、浩介は脳内で突っ込み&自己完結する。

「お? 話せるくらいにはなったか?」

 ヴァネッサは顔と視線を浩介の方へ向け、薄く笑みを浮かべる。

 ヴァネッサは、身長は170センチの浩介と同じくらい。細身のトランジスタグラマーで、全体的にいわゆる“そそる”曲線を描いている。胸部には大きめのメロンが2つ装着されていて、その感触を『メロンってメロンパンの生地(焼く前)だったのか!』と、直に、自分の肌で、先ほどじっくりと味わった後だ。

 ……と言うと肉体関係があるかのように聞こえるが、実は浩介とヴァネッサは(もちろんセシルとも)、いわゆる“肉体関係”になったことはない。『メロンをこの手で揉みしだきたい!』と考えたことはもちろんあるが、何故かそのチャンスのタイミング(ご褒美タイム)だと、一切“そう言う気持ち”にはならない。「ご褒美タイムはお触りはNG」で、ただ全裸で抱き合うだけ(ただし、同じく全裸のヴァネッサとセシルの豪華サンドイッチ状態で)。普通ならそんな状況での“待て”は、へびの生殺しというものだ。……なのだが、何故なのだろう?

 浩介がぼんやり考えていると、今度はセシルが話しかける。

「それにしても、回復はどんどん早くなっているようですね。全体の容量が上がっていると言うか……さすがは『エロキング』ですね」

 セシルは透き通るような白い肌をしていて、胸の先端も美しい桃色。全身の曲線はなだらかで、全体的なボリュームこそないものの、ヴァネッサとは違った方向性での女性らしさを感じる。強いて言えば、北欧とか東欧とかの美女、と言った印象だ。浩介は東欧の美女(の裸身)なんて、男性成人向け雑誌くらいでしか見たことはないが。

ちなみに、最近は浩介が妄想しているとかなりだらしない表情をしているとのことで、先日知った言葉「エロキング」と、浩介のことをセシルは呼ぶことがある(知った経緯は浩介が『いやいや! そこまでエロキングでもないって!』と、うっかりな返しをしてしまったためだ)。そう言われることに浩介も少しずつ慣れ始めていて、しかもちょっと(セシルとのそのやり取りを)楽しんでいる自分がいる……と自覚し始めていることが、最近の浩介の密かな悩みになっている。いやいやいや、そんなM気質じゃなかったんだけど!? と。

「いやいやンなことないよ。そんなことより、手紙ってのは何っスか?」

 浩介は話を元の路線に戻そうと、ヴァネッサに訪ねる。

「ああ。手紙ってのはコレだ。同業者から今届いたところだ」

 そう言いながら、ヴァネッサは鳥の足に付いていたメモらしきものを、ほどきながら広げる。ほどき終わると、メモらしきものはボフッと音を立て、数枚の便箋へと姿を変える。

「……まさかの伝書鳩……魔女ってずいぶん古風っスね。それより、同じ魔女ってほかにもいるんスね」

 不自然に「ス」を付けて浩介はやり取りする。これは、


・何故かきちんとした敬語・丁寧語が実行できない。

・ヴァネッサは気にしないとは言っているが……フランク過ぎるのも、浩介自身が何か落ち着かない。

・きちんとした言葉遣いが難しいなら、せめて……


ということで、知恵を絞った浩介が自発的に「〜っス」と語尾に付けるようにしてたためだ。この企みは今のところ上手くいっているようで、ヴァネッサ相手には最近この口調で話している。ちなみに、『下っ端感が増している』とはセシルの感想だ。

 なお、浩介は知らないが……彼がまともに敬語・丁寧語を操れないのは、実はヴァネッサのいたずらが原因である。『あいつに敬語を話されるのは何だか気分が良くないから』とのことだ。それをセシルはこっそり明かされているが……もちろん彼女は浩介に伝えていない。ヴァネッサとセシル、2人そろって『普通に話すより結構似合っている』と言う意見で、こっそりニヤニヤと浩介を見守っている最中である。

「こんな懐かしいやり方する者はほとんどいないよ。伝書鳩コレは送ってきた奴の趣味だ。それと、同業者と言っても、“魔女”ではないな。そいつ、一応男だもん」

「“だもん”って何スか!? 何で言い方可愛くしたの!?」

「いや、何となく。こんな口調で話すタイプも、なかなか新鮮だろう?」

 そう言ってニヤけた視線をヴァネッサは向け、その後手元の便箋へと視線を落とす。

「……まったく、なんでそれを実践してみたんだか……」

「それで、今度は一体、どんな無理難題を言ってきたのですか?」

 ブツブツ言う浩介を放置して、ヴァネッサへとセシルが問いかける。言いぶりからすると、セシルは手紙の送り主のことを知っているようだ。

 それにしても、2人ともそろそろ服着た方がいいんじゃないかな? なんて浩介が考えていると、ヴァネッサが便箋の束をセシルに渡してくる。

 どれどれ? ……と、セシルが受け取ったソレを、浩介も全裸のまま覗き込んだ。



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