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24話 発掘者と河童と宴

「グラスちゃん、これすごい研究結果でそうじゃない?」


舞台は魔法中央大学 高等部。研究室の一角。グラスと研究室をシェアしていた友達、フレンダは研究ノートを見ながら、ソファーで寝そべりながら足をパタパタする。椅子に座っているグラスからきわどい角度になっている。


「うん。あとは時間との闘いだね。あとフレンダ。はしたないよ」


グラスが注意すると、フレンダは「あいっ」といって、ソファーで胡坐をかく。その様子を見てため息を一つ。


「それじゃあ今日も研究室で泊まり込み?」


フレンダがそう言うと、グラスは「いや」と言って、カレンダーを目をやり、にっこり笑う。


「今日は人と会う約束してるんだ」


そういうとフレンダは少し驚いた顔をして、そしてやがてニヤリと笑う。


「なにー?彼氏?」


フレンダがそう言うと、グラスは人差し指を顎にやり天井を見上げる。


「うーん男の人と河童?」


グラスがそう言うとフレンダは「なに?その人たち大丈夫なの?」と少し心配そうな顔をする。フレンダの顔を見てグラスは少し焦ったかの「大丈夫大丈夫」と手をブンブン降る。


「私の恩人だから」


グラスがそう言う言うと、フレンダは「なんだ・・・」と胸をなでおろす。


「あの例のスイレン草一緒に取りに行ってくれたっていう発掘者の人たち?」


フレンダは一昨日散々聞かされた三日間での迷宮の話を思い出しながら言う。その質問に対し、グラスは「うん!!」と元気よく返事する。

そしてグラスは時計を見る。約束の時間まであと30分ほど。

空は陽が落ち、最近普及された魔法街灯もぽつぽつと灯りをともしている。時はもう夜である。




「さて、今回の迷宮探索での収支は」


アリベルの言葉にレインはごくりと生唾を飲み込む。アリベルとレインはグラスより一足早く、目的地である居酒屋に来ていた。居酒屋といっても、小綺麗で、個室である。そして魔導ランプによって部屋を明るく照らしている。


「大赤字だ。約200万マイナスだ」

アリベルがそう言うと、レインは雷を受けたかのようにびくっとして、そしてしょぼしょぼとちょこんと座布団に座る。


「お連れ様入りますー!!」


そんなときである。ふすまの扉が開かれる。


「お疲れ様です!!ってどうしたんですか?レインさん」


グラスはしょぼしょぼしたレインの姿を見てびっくりする。グラスと二人の二日ぶりの再会である。


「おーグラス来たか。実はな前の迷宮探索の収支が出してみたんだよ。そしたら200万の赤字だったんだよ」


そういって、アリベルはけらけら笑う。


「笑い事じゃないですよ!!もう!!」


レインはそう言ってアリベルの肩をポカポカ叩く。


「なるほど・・・200万って」


グラスは納得の表情を見せるが200万という金額に顔が引きづらせる。


「まあ詳しい話は乾杯をしてからしようか。俺とレインは生頼むけど、どうする」


アリベルはそう言って、グラスにメニューを見せる。

グラスはメニューを一瞥した後に、「私も生で」といって、メニューをアリベルに返す。アリベルは「了解」と言って、ふすまを開ける。


「店員さーん。生三つ。あと枝豆。唐揚げ。串も頼みます」

「あっ塩キュウリもお願いします」


アリベルとレインは少し遠くで作業をしていた店員を呼び止め、注文する。店員も「わかりました!!」と元気よく返事をして、厨房に小走りで向かった。


「それで、アリベルさん。200万の赤字で何でですか?」


店員が遠くに行ったことを確認して、アリベルに聞く。


「いやー今回は支出が嵩んだだよ。まず俺たちががばがば飲んでたマナポーションあっただろう」


アリベルの言葉にグラスは思い出しながら、「はい」とうなずく。

魔力が少なくなった時にアリベルからもらって、遠慮せずに飲んでいたものである。あのときなぜ、こんな便利なものが普及していないのか疑問に感じていた。


「あれ一本5万だ」


アリベルは手をパーにして言う。グラスは驚きの余り口に含んでいた水を吹き出しそうになるが、ギリギリのところで踏みとどまる。グラスが覚えている限り、自分は5本飲んで、アリベルは大量に消費していて、二人合わせて20本は消費していただろう。それで100万飛んでいた事実に目の前がくらくらする。


「そしてポーションあっただろう」

「は、はい。ありましたね。もしかしてあれも・・・」


グラスは恐る恐るアリベルとレインに聞く。グラスは後方で転んだ時に渡された一本のみだった。かすり傷で渡されたのだから別に高いものでは考えていたが、


「1本10万もするんですよ。グラスさん・・・」


レインはグラスの肩をポンポン叩きながら言う。


「ジュ、10万って・・・」


あまりの値段の高さに脳が追い付かず、ぼんやりとしてしまう。アリベルは4本、壁役だったレインも5本ほど使っていて三人合わせて10本。100万の支出である。


「まあこれだけだったらまあ大したことない」


アリベルはそう言って、腕を組む。するとふすまが開かれる。


「お待たせしました!!生三つと、唐揚げ、枝豆、塩キュウリです。串はお待ちください」

「ありがとう」


アリベルがそう礼を言うと、店員は頭を下げふすまの戸を閉める。


「じゃあ乾杯しようか」


アリベルはジョッキ片手にいう。


「そうですね」


レインも笑顔でジョッキを持ち、グラスも「はいそうですね」と両手でジョッキを持つ。


「「「乾杯!!」」」


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