4:遺跡探索(1)
俺がスキルを伝えると、スグメは「ふうん」と棒読み気味に頷いた。
珍しいスキルだからもっと驚くかと思ったのだが……まあ、彼女のスキル自体が女神なんていう前代未聞のものだから、前例がある時点で俺の能力は、ありきたりなものなのかもしれないか。
「ねえ、鑑定って、どんなスキルなのですか?」
「わかりやすく言うと、物を調べることができるスキルだな。名称や、特性なんかを知ることができる。試してみようか?」
「へ、へえそうですか。どうぞ試してみてください」
彼女の許可も得られたと言うことで、押さえ込んでいた鑑定の能力を解き放つ。
そして、その力で彼女のことを調べようと視線を向ける。
彼女はさっき、スキルが『女神』だと言っていた。
そんなスキルは聞いたこともない。もしかしたら、俺の『鑑定』以上に希少なのかもしれないな。
だんだんと、おぼろげだった輪郭が明らかになっていき、よし、鑑定結果が出るぞ!
……と、思った瞬間に、脳内で「バシッ」と電流が弾ける音がした。
ぶしつけに触ろうとしたら、平手で叩かれたかのような。
「……あれ? おかしいぞ、なぜだ? 何か間違ったか?」
もう一度。スグメをじっと見つめるようにする。
だが、何か核心に触れそうになった瞬間に、するりと躱されるような感覚がある。
目に映るのは、彼女のつぶらな瞳だけ……
「あの、そんなに見つめられたら、照れちゃいますよ……なんて」
「ッ……済まない。でもなぜだ? お前のことを『鑑定』できなかったんだが……」
「(そう……よかった)。もしかしたら、私の『女神』のスキルのせいなのかもしれませんね。神様を鑑定しようとしたら、バチが当たったとか?」
「なるほど……何でもかんでも鑑定できるわけじゃないってことか……まあそもそも、よく考えたら人を『鑑定』するのはプライバシーの侵害だな。これからは気をつけることにしよう」
「それが良いと思いますよ。普通の人は、能力を見られたら恥ずかしいですからね」
結局俺は、スグメのことを何も鑑定できなかったのだが、これで良かったのかも知れない。
最初から全部がわかっているよりも、仲良くしているうちに少しずつ……みたいなほうが、面白そうだ。
「あの、スグメ……さん。良かったら……」
一緒に遺跡の探索をしませんか? なんて、そんなことを聞いて、変な誤解をされたら嫌だな。
俺はただ、なんとなく彼女となら楽しそうだなって思っただけで、裏の意味とかはないんだが。
「ぷぅたくん? どうかした? 顔が赤いけど」
「……ッ、気のせいです! 何でもないです!」
「うそうそ、冗談だよ。それよりぷぅたくん、良かったら私と一緒に遺跡の探索に行かない? ここに来てるってことは、仲間を探しているんでしょ?」