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6話 解放

一人が口火を切ると同時に、皆が笑い始めた。


「ぎゃぁやはははははは!ハーッハッハ!」

「あーー、そうかいルークスくん、いやーー夢が壮大なのはいいことだよなー! ま、オールFのコイツが勇者になれる頃には、俺様は王にでもなってるかもなーー!!」


「ほらここに勇者様にふさわしいクエストがあるぜ〜」

そう言った、性格の悪そう改め、性格が壊滅している金髪男からクエストの依頼用紙を受け取った。


『90歳のおばあちゃんの面倒を朝から夕方まで見てくれる人大募集!(未経験、女性、子供も大歓迎!)報酬 8ルーツ』

 すると、金髪男の股間の間から大きな手が下から上に向かって思いっきり振り上げられた。


「いい加減にしなイフラル。あんたこのギルドから居なくなりたいのか、あたしに突っ込まれたいのかい?」

「ヴァイスさん……。」


これ以上無い脅しだった。

イフラルとか言う性格が根本的に破滅している男は急に、クエストに行くと言い出し、そのまま逃げるようにギルドから立ち去った。


「ごめんねルークスちん嫌な思いをさせてしまったわね。たまたまアイツにルークスちんの新規メンバー登録の紙を見られてしまってね、気づけばアナタは有名人になってたのよ」


まぁ遅かれ早かれ、オールFというおもしろスペックはバレていたと思うし、ヴァイスさんを責める気はさらさら無かった。


「今日はあの香水脂肪女と一緒じゃないの?」

一応説明すると、香水脂肪女とかいう絶望的ネーミングセンスで表されている人はシャルルさんだ。


「あー……」

 どうしよう。なんて説明すべきなんだ……。取り敢えずテキトーな嘘をつくことにした。


「今日は、金になるクエストがあるからって出かけていますよ」

「ふん、これだからあの女はいけ好かないわ。ね、ルークスちん」


ルシアさんのような完璧な家政婦さん付きの家を見繕ってくれた恩義はがあるので、素直に首を縦に振りたいが、心の奥底にある、『ただエロくて美人なシャルルさんに嫉妬してるだけじゃ無いのか?』という疑いから、首は縦に動かなかった。


「それより昨日の傷は大丈夫? あの女にコテンパンにされたか知らないけど、ボロボロで集合場所に来たときはビックリしたんだから!」


コテンパンか……ま、俺のあの状態から考えたらそう考えるのが妥当なんだろうなと思っていると、突然ギルドの扉を乱暴に開いて男性が息を切らして入ってきた。


「ヴァイス!早くきてくれ!イフラルの野郎が林で魔物に襲われてる!」

  

「何ですって!準備ができてる人はアタシに付いてきて!臨時報酬としてイフラルが今日の飲み代は払ってくれるはずよ!」


俺も駆けつけようと席を立った瞬間、丸太のような腕で抑えつけられた。

「だめよ、こんなことは言いたく無いけど、ギルドマスターとして、無適性者のアナタを戦場には連れて行けないわ」


「いえ、俺もギルドに入った以上、どんだけムカつく奴でもイフラルは俺の仲間です。お願いします」

そう言うと、ヴァイスさんは呆れたようにため息をつき、自分から何があっても離れないことを条件に承諾してくれた。




 

皆と林の中に向けて走っていると、遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。


「イフラル! イフラル!?」


「あれは……キアちん!! まずいわね、あの子の通勤の道だったなんて」


モンスターとは赤い目をした狼のような四足動物で、今にも、血だらけのイフラルとキアに襲い掛かろうとしていた。

「きゃあああーー!!」

「くそッ!! 間に合わないわ!」



「ヴァイスさんごめんなさい、約束破ります」



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