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転生ジーニアス シリーズ

炉の神ヘスティアと収穫祭

作者: 普門院 ひかる

 ここは「神聖帝国」であるが、しばらくして「神聖ローマ帝国」を名乗ることとなる国である。


 この世界の情勢は、13世紀頃の中世ヨーロッパにそっくりであるが、過去の地球なのかというと、さにあらず。


 その証拠に、この世界には月が2つあった。


 一つ目の月は前世でなじみのある月そのものであるが、もう一つは小さくて暗い。こちらは新円ではなく、歪んでおり、じゃがいものような形をしていた。


 この世界はいわば異世界。


 魔法が普通に存在し、森には摩訶不思議な魔獣が跋扈(ばっこ)するファンタジーな世界であった。


    ◆


 神聖帝国に地球から異世界転生してきた天才チートな男がいた。

 彼の名はフリードリヒ・エルデ・フォン・ザクセン。


 彼は、その前世からしてケンブリッジ大学博士課程主席卒業の天才量子力学者で他の学問にも精通しており、かつ、無差別級格闘技をも得意とするチートな男だった。


 転生後も持ち前のチート能力を生かし、剣術などの武術、超能力や魔法を極めると、人外を含む娘たちとハーレム冒険パーティを作り、はては軍人となり破竹の昇進を遂げ、現在は神聖帝国のロートリンゲン大公の地位にあった。


    ◆


 神聖帝国のロートリンゲン公フリードリヒが神アテナのところでのアバターの特訓の帰り、背が小さくてちんまりとした少女を見かけた。


 あれは…


「これはヘスティア様。何をなさっているんですか?」

「ああ。あなた。アテナのところに通っている人族ね。

 食べられる山菜を採っているところよ」


「お手伝いしましょう。私も山菜はある程度知っているのですが、詳しくはないので、ついでに教えていただけると助かります」

「いいわよ」


 ヘスティアは炉の神だ。

 炉は家の中心であり、家庭生活の守護神である。また、炉は犠牲を捧げる場所でもあり、祭壇・祭祀の神でもある。


 女神はモデルのように均整の取れた体つきの者が多いが、ヘスティアは背が低く、フリードリヒの肩くらいまでしかない。また、お肌もプルプルで髪も艶々(つやつや)しているのでロリっぽく見える。だが、胸だけは大きい。

 いわゆるロリ巨乳ってやつだ。マニアが見たら垂涎すいぜんの的だろう。


 ヘスティアに教えてもらいながら小一時間も山菜を採るとかなりの量になった。


「ありがとう。あなたのおかげではかどったわ」

「こちらこそ、いろいろと教えていただきありがとうございました。食べられる山菜がこんなに種類があるなんて知りませんでした」


「折角だから私の館で食べていかない?」

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えまして…」


 そういえば、前々からヘスティアにレシピを教えてもらおうと思っていたことを思い出した。

 ついでに、いろいろと教えてもらおう。


    ◆


 館に着くと、ヘスティアは言った。

「じゃあ。今からお料理するから少し待っててね」

「私もお手伝いしますよ。ぜひレシピを教えてください」


「まあ。あなたお料理ができるの?」

「こう見えても結構得意なんですよ」


「わかったわ。じゃあお願い」


 それからヘスティアとワイワイ言いながら山菜料理のフルコースを作った。

 山菜といっても、お浸し以外にいろいろとバリエーションがあるものだと感心した。


 料理をおいしく食べた後、フリードリヒは言った。


「ヘスティア様。まだいろいろと教えて欲しいレシピがあるので、またお邪魔してもよろしいでしょうか?」

「いいわよ。あなたとお料理するのはとても楽しいわ」

「ありがとうございます」


 ヘスティアはロリっぽいので、なんだか新しい妹ができたようで楽しい。


 それ以来、アテナのところでアバターの修行をした後は、ヘスティアのところに寄り、最後にアフロディーテと〇〇するというのが定番のコースとなった。


    ◆


 ある日。

 ヘスティアのところに新大陸の食べ物を持ち込んでみることにした。まずはジャガイモである。


「うわあ。何これ? 変な形をしているけれど食べられるの?」

 神でも新大陸の食べ物は知らないらしい。


「食べられますよ。まずはシンプルにかしてバターをつけて食べてみましょう。芽のところには毒があるので、芽の部分を取ってください」

「わかったわ」


 下ごしらえをしたジャガイモをかして、熱々のものにバターをつけて食べてみる。


「うわあ。形はグロテスクだけれど美味しいのね」

「そうでしょう。これを使って色々な料理を作ってみたいのです」


「そうねえ…油で揚げてみるのはどうかしら?」

「さすがですね。フライドポテトは定番料理の一つです。次はフライドポテトを作ってみますか」


 フライドポテトを作ると、フリードリヒはケチャップを取り出した。ヘスティアの目が光る。


「そのソースは何?」

「ああ。これも新大陸の食べ物でトマトというものから作ったソースです。ジャガイモとよく合うんですよ」


「ふ~ん。後でレシピを教えてね」

「もちろんですよ」


 フライドポテトにケチャップを付けて食べる。


「うわあ。美味しい。なんだか止まらないわ。いくらでも食べられそう」

「そうでしょう。実はマスタードでも結構いけるんですよ」


 フリードリヒはマスタードを付けたフライドポテトをヘスティアに渡す。


「これも美味しい。ケチャップだけだと飽きそうだけど、マスタードと順番に食べたら無限に食べられそう。いやん。太っちゃうわ」

「はっはっはっ。ヘスティア様はスタイルがいいから少しくらい太っても大丈夫ですよ」


「それって私が太ることを前提にしてない?」

 ヘスティアは頬を膨らませて怒っている。

 が、それがちっとも怖くないのがおかしくて噴き出してしまった。


「もう。ひどいんだからあ」

 ヘスティアはフリードリヒをポカポカ叩くがちっとも痛くない。


 そんなことで、ヘスティアのところへ行くといつも楽しい時を過ごすのだった。


 アテナのところでの修行が長引き、半年近く経とうとしていた。

 それに伴い、ヘスティアに習ったレシピもだいぶレパートリーが増えた。


 今日も楽しく食事をして帰ろうかという時…


「ちょっと待って!」


 ヘスティアはフリードリヒに抱きつくとその胸に顔を埋めた。


 ──これってどういう…


 ロリ巨乳の破壊力は半端なかった。


 フリードリヒ自身はロリコンという自覚はなかったが、今までさんざん10代前半のロリ少女たちを相手にしている間に毒されてしまったようだ。


 このままヘスティアの肩を抱いてしまおうか…どうする。

 フリードリヒの手は葛藤かっとうの中で硬直していた。


 結局時間切れとなったようだ。

「ありがとう。もういいわ。じゃあ。またね」


 ヘスティアは結婚の喜びと引き換えに、全ての人間の家でその中央に座すこと、すべての神殿で他の神々と栄誉をわかつこと等の特権を得た永遠の処女神だ。


 これに手を出したら特権が失われてしまい、オリュンポス12神の座を降ろされてしまうかもしれない。


 このままヘスティアとの関係を続けたら手を出さない自信はない。どうする?


 しかし「またね」と言われた以上、フリードリヒはヘスティアの誘いを断ることはできなかった。


 あの日以来、帰り際には必ずヘスティアはフリードリヒに抱きついてくるのが定番になっていた。


 ある日。いつものようにフリードリヒの胸に顔を埋めると、ついにヘスティアは言った。

「私。あなたが好き」


 フリードリヒはついに我慢ができなくなり、ヘスティアを抱き返した。


「あなたが処女でなくなったら、オリュンポス12神を降ろされてしまうのではないですか?」

「実を言うとあまりこだわりはないの。甥のディオニュソスが入りたがっていたから、それもいいかなあ…」


 その夜。

 ヘスティアとフリードリヒは結ばれた。

 ヘスティアは様々な特権を失ったが全く悲壮感はなかった。


 なお、その日の夜をすっぽかされたアフロディーテは激怒し、これをなだめるのはたいへんだった。


 席が空いたオリュンポス12神の座には予定どおりディオニュソスが付き、丸く収まった。


 主神のゼウスは一連の事情は察していたと思うのだが、批判めいたことは何も言わなかった。

 ああ見えてヘスティアはゼウスの姉であり、身内の幸福を優先させたのかもしれない。


 ヘスティアはすぐに懐妊かいにんした。

 フリードリヒの一発懐妊力は健在だった。


 生まれた子供は男児だったので「炉」にちなんでオーフェンと名付けた。


    ◆


 そしてしばらく時は過ぎ…

 フリードリヒが16歳の時に始めた農業革命も軌道に乗ってきた。

 今やロートリンゲンではノーフォーク農法が主流となってきている。


 また、新しい作物であるジャガイモ、サツマイモとトウモロコシも順調に定着してきた。

 特にジャガイモはドイツの気候に合っており、生産量はどんどん増えている。


 相変わらずパンが主食の地位にはあるが、農村部ではなかなか毎日新鮮なパンを入手できる環境になく、農民たちは古くなったパンをスープに(ひた)すなどして食べている。

 ジャガイモは日持ちがするうえ、調理すれば毎回暖かいものが食べられるということで、庶民の間では頼もしい主食となってきている。


 一方、トマトとお茶については、南方でないと生産が難しいので、共同統治しているプロヴァンス伯国を中心に生産を拡大し、他国にも広がりを見せている。


 この時代、繊維産業などは発達してきているものの、産業の中心はまだまだ農業などの第1次産業であることには変わりがない。

 そこに新しい作物が持ち込まれ、新たな耕作地の開拓も進み、ロートリンゲンは景気拡大を続けている。


    ◆


 今、季節は実りの秋。

 収穫期を迎え、フリードリヒは、タンバヤ商会が運営する大規模農園の作柄を確認に来ていた。もちろんルーラも一緒である。


 ルーラは城住まいになっても農業が忘れられないらしく、城の一角の土地を家庭菜園にして農業を続けていた。

 よほど植物を育てるのが好きなのだ。


 ルーラは作柄の感想を言った。

「旦那様。最高の作柄だなや」

「ああ。今年は天候に恵まれたからな」


 ルーラは教育の結果、標準語を完璧に話せるようになったのだが、フリードリヒや田舎の家族と一緒の時は方言で話している。

 ある意味、バイリンガルと言えないこともない。


 そこにルーラの父コンラートがやってきた。

「フリードリヒ様。どうでえ。今年のできは最高だっちゃ」

「ああ。今もルーラとその話をしていたところだ」


「今年も収穫祭やるすけ、来てくだされや」

「わかった。ルーラといっしょに参加させてもらうよ。

 ところで、今年はナンツィヒの町でも収穫祭的なお祭りをしようと計画しているのだ。タンバヤ商会も当然出店するのでぜひ手伝って欲しい」

「へえ。それは楽しみだなや」


 そこでルーラがフリードリヒに話題を振った。

「旦那様は、なじょに植物を育てるのも天下一品なんだべか?」


 実は、フリードリヒは木の上位精霊のプランツェを眷属(けんぞく)にしているので、植物と意思疎通ができるのだ。

 もちろん世界樹(ユグドラシル)は例外として、植物は言語を解さないから、好悪の気持ちがわかると言った方がイメージが近い。


 要は水や肥料が足りていないから機嫌が悪いといったことがわかるのだ。

 これはちょっと反則なのでルーラにも告白はしていなかった。


「いや。ルーラにはとてもかなわないさ」

「そうだべか?何か苦手なことはないのけ?」


「う~ん。ミミズみたいなのは苦手かな…」

「ひゃーはっはっはっ。ミミズがダメなのけ? じゃあ畑は(たがや)せないなや」


「いや。ちょっと気持ちが悪いだけだから…畑を(たがや)すくらいは…」

「別に強がらなくてもいいっちゃ。

 しかし、天下無双の旦那様の苦手がミミズとは…はっはっはっ」


 ルーラは腹を抱えて笑っている。

 そんなに笑わなくてもいいではないか…


    ◆


 ナンツィヒの収穫祭については、運営は町に丸投げして、フリードリヒ自身はタンバヤ商会が出店する出店の一つを担当することにした。せいぜい楽しみながらやらせてもらおう。


 今回はフライドチキンとフライドポテトのセットという現代でいうファストフードを売ろうと思う。

 これで上手くいけばチェーン展開も考えている。


 フライドチキンについては、炉の神ヘスティアとあれこれ議論しながら試行錯誤のうえ作った秘伝のスパイスがまぶしてある。

 オリュンポス12神の座を降りて暇だというので、ヘスティアには今回特別に店を手伝ってもらうことにする。


 ヘスティアが地上にアバターを飛ばし実体化した。


「ヘスティア様。今回はわざわざお手伝いいただきすみません。よろしくお願いいたします」

「いいのよ。そんな他人行儀な…あなたのためですもの…」


「ありがとうございます」


 突然のロリ巨乳な美少女の出現に妻・愛妾(あいしょう)たちは驚き。こっそりとそれを物陰から(うかが)っている。


 小声で話す彼女たち…

「何よ! あのロリ巨乳美少女は! あんなの反則よ!」

「やっぱり旦那のロリコン疑惑は本物だったのか?」


「そうすると20歳(はたち)も過ぎてどんどん年を取っていく私たちってどうなるの?」

「そんな怖いこと言わないで…」


「でもよう。ディアンヌやグレーテルみたいな熟女もちゃんと相手しているみたいだから、大丈夫なんじゃねえか?」

「あの人たちは例外よ! あの歳であの肌の色つやは反則だわ。エリクサーか何かをフリードリヒ様にもらって飲んでいるんじゃ…」


「そんなものがあるのなら私たちも欲しいわよね」

「「「うん。うん」」」


 そこでヘルミーネが進み出た。

「とにかく。あの女があの人の何なのか(ただ)してきますわ」

「おう。頼むぜ」


 ヘスティアと楽し気に会話をしているフリードリヒのところにヘルミーネがつかつかと進み出た。


「あなた。その女はあなたの何なのですの?」


 その物言いにたじたじとなるフリードリヒ。

 ふと振り返ると妻・愛妾(あいしょう)たちが物陰から様子を(うかが)っているではないか。


「そのう…実はオーフェンの母親なんだ…」

「何ですって! いったい何歳の時に産ませたのよ!」


「何歳って…訳あって歳は言えないが、彼女は君たちよりずっと年上だぞ」

「いやん。恥ずかしいから言わないで…」とヘスティアはもじもじしている。


 ──これが年上って絶対反則でしょ!


「あなた。本当は若返りの薬とか隠し持っているんじゃ…」

「ああ。エリクシールのことか? 探してはいるのだが、まだ入手はできていない」


 エリクサー、もしくは美容液という意味ではエリクシールと言われる不老不死の秘薬に関する伝承は確かに存在し、錬金術の至高の創作物である賢者の石と同一、あるいはそれを用いて作成される液体であるとされている。

 だが、フリードリヒがこれを入手できていないということは本当だった。


 以前にホムンクルスの製造法を教えてもらった錬金術士のパラケルススが研究していると言われるが、完成させているかは疑わしい。

 また、以前フィリップ・ユルプルの反乱のフィクサーだったサンジェルマン伯爵はエリクシールを使って、その命を長らえているという(うわさ)もあるが、確証はない。


「今日のところはそういうことにしておいてあげるわ」


 そこでヘスティアがヘルミーネに言った。

「あなたたちはこの人の情けを定期的にもらっているのでしょう?」

「それはそうだけど…」とヘルミーネが恥ずかしそうに答える。


「ならば、それがエリクシールみたいなものよ。現に20歳(はたち)を過ぎた頃から老化が止まっているのではなくって?」

「そういわれてみればなんとなく…」


 ヘルミーネは今年27歳になった。だが見かけは20歳(はたち)そこそこに見える。本人は日頃のお手入れの成果だと思い込んでいたのだが…


「でも、それがエリクシールの代わりって…」

「事情があって詳しくは言えないけれど、そう思ってもらって間違いはないわ。これはあの人に愛された人だけがもらえる特権みたいなものよ」


「わ、わかった…」

 ヘルミーネは釈然としなかったが、引き下がった。

 理屈はともかく、目の前にいるヘスティアが生きた証拠だと思ったからだ。


 それでなんとかその場は収まった。


 実際、フリードリヒの体液は神のエキスのようなものだった。

 これを受け入れ続けた妻・愛妾(あいしょう)たちは、神に準ずる存在であるフリードリヒの眷属(けんぞく)化が徐々に進行していたのである。

 それは、取りも直さず年を取らない系の存在になっていくということでもあった。


 これはこれで悪いことではないが、八尾比丘尼(やおびくに)のカロリーナが経験したように、あと何十年かしたら周りには気味悪がられるであろう。

 今すぐではないが、その対策も考えておかねばなるまい。


 一方で、フリードリヒは現状で気づいていないが、紛争解決などの大徳を積むにつれ、フリードリヒ自身が半神からより神に近い存在に少しずつ進化しているのであった。

 この調子で行けばいずれは完全な神になる日もいつか来るであろう。


    ◆


 そしていよいよ収穫祭の日がやってきた。

 結果、フリードリヒとヘスティアが出した出店は長蛇の列ができていた。大繁盛にフリードリヒは手ごたえを感じた。


 何しろ神ヘスティアが太鼓判を押した秘伝のスパイスのフライドチキンなのだ。不味(まず)いはずはない。


 また、セットにしているフライドポテトも相性が抜群ということで、これまた大人気だった。ポテトを大盛りで頼む人も続出した。


 このセットはロートリンゲン名物となり、チェーン展開で他国にも広がっていくことになる。


 また、タンバヤ商会が出店した焼きトウモロコシやトマトを使ったパスタなども大盛況で手ごたえを感じられた。


 なお、売り子のロリ巨乳美少女のヘスティアを目当てに店に来る不心得者も相当な数がいるようだった。これはもちろんフリードリヒがガードしていたが…


 1日の営業を終えてフリードリヒとヘスティアはへとへとだった。だが、祭りはあと何日か続く。ここで()を上げていてはいられない。


 ヘスティアは微妙なことを言った。

「私はあなたの情けさえもらえればがんばれるわ」

 フリードリヒは「は、はあ」と曖昧(あいまい)な返事しか返せなかった。


    ◆


 祭りが終わり、フリードリヒはヘスティアにお礼をいった。


「今回は本当にありがとうございました。また来年も来ていただけるとありがたいです」

「う~ん。それなんだけど…地上にいてすごく楽しかったの。だからずっといることにしようかな…オーフェンの面倒も見られるし…だから、地上にいるときは私を愛妾(あいしょう)ということにしてもらえないかしら?」

「そ、それは…」


 ──神を愛妾(あいしょう)にするなんて、いいのか?


 しかし、よく考えれば大天使ミカエルを愛妾(あいしょう)にしているのと大差ないと言えなくはない。ならば…


「わかりました。オーフェンのためにもそれがいいでしょう」

「ありがとう。あなた大好き」とヘスティアはフリードリヒに抱きつくとキスをした。


 そして親子対面である。

 オーフェンは7歳になっていた。


「オーフェン…なのね」

「母上」と言うとオーフェンはヘスティアに抱きついた。

 7歳といってもまだ甘えたい盛りだ。そこに長い間夢見ていた実母と会えたのだから喜びもひとしおであろう。


 妻・愛妾(あいしょう)たちに最初は警戒されていたヘスティアも、家事一般、特に料理については神技級と知り、教えを乞いいに殺到した。


 ヘスティアも面倒がらずに対応し、次第に妻・愛妾(あいしょう)たちの輪に打ち解けていった。


 これで円満解決ということでいいかな…

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