4,過去に戻ろう-4
「父さんの仕事って普通の会社員じゃなかったっけ?会社からの出向命令でヨーロッパに転勤になるから、母さんと一緒に新婚旅行のやり直しだ!とか言って船に乗って、その船がジブラルタル海峡を越えた辺りで行方不明になったから、7年後に失踪宣告をしたんだけど」
「ん?あぁ、色々と込み入った事情があってだな…まぁ、そこは気にするな!過去に戻ってきたんだ。お前が知っている事と変わっていても不思議じゃないだろう?」
「まぁ…」
(父さん、思いっきり汗かいてるし、胡麻化しているな…)
これ以上事情を聴いても答えてくれない雰囲気を醸し出していた為、話題を変えてみる。
「リリーの事、魔法の事、過去に戻ってきた事、家族が生きてるって事、その他諸々、とりあえず飲み込んでおくよ」
「そうしてくれ。その方がこれからの話もしやすいしな。お前に説明した事を知られたらまた刑期が伸び…」
「何か言った?」
「いや、何でもないぞ!」
一瞬で顔が青くなり、ブルっと震えながら上ずった声で返答を返してきた。
「…まぁ、いいや…それで、これから俺はどうなるの?」
「本来なら明星の嬢ちゃんが案内する手筈になっていたんだが、俺もお前に直接会ってやりたかったんでな。嬢ちゃんが設定した30分前にお前をこの部屋に時間遡行させた。生徒会室は分かるな?そこでお前を待つ奴らがいるからそこに行ってみてくれ。後、母さんに会っても俺に会った事は絶対に内緒にしておいてくれ」
「ん。了解」
「絶対だぞ!明星の嬢ちゃんも上手く丸め込んでおいてくれよ!」
このオヤジ、ノープランである。
今回は短いですが、父親との邂逅は終了です。
次回からは生徒会編になります。