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幽霊図書館1


 最近ちょっと運動不足かもしれない。そこまで遠出というわけでもないのに、疲れたわ……そろそろ足が動かなくなりそう。

 目的地はこの町ではない、名前は……? ダメだ、町の名前を忘れてしまった。セルディーヌ卿の領土ではないことは確かだけど。なにしろ幽霊図書館に向かうために通るってだけで前から無縁な場所なのだ。

 その昔、発酵はっこうによりお酒を製造する技術を初めて発案した町だったっけ?

 農民達は畑仕事を切り上げて昼間から酒を飲み、歌い、踊る。カードをしている人もいた。

 そんな見慣れた光景をよそに、この小さな町には少し不釣り合いな大聖堂を横切った私は不気味で誰も近づかないと言われている暗い森へと進路をとる。



『――――バサッ!』


 森に入ると同時にカラスが飛び去り急に周囲が静まりかえる。風も止まった。

 今まで何度も幽霊図書館を利用するため、師匠に会うため、この森を訪れるのだけれど、図書館は気まぐれでよく移動するため道に迷うことが確実なの。

 目印もない。でも闇雲に動いてはならない。

 初めて来たときは確かに必死で図書館を探して歩き回ったけど、今では向こうからやってくる、はずなので私はしばらく大きな石に腰掛けて待つことにした。

 ……すると。


「来たわ。よかった」


 とても濃い霧が視界をさえぎる。

 しばらくするとその霧が次第に晴れていき、目の前に大きな建物が姿を現した。

 まだ私のことを覚えていたみたいね。

 【幽霊図書館】は一国の立派な城とまではいかないものの、かなり大きくて古い屋敷を図書館として使用し今でも本が増える度に増築“成長中”である。

 扉を開けて建物の中に入ると、さっそく彼女が音もなく現れた。


「はぁいアミュ、ご機嫌いかがかしら? フワフワと浮いてるだけの無能な最弱師匠の登場よ」

「ご、ご謙遜けんそんを……」


 相変わらず師匠はまた身もフタもないことを。

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