売却代理人1
ハーブよし。順調に育ってる、これは思っていた以上に早く店の商品として出せるかもしれないわ、もちろん料理にも使えるし。
次に私はキッチンに向かい、燻製ベーコンと氷砂糖のラム酒漬けの調理を済ませた。
夕食の準備もよし。
あとは……。店頭に並べたこれね。ちょっと無造作過ぎたかしら、確かに私は無駄なくリサイクルがモットーなところがある。もちろん新商品も取り入れたりはしているけど。
どう使うか分からないアイテム達、手当たり次第に集めたこれはちょっと考える必要があるわ。失敗失敗。私が見てて楽しんでるだけじゃダメよね。整理しよう。
『ガチャ』
「まだ店やっとる時間かいお嬢ちゃん」
「いらっしゃい、どうぞ見ていってください」
店に訪れたのは大柄で立派なヒゲを蓄えたドワーフ族の男。
鋭い目に力強さを感じてカッコいい。
「いや、すまんが売却代理人を頼みたいのだが。他の店はどこも扱っていなくてな。この店もダメか?」
「いえ、大丈夫ですよ。お任せください」
売却代理人とは。
値打ちが判断できなかったり、都合により売りに行けない人のかわりに商人が依頼者に代わって品物を売却すること。そして後日に依頼者が売り上げのお金を取りに来るのだが。その時に売った品の価値がわかっていないだの、よくないウワサの訳あり品だったり、大抵は売り上げの一割から二割を商人が手数料としてもらうのだが、それが納得いかないだのと、依頼者と商人の間で揉め事が絶えないので最近では売却代理人を引き受ける商人はめっきり減ってしまったようだ。
私は喜んで引き受けるけどね、初めての挑戦に燃えるわ。つまり高価な品ゆえにウチのような小さな店では買い取れないような品ってことよね。
「品物を見せていただけますか?」
話を聞く限り彼は海沿いの村の出身で、王国の元兵士からギルド勤務や用心棒を経て、引退後に奥さんと隠居生活をするために武具防具を売りたいのだと言う。
他国の旅人と思った私の読みは外れたか……。
彼は店の外にある自分の荷馬車から大きな袋を二つ、私の前に広げて見せた。
「こ、これは!」