三日目5
その後。私達はとある小部屋にてオークション関係者から神の眼を受け取ると、人が少なくなったロビーで軽く雑談をする。
……残りの所持金が少ない。
理由は手紙の配送を何度か利用したからである。
配送屋の訓練された鷹を手配して師匠達への連絡に何度か飛ばしたことで出費が多かったのだ。仕方がないことだけど。
ちなみにジャビスウォーレンでは金銭面でソフィアに頼らないと約束している。この街に来て彼女には色々と助けてもらったので、それだけで十分だわ。
「温泉は諦めて、薬湯の入浴剤でも買って帰りますか?」
「う~ん、どうしよっかな~」
少し気がかりなのはセルディーヌ卿だ。あれから一度も姿を見せていない。
◇
会場を出た所で見覚えのある後ろ姿を見つけ私は思わず声をかけた。
「プラトー!」
「…………商人さん」
彼女は会釈して答える。
寡黙で表情から感情を読み取れない、というのが昨日初めて会った時に感じた印象。
「ソフィア、彼女がプラトーよ」
「では貴女がアミュレットお嬢様を助けてくださった……この度は誠に感謝致します」
「……あ、うん」
ソフィアはプラトーに向かって深く頭を下げた。
「ねぇプラトー。聞きたいことがあったのだけれど、もしかして貴女の目的って」
「……そう、私の目的はセルディーヌ卿の監視と抹消」
巫女としての仕事の一つなのだろう。プラトーの話によると。
世界の均衡のため、ごく一部の者しか天界や魔界への道標を知ってはならないらしく、彼はその片鱗を知ったとのこと。
目を付けていたのは今回の神の眼盗難事件より以前からだそうだ。
ゆえにプラトーの魔眼で記憶を抹消され、今は廃人のような状態で帰路へと向かったらしい。
「なるほど、自業自得ね……」
「自業自得ですね」
そして私は彼女に手を差し出し握手を交わす。
「改めて、あの時は助けてくれてありがとう。そのうちまた会いましょ」
「……えぇ、運命の赴くままに」
プラトーは指で口角を上げ、口元だけでも笑う仕草を見せてくれた。
立ち去る彼女を私は大きく手を振り、ソフィアは深々とお辞儀をして見送る。
さて、クロエや師匠、協力してくれたヴァイオレットにもお土産を買いに行きますかな。
「よし! 帰ろっかソフィア」
「はい! お嬢様」
一言メモ【今回の旅で夢の大商人に少しは近づけたかしら。謎の多い大陸カルボルト、また冒険に行きたいな】アミュレット




